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佐々木 健(24歳・NTT東日本)投手 179/87 左/左 (木造-富士大出身) | |
NTT東日本に入ってからの 佐々木 健 は、何処か制球を気にしすぎて置きにゆくボールが気になっていた。しかしそんな物足りなさを払拭してくれたのが、今年の都市対抗予選・JR東日本戦に先発したときの投球ではなかったのだろうか。150キロ前後の球速を連発し、細かいことを気にせずに開き直って投げる彼の姿をみた。 (投球内容) 都市対抗本戦では、1イニングを投げただけで終わりました。また彼の能力を見極めるのには、この予選のJR東日本戦だったと思います。ちなみにこの試合では、5回1/3 2安 2四死 6三・2失点 という内容でした。 ストレート 140キロ台後半~MAX152キロ ☆☆☆☆ 4.0 初回から力みながらも、エンジン全開で投球。コンスタントに150キロ前後を記録し、最速では152キロまで到達。今までの佐々木の投球の中でも、最もすごみが感じられる内容でした。確かに力の入れ加減抜き加減ががわからず制球を乱しがちなのは気になりましたが、ボールは適度に両サイドに散っていて、球威で相手を詰まらせていました。危ういバランスの上では投げていましたが、立ち上がりを除けば制球の不安もそこまでではありませんでした。 変化球 スライダー・チェンジアップなど ☆☆☆ 3.0 左打者には、横滑りするスライダーとのコンビネーション。右打者には、スライダーも使いますがチェンジアップを多めに混ぜてきます。その他緩いカーブもあったと記憶していますが、この試合ではよくわからず。特に打者の空振りを誘うというよりは、相手のタイミングをズラしたり、カウントを整えるのに使ってきます。ただし、チェンジアップの精度・キレは好いので、プロではスライダーよりもチェンジアップの比率が増えるかもしれません。 その他 クィックは1.1秒前後で、フィールディングも落ち着いて処理できていて下手ではありません。牽制は滅多に観られないものの、鋭いものは投げられる。また微妙な駆け引きをするとか、間を意識するというよりも、ストライクゾーンの枠の中に投げ込むといったシンプルなピッチングスタイル。それでも、両サイドに投げ分ける意識は持てている。 (投球のまとめ) 現状は、エネルギーを爆発させて勝負するリリーフタイプなのだと感じます。左から150キロ前後を連発できる馬力は、プロでもそう多くはいません。しかし、コントロールの不安定さからも、何処までリミッターを外したような投球がプロでできるのか? そしてそれを年間維持するというのは、中々難しいこと。ではそこまで力を入れないで投げない時にでも、相手を抑えられる術があるのかだと思います。しかし現状をみると、その点はかなり不安であることは否めません。 (投球フォーム) セットポジションから、足を高い位置まで引き上げ、バランス良く立てています。 <広がる可能性> ☆☆☆ 3.0 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻の三塁側(左投手の場合)の落としが甘くなりますが、カーブやフォークを投げるのができないというほどではないように思えます。ただし、ブレーキや落差が鈍る危険性は感じます。 「着地」までの地面の捉えは平均ぐらいで、身体を捻り出す時間は並ぐらい。いろいろな球種は投げられても、武器になるほどの変化球を習得できるのかには疑問が残ります。それでもチェンジアップは外角低めにしっかり沈んでいるので、この球はプロでも通用すると考えています。あとは、カットボールやツーシーム・スプリットなど、小さな変化でピッチングを広げてゆくことになるのではないのでしょうか。 <ボールの支配> ☆☆☆ 3.0 グラブをしっかり抱えられていないので、外に逃げようとする遠心力が抑え込めず、軸がブレやすいのかもしれません。故に、どううしても制球が定まり難い恐れが。 足の甲での地面への捉えは、膝小僧が着くほどに重心を沈めてしまっているので、浮き上がろうとする力を抑え込めていない可能性があります。「球持ち」もけして良くはなく、ボールが抜けたり押し込めていないのは気になるところではあります。ただこの投手の場合、ボールが高めに抜けることよりも、引っ掛かり過ぎてボールになることの方が多いのではないのでしょうか。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻の落としには甘さは感じますが、悲観するほどではないですし、カーブなども滅多に投げません。そういった意味では、窮屈になって肘への負担が大きくなる可能性も低いのではないかと。 腕の送り出しを観ていても、肩への負担は少なそう。結構な力投派ではあるので、疲労を溜めやすい恐れはあります。そこから、フォームを崩し故障に繋がる恐れはあるので、リリーフで登板過多になったときには注意が必要です。 <実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5 「着地」までの粘りは平均的で、さほどタイミングを合わせるのは難しくは無さそう。それでもボールの出どころは隠しているので、球筋を読まれやすいということはありません。すなわち、コントロールミスをしなければ痛手は喰らい難いのではと。 腕は適度に振れていて勢いがあるので、打者の空振りも誘いやすいかと。また体重を乗せてからリリースできているのかは微妙であり、もっと「球持ち」が我慢できると、さらに凄みのある球が投げられる可能性は秘めています。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「開き」こそ悪くないのですが、あとの動作は並でもっと良くなれる可能性を秘めています。故障のリスクはあまり高くないように感じますが、制球を司る動作や投球の幅を広げて行けるのかという部分には不安が残ります。そのため、大卒社会人ではありますが、素材型の域を脱してはおりません。 (最後に) このJR東日本戦のような投球が、安定して出来るのであれば、プロの打者とはいえ容易には打ち返せないのではないかと。しかし、そういったパフォーマンスがいつも出せないとなると、プロではかなり苦しむのではないのでしょうか。左腕でこれだけのボールを投げ込むという爆発力は、今年の新人でも屈指のものがあります。ある意味、ボールに訴えかけてくるという意味では、早川 隆久(早大-楽天)以上ではないかと言えます。いずれにしても即戦力として活躍するとすれば、リリーフからではないのでしょうか。40試合・防御率3点台ぐらいを目標に、迫力あふれる投球を魅せて欲しいものです。 蔵の評価:☆☆ (中位指名級) (2020年 都市対抗予選) |
佐々木 健(23歳・NTT東日本)投手 179/85 左/左 (木造-富士大出身) | |
左腕からコンスタントに140キロ台のボールを投げ込み、富士大時代にプロ志望届けを提出していればドラフト指名が濃厚だった 佐々木 健 。社会人1年目から、名門・NTT東日本で大事なところを任されるまでになってきた。しかしその投球内容は不安定なことが多く、プロで即戦力になれるのかは微妙ではないかと思えてくる。 (投球内容) ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込んできます。 常時140キロ前後 ☆☆☆ 3.0 球速はコンスタントに140キロ前後のボールを投げ込んでくるが、富士大時代は常時140キロ台~中盤ぐらいを投げていたので、若干落ちているようにも思える。そのへんは、制球を気にしてか多少抑え気味なのかもしれない。ボールは適度に両サイドには散っているものの、高めに抜けてしまう球も少なくない。ストレートのコマンドは、けして優れているとは言えないだろう。それも球速以上には感じさせる、ボールの勢いはある。 変化球 カーブ・スライダー・チェンジアップなど ☆☆☆ 3.0 120キロ台前後のカーブに、130キロ台のスライダー、それに120キロ台後半のチェンジアップと使い分けて来る。これらの球の割合はどれも多く、ストレート含めてコンビネーションで投球を組み立てるタイプ。その変化球の曲がり・精度も、平均的ではないのだろうか。 その他 ランナーが出ても牽制は観られないが、クィックは1.1秒前後とまずまず。ただしクィックは、かなり一球一球違っており、あえて投げるタイミングを変えているのかもしれない。逆にいろいろ考え過ぎてしまい、大学時代の思いっきりの良さが薄れてしまっている気もしなくはない。 (投球のまとめ) 左腕から一定レベルのボールを投げ込んできて、適度に変化球もいろいろ混ぜてくる。ただしコントロールは不安定で、プロで即戦力になれるのか?と言われると物足りないと言わざるえない。このへんの不安定さを解消して行かないと、上位指名は厳しいのではないのだろうか。現状は、短いイニングでボールの勢いで押した方が持ち味が発揮されるタイプなのかもしれない。 (投球フォーム) 今度は、フォームの観点から考えてみたい。 <広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5 お尻は適度に三塁側(左投手の場合は)に落とせており、身体を捻り出すスペースは確保できている。したがってカーブやフォークといった、捻り出して投げる球種を投げても窮屈にはなり難い。 「着地」までの粘りも適度に作れており、身体を捻り出す時間もそれなり。武器になるほどの変化球を習得できるのかは微妙だが、多彩な球種を操れるフォームにはなっている。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力に内に留めることができている。そのため左右の軸はブレ難く、両サイドのコントロールは安定しやすい。 足の甲の地面への押しつけが遅く短いので、浮き上がろうとする力を充分抑え込めていない。