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中川 圭太(オリックス)内野手のルーキー回顧へ







中川 圭太(東洋大4年)二塁手 180/75 右/右 (PL学園出身) 





 「指名圏内へ」





 下級生までの 中川 圭太 を見ていたときは、何か特徴に欠ける選手としてプロ入りはどうかな?と懐疑的な見方をしていた。しかし最終学年での勝負強い打撃を見ていて、数少ない大学からプロ入りできる野手という見方を持つように変化してきた。その理由について、今回は考えてみた。


(守備・走塁面)

 一塁までの到達タイムは、今回も計測できず。昨秋は3盗塁を決めていない走塁も、この春は1盗塁と足でアピールする感じではなかった。以前のレポートにも書いたように、走力自体は中~中の上ぐらいはありそうで、けして動けない選手ではない。しかしプロで、足をアピールするという感じは今のところ見られない。

 守備に関しては、ボールを丁寧に扱い無難な守備をする選手との印象を持っていた。特に守備範囲が広いとか、グラブさばきがという印象はない。しかし今春見ていて感じたのは、非常に地肩というよりもスナップの強い選手であり、小さな動作で素早く送球できるという二塁手向きな動きができるという点には好感が持てた。その一方で、手首だけで投げてしまうので送球が乱れるケースがままあり、守備の安定感はイマイチなのではないかという印象を受けるようになった。実際数字でも、11試合で3失策は二塁手としては多いだろう。現状身体能力的には問題はないものの送球に不安があり、二塁手としては中の下ぐらいとみて好いのではないのだろうか。この辺が、秋までにどの程度変わって来るのか注意したい。


(打撃内容)

 球足が鋭いのが特徴で、今春のリーグ戦で観戦した時も一直線にレフトスタンドへ突き刺していた。そういったパンチの効いた打撃はするのだが、昨秋・今春のリーグ戦とも打率は.291厘とちょっと粗さも残す。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 以前は若干クローズ気味に構えていたのを、今春は若干前の足を引いてカカトを浮かして構えています。グリップの高さは平均的で、腰の据わり具合、全体のバランス、両眼で前を見据える姿勢も並ぐらいでしょうか。個人的な印象だと、以前のフォームの方が全体的には違和感なく構えられていた気はします。打席では高い集中力を発揮し、勝負強さが感じられます。

<仕掛け> 平均的

 早めだった始動も、今は投手の重心が下がりきった時に動き出す「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多く観られる仕掛けです。打率は若干下がりましたが、打点は少し増えたのはこのせいでしょうか?

<足の運び> 
☆☆☆☆ 4.0

 足を大きく引き上げてからまわしこんで、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」は充分取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応。ただしこの足の引き上げは、タイミングを図るというよりも強く踏み出すためだと考えられます。また真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも捌きたい万能型。

 踏み込んだ前の足元もしっかりインパクトの際には止まっており、逃げてゆく球や低めの球にも「開き」を我慢して対応できるようになっています。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは早めに作れており、速い球にも立ち遅れません。しかしバットの振り出しが少し遠周りに出てくるタイプで、インパクトまでロスがあります。バットの先端であるヘッドの下がりは極端ではないのですが、若干立てるような意識で振れると、打ち損じが減って拾える球も増えるかもしれません。上半身の使い方に関しては、昨年から変わっていませんでした。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは大きいのですが、目線の上下動は平均的。身体の「開き」は我慢できており、軸足も少し前にツッコミがちではありますが悲観するほどではないでしょう。ボールを手元まで呼び込んで捌くというよりは、ボールに向かってゆくタイプなので、身体がツッコミ過ぎないように注意したいです。

(打撃のまとめ)

 打率.353厘を残した昨春のリーグ戦の頃と比べても、構えや始動のタイミングの違いはあれど、身体の使い方には大きな変化は観られません。下半身の使い方は良いのですが、スイング軌道がやや外回りな点を今後いかに改善して行けるかではないのでしょうか。特にボールを捉えるセンスや長打力に特筆すべきものはありません。やはりこの選手は、パンチの効いた手首の強さと、集中力の高さを活かした勝負強さに特徴があるのだと思います。


(最後に)

 スナップの強さで送球できてしまう守備は、不安定なものの外人ばりで興味深いものがあります。またしっかり捉えた打球は強烈で、インパクトのあるスイングができます。あとはプロ入り後、いかに確実性を増して行けるかではないのでしょうか。
 
