18dy-20





大盛 穂(広島)外野手のルーキー回顧へ







 大盛 穂(静岡産業大4年)外野 179/70 右/左 (飛龍出身)
 




 「わからないことが多すぎる」





 静岡の飛龍高校時代から、県内では注目の外野手だった 大盛 穂 。高校時代にはレポートの中でも取り上げたことのある選手だったが、大学時代は特に注目したことはなかった。特に残念だったのは、毎年恒例の 東海地区大学選抜(代表に選ばれていたかは不明)と巨人 との試合が、雨で流れてしまって確認できなかったこと。したがって、この選手の大学時代の成長ぶりが確認できなかったのは痛かった。


守備・走塁面

 俊足・強肩の守備・走力が売りの選手。残念ながら一塁到達タイムの正確な記録は残っていないが、ベストナインを獲得した4年春・秋のシーズンでは、6個・5個 と盗塁を決めている。プロで足を売りにするほど絶対的な脚力があるかは微妙な数字ではあるが、ある程度動ける走力があるのは間違いない。50メートル6.0秒の俊足を活かし、チームでも核弾頭を担っているという。

 守備に関しては、高校時代にかなり褒めたコメントしているので引用してみたい。「素晴らしいのは、外野守備。ボールへの反応・追い方・キャッチングなど、これは高校生でも、かなり上位の技量かと。」とのこと。肩もかなり強いというこで、身体能力はプロ級のようだ。





(打撃内容)

 バットコントロールの良さを活かし、4年春には.392厘で首位打者に。続く4年秋も..444厘の好成績を残してベストナインを獲得している。ただし残念なのは、神宮大会の出場を賭けた代表決定戦では、7打数0安打と精彩を欠いた。4年時の打撃フォームは、動画が上がっていたので参考にさせて頂きたい。ただし審判の陰に隠れてしまい、動作がよく確認できなかった部分があることはご了承願いたい。

<構え> 
☆☆☆☆ 4.0

 前の足を引いてつま先立ちし、グリップは高めに添えられている。腰を深く沈め癖のある構えではあるが、両眼で前を見据える姿勢も悪くない。打席での佇まいにも、雰囲気がある。

<仕掛け> 不明

 投手の重心が下るときに、開いていた足をスクエアに戻しているのだが、このときに足を浮かして「早めの仕掛け」をしているのか、一度ベース側につま先立ちしてリリース直前に始動する「遅すぎる仕掛け」をしているのか見えなかった。ただし身体の他の部分をみていると、どうも「遅すぎる仕掛け」をしているようにみえ、もしそうだとプロのスピード・キレへの対応には苦労するかもしれない。

<足の運び> ?

 これも足が完全に見えなくなってしまっているので、はっきり動作がわからない。1つわかるのは、他の身体の動きから踏み出した前の脚はインパクトの際にしっかり止まっているだろうということ。そのため、逃げて行く球や低めの球にも喰らいつくことができるのではないのだろうか。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形は自然体で、ボールを呼び込むときに力みは感じられない。バットの振り出しは、けしてインサイドアウトではないように見える。そのため内角のバットの出が悪いように見えがちだが、脇を締めて上手く内角寄りの球も捌けていた。

 しかし参考にした動画を見る限り、リーグ戦で対戦しなれていた相手校のバッテリーが、執拗に内角攻めをしていたのは内角に弱いという判断だったのかもしれない。外角の球を捉えるのにはロスはなく、バットの先端であるヘッドも残して上手く捌けている。スイング自体も鋭く、最後までしっかり振り抜いてくる。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げが小さいのか? 目線の上下動は小さい。身体の開きも我慢でき、軸足も地面から真っ直ぐ伸びてスイングできている。そのため軸回転で、キレイなスイングができる。

(打撃のまとめ)

 わからない部分は多いが、技術的には良いものを持っていそう。しいて言えば始動が遅すぎることで、プロのスピードへの対応には少し時間がかかるかもということ。そして狙い球を絞って、その球を逃さないタイプの打者に見えるので、打撃の幅をどのように広げてゆくかではないのだろうか。


(最後に)

 足よりもむしろ、守備に自信があるタイプではないかと。そして打撃は、長打よりも甘い球を鋭くはじき返し、野手の間を抜けて行くタイプの好打者ではないのだろうか。なんとも評価をするのにはサンプル不足で申し訳ないが、調査書を出したのは指名したカープのみだったということ。こういった独自路線が、どのような成果をもたらすのか興味深い。


(2018年 春季リーグ戦)