したがって力を入れて投げてしまうと、ボールが上吊りやすいのではないのだろうか。「球持ち」もそれほど悪いようには見えないが、ボールが抜けてしまうところをみると充分押し込めてはいないのだろう。 <故障のリスク> ☆☆☆☆ 4.0 カーブは多めに使ってくるが、お尻は落とせているので窮屈になることはないのではないのだろうか。そういった意味では、肘への負担はそれほど気にしなくても良さそう。 腕の送り出しにも無理は感じられず、肩への負担も大きいとは言えない。また力投派というほどでもないので、疲労も溜め難いのではないのだろうか。そういった身体への負担の少ないフォームは、リリーフ向きなのかもしれない。 <実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5 「着地」までの粘りも適度にあり、けして合わせやすいフォームではないのだろう。ボールの出どころも隠せており、コントロールが甘くならなければ痛打にはなり難い。 腕はしっかり絡んで来るなど勢いがあるので、打者の空振りは誘いやすいのでは。「球持ち」もそれなりで、ある程度体重を乗せてからリリースできており、打者の手元まで勢いと球威のある球は投げられている。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、大きな欠点は見当たらない。足の甲の押し付けの遅さからボールが抜けてしまうことが多いのは気になるが、故障のリスクは少なめ。また決め球になるような武器を手に入れられるかは微妙だが、多彩な変化球を操られる下地はある。投球は荒っぽいが、フォーム技術としては低い選手ではない。 (最後に) 立ち上がりのコントロールを中心に不安があり、即戦力として計算するのには心もとないのが現状。大学4年の時に、某企業チームとのオープン戦を生で見たことがあるのだが、ワンアウトも取れないで早々降板したのを見たことがある。大学選手権での好投が印象深かったので、こういった側面もあるのかと驚かされたことがあった。今年はぜひ安定感を身につけ、文句なしの内容でプロ入りを実現して頂きたい。 (2019年 都市対抗) |
佐々木 健(富士大4年)投手 180/80 左/左 (木造出身) | |
チームメイトのドラフト候補・鈴木翔天 の陰に隠れがちだったが、今春は鈴木の故障もあり一気に存在感を高めた 佐々木 健 。その投球内容は、全国の大学生左腕のなかでも、トップランクに位置づけられるぐらいの内容だった。 (投球内容) ちょっと気負うと、身体が前に突っ込んでしまうところがあるのだが、今春はだいぶ落ち着いて投げられるようになってきた。 ストレート 常時140キロ台~MAX149キロ ☆☆☆★ 3.5 けして無理しなくても140キロ台を刻んで来るスピード能力があり、力を入れれば140キロ台中盤をいつでも出せる能力がある。コースに投げ分けるような細かいコントロールはなく、本当にボールが観られたときはどうかな?という不安はあるが、四死球で自滅しない程度には集めることができている。 変化球 スライダー・チェンジアップ・カーブなど ☆☆☆ 3.0 スライダーでもカウントを整えられるし、三振を奪えるほどではないが速球との緩急には充分使えている。右打者には、小さく逃げるチェンジアップ系の球もあり、この球の精度もそれなり。本当に苦しくなると速球に頼らざるえないが、普段の投球では適度に変化球を交えて投球を組み立てることができている。 その他 クィックは、1.05~1.15秒ぐらいと基準レベル。ランナーを背負ってもあまり牽制は観られないが、結構鋭い球は投げられるので下手ではない。細かいコントロールや駆け引きができるわけではないが、淡々と自分のリズムで投球を続けてくる。 <長所> 左腕でこれだけのスピード能力がある選手は貴重であり、大学・社会人でも上位レベルの球速があるということ。特に力を入れた時のボールには威力があり、短いイニングならば力で押すことも可能だ。 <課題> 「着地」までの粘りがなく、フォームが淡白で投球が一辺倒になりやすい。下半身の体重移動が不十分であり、グッと打者の手元まで伸びて来るような訴えかけるような球にはなっていない。そのため球速ほどは、ボールに凄みは感じられないところを改善してゆきたい。 (最後に) いつも同じようなリズムで投げていて、投球に抑揚が感じられない単調なのは気になります。それでも確かなスピード能力があり、今年の大学・社会人左腕の中でも上位グループを形成する一人に入ってきたのではないのでしょうか。 投球の間や駆け引きに長けたタイプではないので、現状は即戦力となると力で押すことができるリリーフではないかと思います。上位指名となるとまだ物足りませんが、3位ぐらいでの指名ならば充分に可能性があるのではないのでしょうか。この春の経験を元に秋にさらなる飛躍を遂げれば、上位24名(2位指名)内に入ってくる可能性を秘めた素材だと思っています。今後も、その成長ぶりを見守ってゆきたい一人です。 蔵の評価:☆☆ (中位指名級) (2018年 大学選手権) |