 下級生までは、素材としては平凡で精神面を評価すべき選手かと思っていました。しかしスナップやリストの強さはあり、むしろ素材型であり、今後そういった粗っぽい部分をいかに精度を高めてゆくかにかかっていると感じました。こういった素材を磨くのは、プロの方がお得意なので、プロ向きな選手ではないのでしょうか。即戦力という感じはしませんが、数年ファームや一軍を経験するなかで、何かを掴めるかどうかだと思います。極めて高い評価はできませんが、4位前後ぐらいではプロ入りする選手ではないのでしょうか。


蔵の評価:
☆☆ (中位指名級)


(2018年 大学選手権) 









中川 圭太(東洋大3年)二塁 180/75 右/右 (PL学園出身) 





「悪い選手ではないが」 





 PL学園出身の選手のなかで、最後のドラフト指名選手になるかもしれない 中川 圭太 。 高校時代同様に、強烈なキャプテンシーでチームを引っ張る存在。そしてここぞの場面での集中力の高さには、眼を見張るものがある。しかしながら、プロとなると売りになる特徴が見え難いのも確かなのだ。


(守備・走塁面)

 残念ながら、一塁までの到達タイムは計測できず。プレーを見る限りは、中の上ぐらいの印象。秋のリーグ戦では、はじめて3盗塁を記録。少し、走塁への意識も高まっているのかもしれない。しかしプロで足をアピールする姿は、今のところ想像できない。

 二塁手としても、可も不可もなしといった感じ。守備範囲も、けして狭くはないし、ボールの扱いも丁寧。しかし特別身のこなしが柔らかいとか、地肩が強いとか、俊敏といった特徴は見えて来ない。プロレベルで見た時に、二塁を任せられるかと言われると微妙なレベルではあるように感じる。





(打撃内容)

 非常に、打球が鋭いのが特徴。秋のリーグ戦では、打率.353厘とはじめて3割を越えたが対応力も低くない。3年春は3本塁打を放ったように、ツボにハマればスタンドインのパンチ力も秘めている。

<構え> 
☆☆☆☆ 4.0

 ほぼ両足を揃えたスクエアスタンス(若干クローズ気味)で、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合・全体のバランスに優れ、両目で前を見据える姿勢も並ぐらいだろうか。特に打席では、高い集中力が感じられる。あとは、もう少し構えの中で柔らかさみたいなものが出てくると良いのだが。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。これは対応力重視の、アベレージヒッターに多く観られるタイミング。

<足の運び> 
☆☆☆☆ 4.0

 足を引き上げ、真っ直ぐ踏み込んで来る。始動~着地までの「間」は充分あるので、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすいはず。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいという万能型。踏み込んだ前足が、インパクトの際にもしっかり止まっている。そのため外角に逃げてゆく球や低めの球にも、食らいつくことができるはず。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」の形までは、早めに作れていて問題はない。しかしバットの振り出しが、インパクトまで少し遠回りに軌道するのが気になる。それでもバットの先端であるヘッドは下がっていないので、タイミングさえ合えば打ち損じは少ないタイプではないのだろうか。

 ヘッドスピードが非常に鋭く、最後までしっかり振り切るタイプ。けしてフォロースルーなどを活かして、ボールを遠くに運ぶタイプの打者ではない。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げあるものの、目線の上下動は大きくはない。身体の「開き」も抑えられているが、少し軸足の形が崩れがち。あまり軸回転で、スイングするタイプではないのかもしれない。軸足が、しっかり地面から真っ直ぐ伸びて回転できるような呼び込みができるようになると、もっと安定した成績が望めそうなものなのだが・・・。

(打撃のまとめ)

 特に当て勘が悪いわけでも、ひ弱な選手でもない。むしろ>ヘッドスピードの鋭さと、集中力が高まった時の打撃は見事。しかしその集中力が、長く持続できるというほどではない。課題は、スイング軌道が少し遠回りなのと軸足の安定感。特徴的に見えづらいのは、先輩の 笹川 晃平(東京ガス)に少し似たところがあるのかもしれない。


(最後に)

 3年秋までの内容だと、ドラフト候補ではあるが、指名圏内の選手ではないといった感じ。この辺を最終学年で、何処までスカウト達を納得させるのかということ。右打ちの二塁手は貴重なので、二塁ならばプロで任せられるというものを示しつつ、打撃でアピールするというのが、一番プロへの評価は高まりそう。そういったものを示すことができるのか? 今年は注目してみてゆきたい。


(2017年 大学選手権)