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福田 俊(日ハム)投手のルーキー回顧へ







福田 俊(星槎道都大4年)投手 170/74 左/左 (横浜創学館出身) 
 




 「まだ調整段階だった」





 今年の春のオープン戦で、福田 俊 の投球を確認した。しかしまだ、リーグ戦までは一ヶ月以上あった3月の関東遠征。福田の状態は、調整段階といった感じだった。その時の投球と、3年秋の神宮大会の模様。そして、4年時に公式戦で残した成績を元に考えてゆきたい。


(投球内容)

 スリークォーターから小気味よく投げ込む、実戦派サウスポー。ファームで育成してからといったタイプではなく、一年目から一軍で勝負したい完成度の高い投手。

ストレート 135~140キロ 
☆☆☆ 3.0

 ズバーンとミットに突き刺さる速球は、130キロ台も勢いが感じられる。それでも神宮大会の時に比べると、全体的に5キロ程度遅かった。ボールを両サイドに散らせて来るコントロールはあるのだが、上背はなく肘も少し下がったフォーム。そのためか、並の球速だと苦になく合わされてしまう。フォームの違いはあるが、これは昨年 東 克樹 のオープン戦を観た時に似ている。やはりこの投手の場合も、常時140キロ以上~後半程度の球速や勢いを維持できないと、プロの一軍打者を抑え込むのは厳しいのではないかという気がする。

変化球  スライダー・チェンジアップ など 
☆☆☆ 3.0

 横滑りスライダーとのコンビネーションで投球が組み立てられ、チェンジアップも結構観戦時には使っていました。また神宮大会で時々魅せていたカーブは、この試合では確認できず。投球としては、速球も変化球も両サイドに散らせて打ち損じを誘うといったスタイルであるように思います。何か空振りを誘うような、絶対的な変化球はないように見えます。

その他

 クィックは1.05秒前後で投げられるようになっており、神宮大会よりも0.1秒ぐらい平均して早くなっていました。牽制はそれなりに鋭く、神宮大会ではわからなかったので収穫です。フィールディングの動きもよく、高校時代から野球センスが高く投球以外の部分もしっかりできる投手です。

(投球のまとめ)

 球速が出ていないと、苦になく打者にスコーンスコーン気持ちよく打ち返されていたのは正直気になりました。そのため、いかに140キロ台~後半の勢いのある球を、年間通じて維持できるかに懸かっているように感じます。そういったボールが安定して投げられるのであれば、一年目から一軍で中継ぎとして活躍する可能性は充分あるとみています。


(成績から考える)

 春のリーグ戦では、2勝2敗 防 3.34(7位) と、このオープン戦の内容同様に乗り切れないシーズンを送っていたようです。しかし4年秋のシーズンでは、1勝1敗 防 1.50(5位) と復調気味だったことがわかります。3年秋に残した、防 1.26(1位)ほどの内容ではなかったのでしょうが。秋の詳細なデータがありませんので、不調ではあったものの4年春の成績を元に考えてみます。

4年春 32回1/3 25安打 15四死球 38奪三振 防 3.34 

1,被安打は投球回数野80%以下 ◯

 被安打率は77.4%であり、基準である80%以下であった。そのため防御率こそ悪かったが、そこまで打ち込まれていたわけでは無さそうだ。

2,四死球は投球回数の1/3以下 ✕

 四死球率は 46.4% で、基準である 33.3% とは開きがあった。あまり繊細なコントロールがあるイメージはないが、四死球で自滅するイメージもない。ちなみに良かった3年秋は、59.0% だったので、むしろこの春は良くなっているぐらいだった。しかしそれでも多少アバウトなところがあることは、覚えておいて良さそうだ。

3,奪三振は1イニングあたり 0.8個以上 ◎

 奪三振は、投球回数を上回っており問題はない。追い込んでから、絶妙なところにズバッと決まり見逃しの三振。スライダーでも、外角のボールゾーンからストライクゾーンにバックドアで入ってくるなど、通常のストライクゾーンの中で変化するものと複数の軌道を持っている。

4、防御率は1点台 △

 春のシーズンは駄目だったが、3年秋と4年秋ではこのファクターを満たしていた。特に3年秋は、1点台前半の数字を残している。

(成績から考える)

 確かに4年春は防御率が悪く、結果として優勝も逃し大学選手権に駒を進めて来られなかった。しかし数字的にはそこまで悪いものではなく、それほど普段と傾向は変わっていなかった。被安打や奪三振良かった一方で、コントロールは想像以上にアバウトな傾向があるようだ。


(最後に)

 3年秋の神宮大会の投球を観た時は、3,4位ぐらいの指名となり即戦力の有力候補になるのではないかというイメージだった。そういった意味では、7位まで残っていたのは美味しいかったかもしれない。しかし7位まで残っていたように、実戦的に見えてコントロールが結構アバウトだったり、ボールが走っていないと簡単に打たれてしまう危険性もあるということ。そう考えると、7位ぐらいの指名というのは、妥当なラインなのかもしれない。いずれにしても結果は3年のうちに出そうな選手であり、そこまでに結果が残せないようだと早期の退団ということになってしまうかもしれない。果たして、7位の指名が美味しかったということになるだろうか?


