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中山 翔太(ヤクルト)外野手のルーキー回顧へ







中山 翔太(法政大4年)左翼&一塁手 186/90 右/右 (履正社出身) 





 「打球があまり上がらない」





 まるでアメフト選手のような体格から、上半身に力がガチガチに入った構えをする 中山 翔太 。物凄いフルスイングと、ボールを下からしゃくりあげるようなフォロースルーを魅せるのだが、意外に打球が上がらないタイプなのではないかという気がする。イメージ的には、力で強引に持ってゆこうとする 中田 翔(日ハム) みたいな印象だ。こういった打者は、なかなか打球が上がらず、強烈な打球で野手の間を抜けてゆくことが多い。


(守備・走塁面)

 残念ながら、この選手の一塁到達タイムは計測できたことがありません。しかし走塁などを見ていると、全力で一生懸命走る姿勢には好感が持てます。また走力自体なさそうですが、物凄く遅いわけではないでしょう。しかし公式戦での盗塁は、一度も記録していません。

 左翼手としては、打球判断が悪いのは気になります。それでも守備範囲・肩の強さ含めて、プロの打撃重視のレフトならば、どうにかなるかもという思いもあります。走力は全くないわけでも意欲がないわけでもないのですし、肩も弱くはありません。

 むしろ一塁手としては、結構軽快な動きを魅せますし、状況判断に優れています。おそらくプロに混ぜても、上手い部類の一塁手に入るのではないのでしょうか。少なくても一塁手としてならば、計算できる守備力があると評価できます。あとは、そういった需要がある球団があるかだと思います。

(打撃内容)

この春の成績は

12試合 1本 8点 0盗 打率.380(5位)

といった内容。今までは、打率が2割台~3割前半だったのが3割8分まで向上。確実性が高まり、打てる幅が広がった印象です。2年秋以降2本か3本は打っていた本塁打が1本にとどまり、8打点とドラフト候補としては平凡な数字に留まっています。

1、三振比率 ◎

 50打数で三振は4個と、三振比率は8% と大変低いのが驚きです。あれだけバットを強振して来るのに、アマチュアだとはいえ三振比率が10%を切って来るというのは、高いミート力があるという証です。少なくても追い込まれたら、三振をしないように打撃を切り替えている可能性があります。

2、四死球比率 △

 四死球も三振と同じ4個で、四死球比率も8%。通常10%以上あると、ボールを見極める「眼」がある可能性があるのですが、この選手の場合、四球で出塁しようという意識は低いのかもしれません。それでも8%という数字は平均的で、極端にボールが見極められていないわけでもないですし、追い込まれても当てることができるからかもしれません。

3、ホームラン打者の可能性 △

 通算では、193打数で8本塁打を放っています。これをプロのレギュラー選手並の500打数に換算すると、年間21本ペースになるとわかります。現状はこの選手、本質的なスラッガーではないのかもしれないということ。特に打率が上がった今シーズンに、1本しか残せなかったところにその疑いが募ります。

4、ポイントゲッターの可能性 ◯

 193打数で37打点を残しており、これを500打数で換算すると、年間 96打点ペースで打点をあげていることがわかります。一発長打の魅力はありますが、基本的には勝負強さを売りにするポイントゲッターという色彩が強い。そういった意味では、昨年の 岩見 雅紀(慶応-楽天2位)ほど本塁打は期待できないタイプではないかと思います。


(最後に)

 岩見 雅紀(慶応-楽天)よりも、長距離打者というよりもポイントゲッターへの資質が高いという感じがします。それに、岩見ほど脆さがないことがあげられます。さらに岩見はプロの左翼は無理そうだし、一塁手としてもどうかな?という感じでしたが、中山の場合は一塁手なら上手い部類、左翼もチーム事情によってはありかなと思える能力があります。

 力を出し惜しまない全力プレーにも好感が持てますが、打球が上がらない、あるいは4年春に5本塁打を放ち強力なインパクトを残した岩見に比べると、評価はワンランク劣る気はします。右の代打・一塁のバックアップ要員が欲しい、あるいは日本人の強打者が欲しい球団などが指名して来る可能性は高いと思いますが、中位以降での指名になるのではないのでしょうか。個人的には、非常に好きなタイプの選手ではあるのですが ・・・ 。


蔵の評価:
☆☆ (中位指名級)


(2018年 春季リーグ戦) 









中山 翔太(法政大3年)一塁 186/90 右/右 (履正社出身) 
 




