粟津　凱士（東日本国際大４年）投手　１８０／８０　右／右　（山本学園出身）

「指名されるよね」

　驚くような球威・球速はないのだけれども、総合力の高い好投手といった印象を受けた　粟津　凱士　。大学からの直のプロ入りも、視野に入れられる技量の持ち主だった。

（投球内容）

重心があまり沈まず、一見スリークォーターのようなフォームで投げ込んでくる腰高のサイドハンド。

ストレート　常時１３０キロ台後半～１４２キロ　☆☆★　2.5

　球速は常時１４０キロ前後で、ドラフト候補としては驚くような球速はない。またボールはキレ型であり、空振りが誘えるぶん球威に欠けるので甘く入ると怖い。内外角にボールを散らすコントロールがあるものの、全体的に高めに集まる傾向が強い。またシュート回転して中に入ってくることもあり、この辺がプロの一軍打者ならば見逃さないだろうなと心配になる。それでも左打者の内角を強気に攻める投球で、右サイドが苦手とする左打者への投球を得意としている。

変化球　スライダー・シンカーなど　☆☆☆☆　4.0

　ドラフト候補としては、ストレートの物足りなさを変化球で補うことができている。右打者には、鋭く横滑りするスライダーで空振りを誘える。そして何より左打者に使う、二種類のシンカーが最大の魅力。このシンカーはカウントを稼ぐために浅く握る時と、空振りを誘う時に低めのボールゾーンに沈むせるものを使いわけることができ、そのキレだけでなく精度にも確かなものを持っている。

その他

　クィックは、１．１～１．２秒ぐらいであり平均的。フィールディングや牽制に関しては、神奈川大戦だけではよくわからなかったので、他の試合もみて詳細を詰めてゆきたい。運動神経に優れるというよりも、野球センスに秀でたタイプといった感じをうけた。

（投球のまとめ）

　変化球のキレ・精度だけでなく、ファールで粘られても顔色一つ変えず自分の投球に徹し続けるマインドが素晴らしい。３年秋には、防御率　０．４５　で１位に。今春のリーグ戦でも　０．２８　で２位輝いている。これだけの圧倒的な数字を残すということは、常に安定した投球ができるだけの、精神的なタフさが普段からあるということではないのだろうか。

＜アピールポイント＞

　変化球のキレ・精度が高く、カウントをいつでも取れ（四死球ｊは大学選手権では０）、相手を仕留めるだけのフィニッシュボール（投球回数を上回る奪三振数）を左右の打者に持っている。

精神的にも安定しており、自分の投球を乱さないだけの高い精神力が感じられる（被安打率も低い）。

＜不安点・課題＞

　プロの一軍レベルの打者を意識すると、球威・球速面で見劣る。時々甘くシュート回転して中に入ってきたり、全体的に球が高いので（足の甲を押し付ける時間が短い）、キレが鈍ると長打を喰らいやすい恐れがある。

（最後に）

　凄みのある素材ではないので、実戦に行って持ち味が発揮されるタイプだろう。力量的にはドラフトボーダーレベルだとは思うが、個人的には変化球のキレだけでなく・それを扱う器用さを買っている。さらに、精神的にもピンチでも揺らがない強さにも、推せるだけのものがあると評価したい。指名となると、ドラフトの最後方から育成あたりになると思うが、意外に掘り出しものという活躍を魅せてくれるのではないかと密かに期待している。

蔵の評価：☆　（下位指名級）

（２０１８年　大学選手権）