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伊藤 優輔(23歳・MHPS)投手の最終寸評へ







伊藤 優輔(22歳・MHPS)投手 178/77 右/右 (都小山台-中央大出身) 





 「膝下に良い球が決まる」





 都立小山台時代は、140キロ台のボールは投げていたものの、好投手タイプだった 伊藤 優輔 。中央大時代は良い球は投げていたが、ピリッとしないで中々勝ちきれない投手との印象が強かった。しかし社会人に進み、投球にメリハリがついてきた。今ならば、プロの世界も現実味を帯びてきているのではないのだろうか。


(投球内容)

 セットポジションから、落ち着いて投げることができている。社会人公式戦1年目には、12試合に登板し5勝をあげ、防御率 2.57 とまずまず。チーム内への期待も、並々でないことを昨年は強く実感した。

ストレート 常時145キロ前後~MAX148キロ 
☆☆☆★ 3.5

 秋の日本選手権では、リリーフでの登板だった。そのため球速もコンスタントに145キロを記録し、登板した3試合でいずれも最速148キロを記録。彼のストレートは、ものすごく手元でグ~ンと伸びるとかピュッと切れるような球質ではない。しかし、低め膝下にズバッと決まることが多く、打者が思わず見逃しをしてしまう。昨年は42イニングで36奪三振と、三振比率は1イニングあたり 0.86個 。先発としては0.8個以上は優秀だが、リリーフだと0.9個以上は欲しいところ。ボール自体は、プロを想定すると微妙なところにあるとも考えられる。

変化球 スライダー・カーブ・カットボール・チェンジアップ・スプリットなど 
☆☆☆★ 3.5

 大学時代は、ブレーキの効いたカーブや外角低めにスライダーを集めるなど、しっかり曲がる変化球が中心だった。しかし社会人では、カットボールやスプリットなどよりストレートとの見分けの難しい小さな変化で勝負することが多くなった。このへんが、投球に良い循環を生んでいるように思える。そのため縦の変化も結構使ってくるが、打者からはあまり空振りは奪えていません。微妙に芯をズラして、打たせて取るというピッチングスタイルなのかと。

その他

 クィックは、1.05~1.10秒ぐらいと基準以上。フィールディングの動きも良く、上手い部類だと言えます。しいて言えば、ランナーが出塁しても、牽制が観られないのはどうでしょうか?

(投球のまとめ)

 大学時代は、左打者相手になると制球が定まらず四球を出してしまうケースが少なくありませんでした。社会人では、42イニングで25四死球。四死球率は、59.5% と、相変わらずアバウトな部分を残します(目安は33.3%以下)。ひとつひとつのボールは良いけれど、勝ちきれないという部分は、何処まで改善されているかは数字からみると微妙です。

 しかし実際の投球を見る限り、だいぶ投球にメリハリはついているように見えて、ルーキーイヤーに5勝をあげたのは偶然ではないのではと。そのへんは、フォームを分析してどの程度実戦的になっているのか検証してみたいと思います。


(投球フォーム)

 足をスッと、勢いよく高く引き上げてきます。軸足一本で立った時のバランスも、まずまずといった感じです。

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻の一塁側への落としには甘さは残すものの、カーブやフォークといった捻り出して投げる球種を投げられないほどではありません。ただしキレや曲がりという意味では、中途半端になりやすいのではと。

 「着地」までの粘りもそれなりで、身体を捻り出す時間もそこそこ。決め球にするような変化球の習得は厳しいかもしれませんが、いろいろな球を投げられる下地はありそうです。

<ボールの支配> 
☆☆☆★ 3.5

 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力は抑え込めています。そのため軸はブレ難く、両サイドへのコントロールはつけやすいのでは。しかし足の甲の地面への捉えが浮いてしまい、浮き上がろうとする力を充分抑え込めていません。そのため高めに抜ける球も少ないないのですが、球持ちが良く押し込めている時は低め膝下にボールが行きます。高低のリリースの安定が、一つ課題なのではないのでしょうか。

<故障のリスク> 
☆☆☆☆ 4.0

 お尻の落としに甘さは残すものの、カーブを投げる機会も少なくフォークではなく負担の少ないスプリットを使います。そのため窮屈になる機会も少なく、肘への負担は少なめではないかと判断します。

 また腕の送り出しにも無理は感じず、肩への負担も少なそう。けして力投派というほどでもないので、疲労も溜め難いのではないかと。そういったと意味では、故障へのリスクは少ないフォームだと言えます。

<実戦的な術> 
☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りは平均的で、ボールの出どころも並ぐらい。特に苦になるというほど、イヤらしいフォームではありません。腕は適度に振れており、空振りを誘える勢いは感じられます。しかしボールの出どころがさほど隠せていないので、その効果が得られ難いのではないのでしょうか。

