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伊藤 将司(24歳・JR東日本)投手の最終寸評へ







伊藤 将司(23歳・JR東日本)投手 176/85 左/左 (横浜-国際武道大出身) 
 




 「あんまり変わっていないけれど」





 横浜高校時代から、安定感抜群のサウスポーとして活躍してきた 伊藤 将司 。国際武道大時代も、下級生から全日本入り。しかし最終学年では故障もあり、満足のゆくアピールができないままJR東日本に入社。しかし入社一年目から、フル回転の活躍で重宝された。再び解禁となる2年目、今回ははうまく噛み合えば悲願のプロ入りも実現できるかもしれない。


(投球内容)

 主な公式戦の成績では、21試合に登板しチーム最多。それでも防御率 2.42 と、安定感のあるところは健在だった。

ストレート 130キロ台後半~140キロ台前半 
☆☆★ 2.5

 球速は常時140キロ弱ぐらいであり、球速の上がった今のプロ野球では若干物足りないぐらいの球威・球速。それでもキレ型の球質もあり、打者としては球速表示以上には速くは感じられるのではないのだろうか。89回1/3イニングで、四死球は43個。四死球率は、48.1% と想像以上にコントロールが悪い。実際投球を見ていても、高めに抜ける球も少なくなく、こんなにコントロールアバウトだったけ?という感じではあった。大学時代の通算でも、267イニングで92四死球。四死球率は34.5%と、基準である投球回数の1/3以上であり、意外にアバウトな投手だったのに驚かされる。

変化球 スライダー・カーブ・チェンジアップなど 
☆☆☆ 3.0

 大学時代は、絶対的な変化球はなかったものの、多彩な球種を操る投手との印象が強い。しかし観戦した都市対抗の試合ではリリーフでの登板でもあり、100キロ台のカーブ・110キロ台のカーブのような軌道を描くスライダー。それに右打者外角へのストレートが、少しカット気味に食い込んで来る球で積極的に内角を突いていた。逆に右打者に対しても、チェンジアップやフォーク系の球が見られなかったのは気になった。あまりそういった球に自信がないので、短いイニングならば必要ないということで使わったのだろうか? ちなみに89回1/3イニングで60奪三振と、1イニングあたりの奪三振は 0.67個 と平凡。けして、三振を奪うピッチングスタイルではないことがわかる。

その他

 クィックは、1.2秒前後と平均的。牽制もそれほど走者を刺しには来ないが、入れるタイミングは悪くない。フィールディングの動きもよく、身体能力に優れているというよりも野球センスの高さが伺われる。

(投球のまとめ)

 絶対的な球威・球速がなく、これといった変化球もなく、それでいて思ったよりも制球もアバウトだった。それでも89回1/3イニングで、被安打は74本。被安打率は、82.9% と社会人の投手としては悪くない。ボールの出どころが見え難く、打者としては容易には捉え難いのかもしれない。実際結構甘い球でも、相手打線のNTT西日本の打者達が打ち損じるのが目立っていた。


(投球フォーム)

 ではどうして打ち難いのか? フォームを分析して考えたい。セットポジションから、勢い良く高く足を引き上げてくる。軸足一本で立った時には、軸足の膝にはあまり余裕は感じられないもののバランスの取れた形で立てている。

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻の落としに甘さは残すものの、適度には三塁側(左投手の場合)落とせており、身体を捻り出すスペースも確保できている。したがって、カーブやフォークといった球種を投げるのにも無理は感じられない。

 前に大きくステップさせることで、身体を捻り出す時間を確保。多彩な変化球を操れる下地があり、この中から何か武器になる変化球を習得したいところではある。

<ボールの支配> 
☆☆☆ 3.0

 グラブが意外に身体から離れた位置にあるフォームであり、外に逃げようとする遠心力をしっかり抑え込めていないのでは?軸がブレやすく、甘い球も少なくない。また足の甲の地面の捉えは悪くないものの、ボールが高めに抜けることが多い。これはリリースを見てみると、球離れが思ったよりも浅く押し込めていないのが気になった。「球持ち」が良さそうなイメージを持っていたが、そうでもないことに驚かされる。

<故障のリスク> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻をある程度落とせているので、カーブやフォークといった球種を投げても窮屈になることは少なそう。そういった部分では、肘への負担も少ないのではないのだろうか。また腕の送り出しを見ていると、スムーズさに欠ける部分があり、そのへんが肩への負担を考えると若干気になるポイント。けして力投派ではないので、疲労を溜めやすいというほどではないと思うのだが・・・。

<実戦的な術> 
☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りは悪くなく、ボールの出どころも見難いタイプ。したがって、打者もワンテンポ差し込まれやすい。腕の振りも悪くはないので、適度に変化球も効果的には使えている。ただし曲がりの大きな球種が少ないので、三振を奪い難い側面がある。

 ボールへの体重の乗せはもう一つであり、リリース時にグッと体重が乗っていない。したがって上半身や腕の振りでキレを生み出すしかなくなり、球威のある球が望めない。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では「着地」と「開き」は悪くないが、「球持ち」と「体重移動」が思ったよりもダメだった。故障のリスクや投球の幅を広げて行けるという意味ではまずまずも、思ったよりも制球を司る動作が悪く、コントロールがアバウトな理由も明らかになってきた。実戦派というほど、実戦的なフォームでもないことが伺える。


(最後に)

