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岡本 直也(東農大北海道オホーツク)投手 181/75 左/左 (千葉経大付出身) | |
スラッとした投手体型から投げこむ、本格派左腕。まさにこういった表現がピッタリなのが、この 岡本 直也 なのだ。残念ながら、2016年に出場した全日本大学選手権以来投球が確認できなかったが、このときの投球を元にレポートを作成してみたい。 (投球内容) ストレート 130~137キロ ☆☆★ 2.5 MAXは144キロということだが、2年時の大学選手権の投球を見る限り 130キロ~137キロ ぐらいと平均以下。しかし球速の割にピュッと速く感じられ、球速の無さは補えている。また右打者内角、左打者外角のクロスにボールが集まりやすく、その点は好感が持てる。細かいコントロールはないが、四死球で自滅するといったそういった危うさは特に感じられなかった。 変化球 カーブ・スライダー ☆☆★ 2.5 大きく曲がりながら沈むカーブを武器にしており、投球のほとんどはこの球と速球とのコンビネーション。しかし大学選手権の時は、このカーブが決まらずに苦しんだ。同じような球速でスライダーのような球もあるのだが、これがスライダーなのか? カーブが曲がりが悪かっただけなのかはよくわからない。このカーブのコントロールがいまいち、ストライクゾーンに来ても狙い打たれることも少なくない。投球において大きなアクセントになっている球が、もう少し精度を引き上げたい。 その他 牽制は左腕らしく、モーションとの区別は難しい。またクィックは、1.15~1.25秒 ぐらいと左腕としては平均的。細かい投球術や駆け引きには乏しく、ボールを長く持っているというよりもテンポが悪いだけの感じはした。配球もストライクゾーンの枠の中に集めてくるだけといった感じで、奥深さは感じない。 (投球のまとめ) この2年間の間に、球速全体が上がったとか、マウンド経験を重ね投球術が大幅に磨かれたという話は聞かない。しかし最近の記事を読むと、カットボールやチェンジアップも取得したようで、投球の幅は広げているのかもしれない。またリーグ通算勝ち星も11勝まで伸ばし、負けも3つと意外に勝てる投手へと変貌を遂げていたのかもしれない。 (投球フォーム) この投球だけだと今後の可能性が掴めないので、フォームを分析してみたい。 <広がる可能性> ☆☆☆ 3.0 引き上げた足は地面向けて伸びており、お尻はバッテリーライン上に残りがち。フォーム後半に向けお尻は三塁側(左投手の場合)に落ちてゆくが、やや窮屈な印象は受ける。カーブやフォークといった球種が投げられないことはないと思うし、実際カーブはかなり多投している。そのためこの選手からカーブをとってしまうと、持ち味が完全に損なわれてしまう。 「着地」までの粘りも淡白で、あっさり地面を捉えてしまっている。そのため身体を捻り出す時間も短めで、キレや曲がりの大きな変化球の習得は難しい。そういった意味では、このカーブ以外に武器として使える変化球を習得できるのかには不安が残る。 <ボールの支配> ☆☆☆ 3.0 グラブは身体の近くにはあるが、最後後ろに解けがち。そのため外に逃げようとする遠心力を充分には抑えこめず、両サイドへのコントロールがアバウトになりやすい。足の甲では深く地面は捉えているので、カーブが抜けることはあっても速球は高めには抜けて来ない。 むしろ問題は、「球持ち」が平凡で指先の感覚がいまいち。ボールをまだ押し込めるほどではないので、リリースが安定しないのが、コントロールのアバウトさに繋がっている。 <故障のリスク> ☆☆★ 2.5 身体を捻り出すスペースが充分ではないまま、無理にカーブを投げようとしているので肘への負担は少なからずありそう。腕の送り出しにも窮屈さが感じられるので、肩への負担も考えられる。ものすごい力投派ではないので、疲労を溜めやすいというほどではないと思うが。身体のケアには、充分注意したい。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りが短めで、粘っこいというよりボールが見えてから一瞬でボールが来るような、ギャップでタイミングを狂わせるタイプ。そのために必要な、球の出どころは隠せているのは悪くない。 腕は結構振れているとはいえ、カーブと速球とのコンビネーションだけではさすがに辛い。球速の割にボールが来ている感じがするのは、リリース時にしっかり体重を乗せて投げることができているからではないのだろうか。 (フォームのまとめ) 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」と「球持ち」に課題を残している。コントロールを司る動作自体は悪くないが、故障のリスクと今後のピッチングをいかに広げて行けるかが課題ではないのだろうか。 良い部分と悪い部分が混在しており、どちらの面が全面に出てくるかで将来は大きく変わってゆきそうだ。 (最後に) 大学2年時の投球を見る限りはまだまだといった感じで、この2年間の間に大きな成長を遂げていないと、かなりプロでは厳しいのではないかという印象は受けた。しかしソフトバンク育成の魔改造への自信から、なにか可能性を見出した上での指名なのだろう。こういった平凡な投手が、どのような化学反応を起こすのか大変興味深いのは確かである。ソフトバンクの、お手並拝見を期待してみたい。 (2016年 全日本大学選手権) |