 足が地面から浮いて投げているので、下半身のエネルギー伝達ができず球威のある球が生まれ難いメカニズムに。あくまでも上半身や腕の振りの鋭さで、キレを生み出てゆくしかありません。そのため高めに甘く浮く球を、苦になく打たれる危険性はあります。ちなみ公式戦42イニングでヒットは30本と、被安打率は 71.4% と、非常に低く抑えられています。これは、コースよりも微妙に動かす球種で、上手く芯をずらす投球が功を奏しているからではないのでしょうか。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」において、「球持ち」以外には改善の余地が残されていることがわかります。特に体重移動では足の甲が地面から浮いてしまい、下半身のエネルギー伝達が上手くできていないところは気になります。

 武器になる変化球の習得は厳しいかもしれませんが多彩な球種を操れる土台があり、足の甲が地面を捉えていない割には低めへ球は行きます。また故障のリスクが低いことは、新たしい技術をどんどん習得するのに試せるという意味では、明るい材料ではないのでしょうか。まだ実戦的というほどではありませんが、全体的にはそこそこまとまっているとは評価できます。


(最後に)

 大学時代よりは、確実に良くなっています。しかしそれだから一年目から、プロで大活躍できるレベルなのかと言われると微妙です。しかし指名ボーダーラインには来ていると思うので、順位にこだわらない姿勢とうまくアピールを続けられれば、指名される可能性はあるとみています。果たしてチームのエースとして、存在感を示せる2年目となるか注目です。


(2019年 日本選手権) 









伊藤 優輔(中央大4年)投手 179/80 右/右 (都立小山台出身) 
 




 「ボールは良いのになぁ」





 コンスタントに140キロ台中盤の速球を投げ込めるのに不思議と点を取られている、そんな投球を続けているのが、伊藤 優輔 投手。都立小山台時代には、甲子園のマウンドに昇った好投手。果たして、彼の投球の何処に問題があるのか考えてみたい。


(投球内容)

それほど身体は大きくないが、正統派の好投手といった感じがします。

常時140キロ台~MAX149キロ 
☆☆☆★ 3.5

 ほとんどの試合で、最速140キロ台後半を刻んできます。その球を、右打者外角にしっかり集めることができます。その一方で、左打者に対しては的をつけられず制球に苦しむことが少なくありません。またそれまで良くても、四球を出して一気に崩れることも少なくありません。

変化球 スライダー・チェンジアップ・スプリット・カーブなど 
☆☆☆★ 3.5

 右打者の外角には、スライダーをしっかり集めてくる。また左打者や追い込むとチェンジアップやスプリットの縦の変化球も使って来る。またブレーキの効いたカーブで緩急をつけたりもでき、ボール一つ一つは、けして悪くありません。

(投球のまとめ)

 ストレートの勢い・球速、変化球の曲がり・精度など、ボール一つ一つには良いものを持っています。その一方で、左打者への投球に課題があったり、四死球からガタガタ崩れだす脆さがあり、そのへんが結果を残せない要因でしょうか? 今度は、データの観点から、もう少し傾向をみてゆきましょう。


(成績から考える)

この春の成績は、

10試合 1勝5敗 46回1/3 50安 29四死 35奪 防 5.05

1、被安打は投球回数の80%以下 ✕

 被安打は投球回数を上回るなど、打たれ過ぎていることがわかる。打たれだすと止まらない部分があり、そのへんが数字にも現れている。先発ならば、イニングの80以下に抑えたい。

2、四死球は、投球回数の1/3以下 ✕

 四死球率も62.6%と、基準の倍近いペースで出している。被安打が多かったり、防御率の悪さは、細かいコントロールに欠けるのが大きな原因かもしれない。投球を観ている限り、そこまでコントロールが悪いようには見えないのだが・・・。

3、奪三振は1イニングあたり0.8個以上 ✕

 奪三振は、1イニングあたり 0.76個 。基準である0.8個に近い数は取れているが、決め手があるというほどではない。しかしボールの威力自体が、この成績の悪さの問題ではないということだろう。

4,防御率は1点台以内 ✕

 防御率が5点台というのも少々考えづらいものがあるが、ドラフト候補ならば1点台の数字を残したいところ。ここまでの通算でも5.05という数字なので、今シーズンが特別悪かったわけではないようだ。

(成績からわかること)

 球速はあるものの、制球力・打たれ難さ・決め手になる球など、課題が山積みであることがわかってきた。やはり大学からのプロ入りは、現状厳しいとみるしかないだろう。

(最後に)

 劇的に春~秋に向けて良くならない限りは、強豪社会人などに進むことになるのではないのだろうか。良いものは持っているので、そこでさらに勝てる術を身につけたい。ちょっと現時点では、ドラフト候補として追いかけてゆくのは厳しいという判断になってしまう。良いものは持っているので、うまくそれを活かせるようになればと。


(2018年 春季リーグ戦)









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