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佐藤 龍世(西武)内野手のルーキー回顧へ






佐藤 龍世(富士大4年)三塁 174/80 右/右 (北海出身) 
 




「ガッツ溢れる三塁手」 





 三塁手らしく、攻撃的なプレースタイルが魅力の 佐藤 龍世 。ボールにもダイビングキャッチで飛びついたり、初球から甘い球を逃さない積極的なスイングが目立つ。


(守備・走塁面)

 強打者ながら、球際での強さを発揮するタイプ。極めて俊敏だとか守備範囲広いとは思わないが、自分の届く範囲のボールには強い。捕ってからは、実に力強い返球でかなりの強肩だと言えよう。守備力もプロでも今後サードを続けて行けるレベルの、三塁手と言えるのではないのだろうか。

 走力に関しては、正確なタイムは計測できず。ただし走っているのをみると、中の下ぐらいなのかな?といった印象は受ける。実際シーズンでも、1,2個ぐらいしか盗塁は仕掛けては来ない。プロで、足を売りにしてゆくことはなさそう。


(打撃内容)

 3年春のリーグ戦では、打率5割・3本塁打・10打点と大活躍し首位打者を獲得。4年春は、力みからか成績はイマイチだった。春のオープン戦で観た時も、チームメイトの 楠 研次郎(東海大相模出身4年)外野手の方がよく見えたぐらいだった。

<構え> 
☆☆☆ 3.0

 前の足を引いて、グリップは高めに添えられている。背筋を伸ばしつつも、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスは並ぐらい。足を引いていてもそうなので、かなり身体は固いのではないかと心配になる。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下る時に動き出す「早めの仕掛け」を採用。これは確実性が重視する、アベレージ打者に多く観られる始動となっている。

<足の運び> 
☆☆☆ 3.0

 足を引き上げ回し込み、ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応できる。アウトステップを採用するように、内角を意識したスタイルだということがわかる。

 踏み込んだ前の足は、インパクトの際になんとかブレないで我慢。アウトステップでも、甘めの外角球や高めの球にならば食らいつくことができます。気になるのは、ベースから離れた方向に踏み出すというだけでなく腰が早く開いて逃げてゆくところだろうか。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、力み無くボールを呼び込めている。バットの振り出しは少し遠回りに出てくるものの、インパクトの際にはバットの先端であるヘッドが下がらないのでドアスイングにはならない。ボールを遠くに運ぶというよりも、深いトップと最後まで力強く振り抜くことで、強烈な打球を生み出している。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 頭の上げ下げは小さく、目線の上下動は少なめ。そのため錯覚を起こすことなく、球筋を追うことができている。身体の「開き」は早く開くものの、前が止まるのである程度のところまでで抑えることができている。スイングの際に軸足が前に傾いており、身体が突っ込まないように注意したい。

(打撃のまとめ)

 技術的には、身体が早めに開いたり、スイング軌道が少し遠回りだったり、軸足が不安定など課題は少なくない。そのへんの粗い部分を、気持ちの部分で補っていることが大きい。三塁をしっかり守れる上に、身体が強く打球は強烈。技術的に改善できたときに、どのぐらいの成績を残すのか西武の育成力が問われることになりそうだ。


(最後に)

 打者の育成に定評のある西武が、彼のような選手をどのように仕立てるのか興味深い。難しい球を上手く捌くというよりは、甘い球を逃さないといったタイプ。個人的にはプロでは厳しいのではないかとみているが、西武の育成力と本人の努力で私の見立てを覆して欲しい。


(2018年 大学選手権)