18dy-15





太田 光(楽天)捕手のルーキー回顧へ







太田 光(大商大4年)捕手 177/70 右/右 (広陵出身) 
 




 「大学屈指の捕手」





 攻守のバランスという意味では、今年の大学生捕手の中でも、屈指の存在なのがこの 太田 光 。昨年までは、どちらかというとディフェンスの方がが目立っていた。しかし今春のリーグ戦では、13試合 2本 8点 打率.522厘 の好成績で首位打者やベストナインを獲得し、一躍打てる捕手として評価を高めている。


ディフェンス面:
☆☆☆★ 3.5

 ミット投手に示したあとは、地面に降ろすことなく捕球。キャッチングでもミットがブレず、ワンバウンド処理でも素早く下からグラブを出せるなど、プレーに重苦しさは感じられない。リードも適度に考えられており、投手の気持ちもある程度汲みとろうという意思も感じられ、捕手としての適性も悪くない。

 気になったのは、イニング間では走者に滑り込んでくるところに無理なく送球。地肩自体も、かなり強そうに感じられる。しかし大学選手権の徳山大戦では、延長タイブレークの大事な場面で悪送球。平塚での全日本合宿でも、投手にも責任はあるが、完全に盗まれて走られ放題の状況を作っていた。そういった意味では、スローイングに関しては大いに不安を残す。それでも極端なスローイング難だということがなければ、充分にプロでやって行けるぐらいの資質を持った捕手だろう。





(打撃内容)

 少しポイントが後ろの選手であり、力まなくても打球がポ~ンとセンターからライト方向に大きな当たりが飛んでゆく。ただし、極端に当て勘が良いとか、天性のスラッガーだとか、そういった特別なものは感じられなかった。捕手の割には、一定の打力があるというところに、この選手の価値はあるのだろう。

<構え> 
☆☆☆ 3.0

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップは高めに添えられている。腰の据わり具合、両眼で前を見据える姿勢、全体のバランスとしては、並ぐらい。打席では大きく魅せて、適度な威圧感を投手には与えている。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下がり始める時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。これは、典型的なアベレージヒッターに観られる対応力重視の始動となっている。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を大きく引き上げて、少しベース側に踏み込んできます。始動~着地までの「間」はとれているので、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすい。軽くインステップして来るように、意識はやや外めにあるのではないのだろうか。

 踏み込んだ前の足は、しっぱりインパクトの際にも止まっている。そのため逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができるはず。しかし大学選手権の徳山大戦では、低めの変化球を三振する場面が目立った。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」の形は、早めに作れている。そのため、速い球には立ち遅れない。バットの挿入角度は悪くないのだが、バットの先端であるヘッドが下がって出てくるでインパクトまで遠回りに軌道する。この辺が、ポイントが少し遅れる彼独特のセンターから右中間へ伸びる飛球生み出す要因なのかもしれない。しかし内角の球には、比較的スムーズにバットは振り抜けるのではないのだろうか。
 
 フォロースルーを使ったり、スイングの弧が大きいわけではないが、最後までしっかりは振り切れているので打球が伸びる。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げが大きいので、ボールを打ちにゆく時に結構目線が動いてしまっている。踏み出した足元はブレないので、身体の「開き」は我慢できている。軸足も地面から真っ直ぐ伸びており、軸を起点にスイングはできているのだが・・・。ボールをきっちり捉えられるかまでが課題で、捉えてからはしっかりした打球が飛んでゆく。

(打撃のまとめ)

 特別ボールを捉えるのが上手いとか、滅法打球を遠くに飛ばすとか、ヘッドスピードが特別鋭いとかそういったものは感じられなかった。しかし力みなく自分のスイングができるということは、大事な要素ではないのだろうか。この選手は、ボールを捉えるまでの技術に課題をのこしている。しっかり捉えさえできれば、ボールは遠くに伸びてゆく。


(最後に)

 スローイングの状況を、今後も注視しておきたい。しかしそれ以外のディフェンス面では、充分プロを意識できる素材。打撃も一定の水準には達しており、ドラフトでも順調にゆけば中位指名ぐらいでは指名されても不思議ではないだろう。今年の大学生の捕手の中でも、攻守のバランスが取れているという意味では、屈指の存在ではないのだろうか。


蔵の評価:
☆☆ (中位指名級)


(2018年 大学選手権)