18dy-10





渡辺 佳明(楽天)内野手のルーキー回顧へ







渡辺 佳明(明治大4年)遊撃 180/78 右/左 (横浜出身) 
 




「実力でドラフト指名へ」





 前横浜高校監督・渡辺元智氏の孫ということで、高校時代から色メガネで観られてきた 渡辺 佳明 。しかしこの秋は、東京6大学の首位打者が確定的であり、実力でドラフト指名の有力候補へと踊りでた。この選手そういった数字だけでなく、柔らかいボール捌き・熱いプレースタイルなど目を惹くものがある。


守備面:
☆☆☆ 3.0

 最終学年になって、サードからショートにコンバート。それまでの3年間で、すでにサードとして二度のベストナインに輝いていた。ショートとしては、守備範囲が広いのが特徴。特にキャッチングまでの流れ、足回の良さには優れている。気になるのは、スローイングが結構乱れること。難しい体勢からの送球だと、どうしても地肩の物足りなさが出てしまう。むしろサードのような直線的な動きの際には現れ難い、粗さが出てしまう。そう考えるとプロでもショートを守ることができないとは言えないが、やはり任されるのはサード・セカンドといったポジションではないかと考えられる。ユーティリティプレーヤーとして重宝されるかもしれないが、ショートとしては無難に守れる程度といったレベルで、長期的な視野にはたちにくい。

走塁面:
☆☆★ 2.5

 一塁までの塁間は、左打席から4.2秒前後であることが多い1シーズンの盗塁数も、0~2個程度と多くない。全く動けない選手ではないが、走塁では大きくは期待できないだろう。特にアベレージヒッターなので、脚力がないのは気になるところ。この脚力だと、プロに混ぜてしまうと 中の下 ぐらいの脚力しかないことになる。

 けして長打で魅了する打者ではないので、守備・走力でアピールできないのは痛いところ。それゆえ今までドラフト指名となると厳しいのではないか、社会人タイプと言われてきた理由ではないのだろうか。





(打撃内容)

 最大の特徴は、リストワークが柔らかいということ。けしてスイング自体当てに行っているわけでもないのに、ボール捌きが非凡で難しい球でもヒットにできる確かな技術があるということ。スイングだけ見ていれば、大きな弧を描きプロ仕様のしなりを活かしたスイングができる。典型的なアベレージヒッターではあるが、一打席ずつ観ていると唸らせるスイングをしてくれる。打撃に関しては、まさにプロといった匂いがしてくる。

(成績から考える)

 ラストシーズンでは、打率.420厘で首位打者が確定的。しかし今回は、4年間の通算成績から、考えてみたい。

1,三振比率は、15%以内か? ◎

 4年間の三振比率は、303打数で17三振。アマの成績ならば15%を切れば合格ラインのところを、驚異の5.6%しか三振をしていないのだ。三振比率が少ないということは、ボール当てる能力に繋がりやすい。4年間の通算打率が.314厘も安定しているが、このコンタクト能力は高く評価したい。

2,四死球率は、10%以上か ◯

 303打数で四死球は32個であり、四死球率は10.6% と基準を満たしている。15%越えて来るようだと突出数字ではあるが、それほどこの数字は基準を満たす程度で突出はしていない。四死球率はプレースタイルにも左右されるが、ボールを見極める眼の良さを測る目安になる。四球で出塁するよりも、ヒットで返そうという意識が高ければそれほど高い数字にはならない。したがって四死球率は、三振比率と合わせながらみるのが妥当ではないのだろうか。

3,通算で3割5分を越えてくるか? △

 4年間の通算打率.314厘は、けして過去のドラフト候補達と比べても突出した数字ではない。こういった選手に求めたいのは、打率4割を超えるようなシーズンを過ごしたことがあるのかということ。そういった意味では最後のシーズンで4割の壁を越えたことで、一つ彼の可能性が広がったのではないかという気がする。好いシーズンならば、それだけの技術と爆発力があるということだろう。

4,長打力か走力に武器になるものはあるのか? ✕

 303打数で7盗塁ということは、プロ野球のレギュラー選手並の500打席で12盗塁ペースで走っていたことになる。プロと大学生では、クィックや牽制の技術・捕手のスローイング能力が格段に違うので、このペースで走ることはできない。ここから読み取れるのは、全く動けない選手ではないということ。ちなみに4年間の通算本塁打は0本であり、長打力も期待できない。

(成績からわかること)

 実際のプレーからうける印象と同じで、ボールに当てる能力には非凡なものがあることがわかった。その一方で、やはり走塁や長打力に欠け、プロで売りにできるものがあるのか?と言う部分ではないのだろうか。もし長打のない打力でアピールするのであれば、プロでも二遊間を担い続けることが大きな別れめになりそおうだ。


(最後に)

 どうしても売りの少なさから、起用される幅が限られてしまう。そのため活躍するためには、ピンポイントで二塁が弱いとかサードのレギュラーの守備が心配で試合途中から出場するチームだとか、環境に恵まれることが活躍の条件となる。

