18dy-12









米満 凪(奈良学園大4年)遊撃 170/67 右/左 (敦賀気比出身) 
 




 「プロ入りをグっと手繰り寄せた」





 2018年度の大学選手権開幕戦・立命館戦において、チームは敗れたもののプロ入りをグっと手繰り寄せた選手がいる。その男の名前は、米満 凪 。大会前からドラフト候補の一人としては名前があがっていたが、ドラフト指名確実といった位置づけの選手ではなかった。しかしこの試合でライトへのホームランを含む・3安打・4盗塁を残し、スカウトに大いにアピールできたのは間違いない。


走塁面

 残念ながら、一塁までの正確なタイムは計測できず(高校時代の映像で4.0秒前後)。しかし出塁すれば、迷いのないスタートを切って来る。盗塁をするということに関しては、プロでも上位レベルなのは間違い無さそう。リーグ戦でも二桁盗塁を決めるシーズンもしばしばしで、まさに彼の中でも走力が最大の売りであることは間違いない。

守備面:
☆☆☆★ 3.5

 高校時代から丁寧にボールを捕球する選手で、内外野いろいろなポジションを守ってきた選手。遊撃手としても非常に守備範囲が広く、スピード感があるのは間違いない。地肩もまずまずであり、プロレベルに混ぜてもニ遊間を担える人材だろう。プロだと遊撃手というよりも、小回りが効くぶん二塁手タイプなのかもしれないが。





(打撃内容)

 プロも注目する山上大輔(立命館)投手から、第一打席には高めに浮いた速球を逃さずセンター前に。また第四打席では、同じ真ん中高めの速球を右中間スタンド中段まで飛ばして魅せた。最終打席では、内角の厳しい球をセンタ-前に落とすなど、しぶとさもアピールできた。元々打撃のイメージが強い選手ではなかったのだが、この春のリーグ戦では首位打者にも輝いている。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 前の足を軽く引いて、グリップはやや下げて構えています。背筋を伸ばして立ち、全体のバランスとしては平均的。両眼で前をしっかり見据えられているのと、打席での高い集中力が感じられるのが良いところ。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下るときに動き出す、「早めの仕掛け」を採用。典型的な、アベレージヒッターに多く観られる仕掛けです。彼のプレースタイルにも、合致しているのではないのだろうか。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を引き上げてまわしこみ、少しベース側に踏み込んできます。始動~着地までの「間」は充分あり、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応しやすいはず。ベース側にインステップするように、外角球への意識が高いことがわかります。

 踏み込んだ前の足もしっかり止まっており、外に逃げる球や低めの球にも食らいつくことができます。しかし左のアベレージヒッターが踏み込んで打つと、内角が窮屈になったり最初の一歩目が遅れがちになるので、率が残り難い傾向があります。

<リストワーク> 
☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、速い球に立ち遅れる心配はありません。また素晴らしいのは、バットが内から出るために、インステップでも内角の球をフェアゾーンに落とせますし、外の球を叩くのにもロスを感じません。

 インパクトの際にバットの先端であるヘッドもそれほど下がっていませんし、最後までしっかり振り切ってきます。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは静かで、目線の上下動は少なめ。身体の「開き」も抑えられており、軸足が少し前に傾きがちですが悲観するほどではないでしょう。前に突っ込まないように、日頃から注意したいところか。

(打撃のまとめ)

 特別ボールを捉えるセンスを感じるとか、スイングが凄いというわけではありません。ただし高い集中力があり、甘い球を逃さない「鋭さ」があるということ。それにもまして、内からバットが出てくるので打ち損じが少ないのではないかと考えられます。身体は小さいのですが、思いのほど打球が飛んでゆくのにも驚きました。


(最後に)

 上のレベルでもニ遊間を担える素材であり、今年の大学・社会人では貴重な存在です。何より彼の売りは、プロでも足を売りにできるぐらいの走力・スピード感のあるプレーだと言えます。打撃に特別な才能は感じませんが、甘い球を逃さない集中力とそれを可能にするだけの、スイング軌道の良さが光ります。

 本人もプロ志望だということで、特に順位にこだわらなければ、下位指名~育成の中など何かしらの形での指名はあるのではないかと評価します。物凄い高い評価での入団は厳しいかもしれませんが、意識も高そうな選手であり指名リストに名前を残してみたい好選手でした。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2018年 大学選手権)