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漆原 大晟(新潟医療大4年)投手 182/83 右/左 (新潟明訓出身) | |
大学の下級生時には生で見たこともあったが、そのときは下半身が上手く使えない投手だったという記憶が残る 漆原 大晟 。しかし最終学年での投球は確認できなかったが、映像を見る限りその点はだいぶ改善されているのではないのだろうか。 (投球内容) ストレート 常時140キロ前後~140キロ台中盤 大学2年時に見た時は、常時140キロ前後~140キロ台中盤(MAX91マイル・146キロ)を記録していた。ボールの力・勢いは確かにあったのだが、コントロールがアバウトで素材としての奥行きもあまり感じられなかった。しかし4年秋のリーグ戦では、最速151キロを記録するなど更にパワーアップしてそう。特にリーグ戦の防御率などに大きな変化はないのだが、最も変わったのは奪三振の多さ。以前は投球回数の半分程度だったのが、今や投球回数と同数程度にまで増えている。それだけ、ストレートの勢いに磨きがかかったのでは? 変化球 スライダー・ツーシーム・スプリット など 大学の下級生時は、速球とスライダーという単調なコンビネーション。他にチェンジアップというよりも、小さくシュート回転するツーシーム的なボールがある程度。そのため投球には、どうしても奥行きが感じられなかった。しかし最終学年での映像を見ていると、縦に変化するボールを身につけており、この球で三振が誘えるようになっているのではないのだろうか。ストレートの勢いが増したのと、空振りを誘える球を身につけたことで三振の比率が格段に上がったように見える。どうもこの縦の変化球は何なのか調べてみると、スプリットを投げていることがわかった。 (投球のまとめ) 相変わらず被安打が多めだったり、四死球が多いのは下級生のときとあまり変わっていない。それでも奪三振が格段に増えており、下半身が使えるフォームになった効果は明らかに出ている。まだまだボールの力に頼った荒削りな投球だが、馬力を活かしたリリーフ向きの投手ではないかとみている。 (投球フォーム) まだよくわからない部分も多いので、投球フォームを分析してみてみたい。 <広がる可能性> ☆☆☆☆ 4.0 お尻がしっかり一塁側に落とせるために、身体を捻り出すスペースを確保。カーブで緩急をつけたりフォークのような縦の変化球を投げても、肘への負担は少ないはず。 「着地」までの粘りもよくなり、身体を捻り出す時間も適度に確保。キレや曲がりの大きな変化球も可能になり、強烈なスプリットをものにできるようになってきた。さらに球種を増やし、ピッチングを広げることも可能だろう。以前ような、一辺倒な印象は薄まった。 <ボールの支配> ☆☆☆☆ 4.0 グラブは最後まで内に抱えられ、両サイドの投げ分けが安定。足の甲でも地面を押し付けられるようになってきており、あとはもっと地面を長く捉えられるようになると、球が低めに集まってきそう。「球持ち」もけして悪くはなく、これでも制球が悪いとすれば、指先の感覚がまだまだ悪いことに原因がありそうだ。ボールにしっかり力伝える意識を持ち、指先の感覚を養いたい。 <故障のリスク> ☆☆☆☆ 4.0 お尻は落とせており、カーブやフォークのような捻り出して投げる球種にも負担はかかり難い。実際カーブは見られず、縦の変化も浅く挟むスプリットだと訊く。そうだとすれば、それほど肘への心配もないだろう。 腕の送り出しにも無理は感じられず、肩への負担も少ないのでは? 比較的力投派のイメージはあるが、タフそうだし気にしなくても良さそうだ。 <実戦的な術> ☆☆☆☆ 4.0 「着地」までの粘りも適度にあり、球の出どころも隠せている。そういった意味では、けして合わせやすいフォームではなくなってきている。もし被安打が多いとすれば、それは緩急が使えず的を絞られやすいことと、甘いところに入ることで痛打を浴びる確率が高いからではないのだろうか。 腕は強く振れているものの、まだ身体に巻き付くような粘り強さが物足りない。ただ速いだけでなく、粘っこい球質を身につけたい。ボールは体重を乗せてからリリースできているようには見えるので、打者の手元まで勢いと球威のある球は投げられている。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」でも、特に悪いところは見当たらない。しいて言えば、もう少し「球持ち」への意識を持ち、粘り強さが出てくればと感じる。 制球を司る動作に問題がない割に、コントロールに不安があるのは何故だろうか? 故障のリスクも低そうで、投球の幅もまだまだ広げて行けそう。素材型の投手には見えるが、投球フォームはかなり実戦的な技術を持っている。 (最後に) 実際の投球はまだまだのようだが、土台となるフォームはしっかりしている。特に下級生のときに見た時は下半身が使えなかったり一辺倒だった投球も、見違えるように変わってきていることを実感。あとはそれを、いかに実戦に繋げて行けるではないのだろうか。 即戦力云々という投手ではないと思うが、ボールの威力は確かな投手。リリーフならば2年目あたりに、一気に出てきても不思議ではない。下級生のときのイメージを払拭してくれているようなので、ぜひその成長を生で確認してみたい一人だ。ひょっとすると、プロ入り後に大化けするかもしれない。 |