 昨年の都市対抗ではリリーフの登板ではあったが、普段は先発で起用されることも多い投手。使い勝手も良いので、首脳陣としては重宝するのだろう。プロの先発投手としては、ややスケール不足は否めない。そのため先発タイプと思いきや、中継ぎで大崩れし難い投手として起用される可能性がある。ただし今のままだと、パンチ不足だとされて指名が見送られる可能性も否定できない。2年目の今年は、大学時代とは違うのだというところを見せつけて欲しい。


(2019年 都市対抗)










伊藤 将司(国際武道大3年)投手 177/82 左/左 (横浜出身) 
 





「左にスケールはいらない」 





 横浜高校や国際武道大などで、全国大会や世界を舞台に経験豊富を誇る 伊藤 将司 。 これまでは適度にまとまったサウスポーという印象が強かったが、ここに来てコンスタントに140キロ台を越えてくるようになった。けしてスケール感溢れる素材ではないが、精神的にも強く「勝てる投手」、そういった印象が強い。プロの世界でもサウスポーに関しては、スケールよりも実戦力がものをいう場合が大きい。この投手は、まさにそういったタイプの代表格なのだ。


(投球内容)

ランナーがいなくても、セットポジションから足をスッと引き上げてきます。

ストレート 130キロ台後半~140キロ台前半 
☆☆★ 2.5

 先発だと140キロ前後、リリーフだとコンスタントに140キロ台は越えてくるようになってきた。けしてドラフト候補としては、球威・旧側面では優れているとはいえない。それでもピュッと手元でキレるタイプの球質なのと、多彩な変化球とのコンビネーションなので気にならない。特に左投手ながら、右打者の外角へは微妙な出し入れができる制球力を持っている。

変化球 スライダー・カーブ・フォーク・ツーシーム・チェンジアップなど 
☆☆☆★ 3.5

 絶対的な球種があるわけではないのですが、多彩な変化球を織り交ぜ相手に的を絞らせない。横の変化だけでなくフォークのような沈む球も結構織り交ぜてきて、相手としては狙い球を絞られず厄介なのでは。特に左打者にとっては、外角に曲がりながら沈んでゆくスライダーは、より遠くに感じられるはず。

その他

 クィックは、1.2秒前後と平均的。牽制もそれほど走者を刺しには来ないが、入れるタイミングは悪くない。フィールディングの動きもよく、身体能力に優れているというよりも、野球センスの高さが伺われる。

(投球のまとめ)

 ゲームメイクできる投球術と、要所で強さを発揮できる精神力がこの選手の魅力。この精神面の強さは、横浜高校の先輩でもある・柳 裕也(中日)に通ずるものがある。けしてドラフト上位で指名されるようなスケール感はないが、逆に中位から下位ぐらいで獲得できるならば、お得感のあるサウスポーになるのではないのだろうか。特に、先発期待できるタイプだけに。


(投球フォーム)

では技術的な観点としては、どうだろうか?

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻は甘さは残すものの、三塁側(左投手の場合は)には落ちています。そのため身体を捻り出すスペースはある程度は確保できており、カーブやフォークといった球種を投げるのにも無理はありません。

 「着地」までの粘りも適度にあり、身体を捻り出す時間は確保。多彩な変化球を投げられる下地があり、実際のところそういった投球はできています。ただし、絶対的な武器になるような球は見出だせていません。

<ボールの支配> 
☆☆☆★ 3.5

 グラブが内に抱えられていないので、意外にアバウトな部分があります。足の甲の押し付けもある程度できていますが、少し浅くは感じません。ボールがそれほど抜けないので、その辺は良いのですが。この選手が優れているのは、「球持ち」に優れボールを手元でコントロールできるところ。この辺が、動作の割に安定した制球力を誇る理由ではないのでしょうか。

<故障のリスク> 
☆☆☆☆ 4.0

 ある程度お尻を落とせているので窮屈さがなく、カーブやフォークを投げても負担は少ないはず。そういった意味では、肘への負担は少なめ。腕の送り出しも無理な角度は感じないのですが、縦に腕を降ろそうという意識が強いのが動作に違和感を感じます。そのため負担が大きいというよりも、どうしてもボールを置きにゆくように見えます。

 思ったよりもフィニッシュ時は力投する部分もあるのですが、ストレートで押すことが少なく消耗は少なめだと判断します。

<実戦的な術> 
☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りはそれなりで、身体の「開き」も抑えられています。そういった意味では、甘く入らなければ痛手は食い難いと言えそうです。

 腕もしっかり振れて勢いはあるので、打者の空振りを誘いやすいはず。ステップが多少狭くて投げ終わったあと身体が流れますが、ボールには適度に体重が乗せられるように見えます。

(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」でも、大きな欠点は見当たりません。特に「球持ち」と「開き」がよく実戦的なフォームだと言えるでしょう。

 制球を司る動作は思ったほどではないものの、指先でコントロールできるタイプ。故障のリスクも高くなく、投球も多彩な球種を起用に使えることができています。全体的には、それなりに実戦的なフォームをしていると評価できます。


(最後に)

 一見みると、アマチュアタイプの好投手に見えてしまいます。しかし左腕の場合、スケールよりも実戦力があればそれなりにプロでも通用する傾向にあります。球威・球速という部分ではやや見劣りしますが、そのぶん技術やセンス・精神面でそこを補えていると判断します。最終学年でのアピール次第ですが、個人的には実戦力の高い左腕として中位指名ぐらいならば美味しいのではないかとみています。


(2017年 大学選手権)









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