蔵の評価:
☆ (下位指名級)


(2018年 春季オープン戦)










福田 俊(星槎道都大3年)投手 170/75 左/左 (横浜創学館出身) 
 




                     「即戦力候補だね」





 来年即一軍で戦力になりそうな左腕、そういった意味ではこの 福田 俊 は有力な候補になりそうだ。スリークォーターから投げ込む投球は、スケールで魅了するというよりは実戦派。追い込まれた時の精神力の強さこそ、この選手の魅力ではないのだろうか。


(投球内容)

 横浜創学館時代から、高校生離れしたマウンド捌きをしていたサウスポー。高校からプロにゆくほどのスケールは感じられなかったが、大学ならば頭角を現すだろうと思っていた。ただその場所が、神奈川から遠く離れた北海道の地だとは思ってもみなかったが。

ストレート 130キロ台後半~140キロ台中盤 
☆☆☆★ 3.5

 球速的には常時140キロ前後ぐらいと、ドラフト候補としては並ぐらい。高校時代はもっとピュッと切れる感じの球だったが、今は適度に球威も加わってきた。彼の素晴らしいのは、勝負どころでも好いところに決まるというところ。精神的に追い込まれた状況でも、自分の持ち味を素直に発揮できるメンタルの強さがある。

変化球 スライダー・カーブ・チェンジアップなど 
☆☆☆ 3.0

 横滑りするスライダーとのコンビネーションが中心で、時々もっと緩いカーブを織り交ぜたりする。また右打者に対してはチェンジアップ系の球も投げるものの、むしろ右打者の外角にはボールゾーン~ストライクゾーンにバックドアのスライダーを使うことの方が多いのではないのだろうか。

 時々甘く入ったカーブを狙い撃ちされたり、プロの打者を仕留めきるほどの変化球はないように感じる。カウントを稼ぐことはできても、決め球になりえる球がないのは気になる。

その他

 クィックは、1.15~1.20秒ぐらいと平均的。ランナーを出して牽制は観られず、フィールディングはそれなりに上手いのではないのだろうか。

(投球のまとめ)

 マウンド捌きに優れ、試合をまとめられるタイプではある。ただしプロという舞台で考えると、先発よりもリリーフで持ち味を発揮するタイプではないかと思うのだがどうだろうか? というのも「間」をそれほどゆったり使って来るタイプでもなければ、カーブで緩急が甘くなったり、チェンジアップ系の精度もそれほど高くない。速球とスライダーという単調な配球であり、現時点ではリリーフの方が活きる印象を受けている。

(投球フォーム)

ノーワインドアップから、静かに入ってくるフォームです。

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻は思ったよりも三塁側(左投手の場合は)に落ちており、身体を捻り出すスペースは確保できている。そういった意味では、カーブやフォークを投げるのにも無理はない。

 「着地」までの粘りもそれなりで、身体を捻り出す時間も確保。将来的には、多彩な球種で的を絞らせない投球も期待できるかもしれない。

<ボールの支配> 
☆☆☆★ 3.5

 グラブは内にしっかり抱えられ、両サイドにはボールが散りやすいはず。しかし足の甲の押し付けは浅いので、力を入れて投げると上吊りやすい。「球持ち」自体は悪くないが、繊細なコントロールいうほどではない。あくまでも、大方この辺にといったタイプなのだろう。

<故障のリスク> 
☆☆☆☆ 4.0

 お尻はある程度落とせるフォームなので、カーブやフォークを投げても窮屈にはならない。そのため肘への負担も少ないだろうし、そういった球種もあまり見られない。

 腕の送り出しにも無理はなく、肩も痛め難いのでは。もう少し全身を使った力投派だと思っていたが、意外に消耗の少ないフォームだったのに驚く。そういった意味では、疲れも溜め込み難く故障のリスクも低いのではないのだろうか。

<実戦的な術> 
☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りはそれなりで、「開き」も抑えられており、打者としては球の出処は見難そう。

 しかし振り下ろし腕はあまり身体に絡んで来ないなど、腕の振りやフォームに思ったほど勢いが感じられない。これでは、プロのレベルの打者から三振を奪えるかは微妙な気がする。またボールへの体重乗せも、前の足が突っ張ってグッと前に体重移動して行かないところは気になる。あくまでも上半身や腕の振りで、キレを生み出すタイプだということだろうか。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」の観点でみると、「体重移動」に課題があるのではないのだろうか。

 故障のリスクは低そうだし、今後もさらに球種を増やし投球の幅も広げて行けそう。しかし足の甲の押し付けが浅いなど、ボールが上吊りやすかったりと、四死球こそ出さないが細かい制球力はない感じがする。


(最後に)

 現状は、7:3 ぐらいで、プロで即戦力になるとすればリリーフだろうなという気がしています。プロで先発をとなると、もうワンランク上の内容を求めたくなります。そのため現在の位置づけは、3位前後ぐらいなのでは? さらに内容を良化しアピールできれば、2位指名あたりまでは夢ではないように感じるし、このままで中継ぎタイプだという印象を受けるようだと4位ぐらいで収まる可能性も捨てきれない。果たしてどのような最終学年になるのか? 今から期待して見守ってみたい。


(2017年 神宮大会)