 打席に入る足場の慣らし方には強いこだわりが感じられ、面構えも意志の強さがにじみ出ている。そういった意味では、こういった選手を求めている球団には、ぜひ指名して欲しいと思わせるナイスガイではないのだろうか。下位指名でも好いので、プロでのチャンスを与えて欲しい。そうすれば、這い上がって来る生命力は、強く感じられる選手だから。あわよくば二塁の守備を極めて頂き、篠塚 和典(元巨人)二塁手のような存在になって頂きたい。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2018年 秋季リーグ戦)









渡辺 佳明(明治大4年)遊撃 179/77 右/左 (横浜出身) 





                      「渡辺孫」





 横浜高校の前監督・渡辺元智氏の孫という色眼鏡で見られがちだが、横浜高校でも明治大でもしっかり結果を残して自分の地位を築いてきた 渡辺 佳明 。その証に、六大学に進んでからは、16年秋・17年秋 に三塁手としてベストナインを獲得。この春には、遊撃手としてベストナインに選出されている。1年春から明治の公式戦に出ており、ここまでの76試合の通算打率は.292厘。名実ともに、六大学を代表する野手の一人だと言っても過言ではないだろう。


(守備・走塁面)

 一塁までの塁間は、左打席から4.2秒前後であることが多く平均的。1シーズンの盗塁数も、0~2個程度と多くない。全く動けない選手ではないが、走力は大きくは期待できないだろう。特にアベレージヒッターなので、脚力がないのは気になるところ。

 この春から遊撃にコンバートされたが、元々は三塁手として二度のベストナインを獲得。三塁手としては、守備範囲も広く上手い部類ではあった。しかしある程度長打力も求められる三塁というポジションを考えると、物足りなさが残ったのも確か。

 しかし今シーズンは、遊撃手としてアピール。思ったよりも違和感なくプレーができており、けして下手な遊撃手ではない。送球が乱れたり細かいミスはあるものの、打球への反応、グラブ捌き、フットワークなども、大きな欠点は見当たらない。元々サードだけに、地肩自体はかなり強い。

 とは言っても、社会人やプロでショートを任せられるのか?と言われると疑問は残る。むしろ上のレベルでは、セカンド・サードあたりで勝負してゆくことになるのではないのだろうか。いずれにしても、秋のシーズンも見て、ショートとしての力量や今後の可能性を見極めてゆきたい。なんとなく守備に関しては、糸原 健斗(阪神)に近い感じがする。

 いずれにしてもアベレージヒッターの割に、走力や守備力でアピールできる部分が弱いのがプロの人材と考えると厳しい。あくまでも、アマの好選手という見方をされても致し方ないだろう。ただし気持ちの強い選手でもあり、高いレベルにも順応できるだけの技術も持っている。





(打撃内容)

 バットコントロールに優れており、特に三遊間への打球が多いのが特徴。この春の慶応2回戦でも、低めの変化球を天才的な捌きでレフト前にはじき返したのには驚いた。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 前の足を軽く引いて、グリップの高さはも平均的。腰の据わり具合・両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスもまずまずで、構えに特に悪いところは見当たらない。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が沈みきったときに動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多く観られる仕掛けです。アベレージ色が強い選手なので、若干始動を早めても良いのかもしれません。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足をしっかり引き上げて、ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でも、スピードの変化にはそれなりに対応。アウトステップなので、内角を意識した打撃だとわかります。

 それでも踏み込んだ足元はしっかり止まっており、アウトステップでも甘い外角球や高めの球ならば充分に対応できるはず。だからこそ、レフト方向への打球が多いのだと考えられます。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形をつくるのは自然体で、ボールを呼び込むまでに力みはありません。バットを引くのが遅れないように、注意したいところ。

 バットの振り出しは、インサイド・アウトではなく外の球をしっかりシナリを生かしてスイングするタイプ。外角球を捉えるのには大きなロスはなく、むしろ内角を捌くのにはある程度スペースが欲しい。アウトステップするのも、内角を捌くスペースを確保する意味合いが強いのではないのだろうか。特に外の球を拾うのをお得意にしているので、バットの先端であるヘッドを気持ち立てるような感覚で振れると、拾える確率が上がりそう。アベレージヒッターでも、しっかり振って結果を残している。そういった意味では、上のレベルでの順応も、意外に早いのかもしれない。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはそれなりにあるが、目線の上下動は並ぐらい。身体の「開き」は抑えられており、軸足にも適度に粘りが感じられる。

(打撃のまとめ)

 バットコントロールに優れた好打者でありながら、しっかりバットを振った上で結果を残している。スイングに関しては、プロ仕様であり、大きくスイングをいじることはなさそう。1年生のときは1割台だったが、2年春以降の5シーズンで3割を越えたシーズンが3回ほどある。長打で魅了するタイプではないが、気持ちも強く実戦に入ったらしっかり結果を残せるタイプではないのだろうか。


(最後に)

 常識的に考えれば、大学からのプロ入りは厳しいのではないかと考えられる。しかし彼の技術と精神面を考えると、指名された場合、全く通用しないとは考えづらい。明治の先輩である島内 宏明(楽天)のように、しぶとく活躍して行ける選手なのかもしれない。秋まで追いかけて、最終判断をしてみたい。


蔵の評価:
追跡級!


(2018年 春季リーグ戦)