                         「ポスト岩見」





 2018年度の候補の中で、岩見 雅紀(慶応大-楽天2位)的存在のスラッガーは、この 中山 翔太 だろう。岩見がポ~ンと空高く打球をあげるタイプなのに比べると、この中山はグシャッと腕っぷしの強さを活かして強引に力で持ってゆくタイプという違いがある。


(守備・走塁面)

 残念ながら履正社時代から、一塁までの到達タイムが計測できたことがありません。2年春からリーグ戦に出場していますが、大学では1度も盗塁を記録したことがありまん。まして、足が速そうにも見えたことはないですね。岩見ほど動けないということはないと思いますが、基本的に走力を期待することはできないのでしょう。

 3年秋のシーズンは、一塁手として出場。一塁手としては無難にこなすだけの動きは魅せており、エラーも記録していませんでした。ただし左翼手としてはかなり危なっかしい上に、打球への反応・守備範囲・肩の強さ含めてプロでは厳しい気もします。岩見よりは守れると思いますが、プロでは一塁・DH要員ではないかとみています。

守備・走塁に関しては、最終学年でしっかり見極めてみたいポイントです。


(打撃内容)

 秋の立教大戦の模様を見ていたのですが、左腕の田中誠投手相手にチェンジアップで狂わされてセンターフライを打ち上げます。しかし次の打席では、そのチェンジアップを見事にライト前に打ち返すなど、前の打席の反省が実に生かされたバッティングをするのに驚かされました。2年秋に行われたヤクルトとのプロアマ交流戦でも、しぶとくセカンドの頭を越えるようなポテンヒットを放つような、しぶとさを持った選手でもあります。岩見にはちょっと一定レベル以上の投手に対応仕切れない脆さがあったのですが、この中山はなんとかしてしまう思考力としぶとさがあるところは、見逃せないポイントではないのでしょうか。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的。腰の据わりはよく、全体のバランスは取れていて、両眼で前を見据える姿勢は並ぐらいでしょうか。少し構え全体から、固い印象は受けるのですが。しかし打席での威圧感があり、非常に気迫が感じられる選手です。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。早めに動き出して、いろいろな球に対応しようとするアベレージヒッターや対応力を重視した打者に多く見られる仕掛けです。高校時代は「遅めの仕掛け」だったのですが、今は確実性を重視していることが伺われます。

<足の運び> 
☆☆☆ 3.0

 足を軽く上げて、なかなか地面に降ろさずベース側に踏み込んできます。始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応。ベース側に踏み込むように、外角を強く意識した打ち方です。

 ただしインパクトの際には、足元が早く地面から離れてしまうので、腰の逃げが早いフォームです。引っ張るのには良いのですが、右方向に追っつけるのには適してはいません。基本的に逃げてゆく球や低めの球は苦手なものの、踏み込んで来るので外角でも高めの球を思いっきり引っ張るのを得意にしているものと考えられます。また高めの外角球ならば、払うようにして右方向への打撃も可能にしているのでしょう。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 早めに「トップ」の形は作れているのですが、「トップ」自体を深くとったりとか、しっかり作って振り出して来る選手ではありません。グリップを早めに下げて水平のバット軌道で、ヘッドを下げずに広い面でボールを捉えるようとします。そのため打ち損じは、少ないタイプかと思います。

 ただしバットをボールの下に潜り込ませて角度をつけるといったスイングではないので、打球が上がり難くインパクト後も、大きな弧と強引なぐらいのフォロースルーで打球を引き上げようとしています。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは静かなので、目線の上下動も大きくは動きません。しかし身体の開きが我慢できるタイプではないのは、やはり気になります。軸足は内モモの筋肉も発達しており、強烈な打球を生み出す原動力になっています。

(打撃のまとめ)

 岩見のような、一定レベル以上の投手は辛いだろうという脆さは感じられません。しかし打球に角度がつけられるタイプではないので、現状は強烈な打球で野手の間を抜けてゆく二塁打が多いようなタイプの強打者では? 勝負強さ・打点は結構期待できそうですが、周り望むほどの長距離打者になれるのかは正直疑問が残ります。その辺は、最終学年でのプレーを見て見極めてゆきたいポイントです。


(最後に)

 学習能力があり、またボールに食らいつくしぶといマインドにも好感が持てます。足元がピタッと止まらない「開き」の早さは気になりますが、そこさえ改善できれば確実性のあるポイントゲッターになれる資質はあるように感じます。

 ただしそのパワーの割に、あまりホームランが出ない可能性があること。そして、守備・走塁での潰しが効かない点をどう見るかではないのでしょうか? 現状は、パ・リーグ向きの強打者ではないかとみています。しかし今年の大学生野手では、最も胸躍る打者の1人であることは間違いありません。


(2017年 秋季リーグ戦)









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