17sy-5


 




松本 直樹(ヤクルト)捕手のルーキー回顧へ







松本 直樹(24歳・西濃運輸)捕手 177/82 右/右 (丸亀-立教大出身) 
 




                   「スローイングはアマ屈指」




 大学3年春のリーグ戦までは、出場無し。本格的にリーグ戦に出たのは、9試合に出場した4年秋だけだった 。しかし社会人の強豪・西濃運輸に進んでからは、1年目から正捕手として活躍。特にアマでも屈指とも言われるぐらいの強肩捕手であり、この肩でプロ入りにこぎつけたと言っても過言でないだろう。


(ディフェンス面)

 身体を小さくかがめ、的であるミットを大きく魅せる構えができる選手です。指示を明確に示すとか、投手を叱咤激励して引っ張るというタイプではありません。グラブを投手に示し、そのミットを地面に下げることはありません。しかし特にキャッチングに関しては可も不可もなしといった感じで、ワンバウンド処理の機敏さ、低めへのミットの出し方も並という感じはします。全体的な印象では、それほど丁寧に1球1球捕ろうという感じではなく、少し雑な印象は受けます。

 最大の魅力は、塁間1.8秒台のスローイングにあります。特に小さめのテイクバックからランナーが滑り込むところにボールが到達するという場面を良くみます。ただし少し腕が横から出たりするので、返球を受ける野手がとりやすいのかは疑問が残ります。しかしこと刺せるという意味では、アマ全体でも屈指の存在であるのは間違いありません。チームに混ざっても、すぐに1,2を争う存在になれるはずです。リードに関しては、内角を結構強気に使ったりもしますし、的を絞らせないリードができています。投手の気持ちを察したりとか、相手の細かい変化に気がつくといった点では微妙で、投手から信頼される捕手になれるかはどうでしょうか?それでもディフェンスだけで言えば、1年目から1軍の3番手~ファームの正捕手ぐらいのレベルにはすでにあるのではないのでしょうか。


(打撃内容)

 大学時代は、通算で20打数0安打。普段はそれほど打てない捕手ではないのですが、都市対抗でも3試合で12打数で0安打に終わりました。

<構え> 
☆☆★ 2.5

 両足を揃えたスクエアスタンスで、前の足のカカトを浮かして構えます。グリップは高めに添えて、腰の据わり具合・両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスとそれほど好いとは思いません。昨年はクローズトスタンスでしたが、その辺は少し修正されてオーソドックスなものに変わっています。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が沈みきった底のあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた中距離打者やポイントゲッターに多く観られる仕掛けです。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を引き上げ、ベース側にインステップしてきます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。インステップして来るように、外角に意識があるのがわかります。踏み込んだ足元はブレないので、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができます。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形をつくるのは自然体で、力みなくボールを呼び込むことはできています。昨年よりも、バットを上から降ろすインサイドアウト気味なスイング軌道に見えましたがどうでしょうか? この選手の特徴は、インパクト後のスイングの弧が非常に大きくとれること。確実性は低いのですが、まともに捉えれば長打が期待できるスイングになっています。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはありますが、目線の上下動は少なめ。身体の開きも我慢でき、軸足も大きくは崩れてはいません。

(打撃のまとめ)

 当てる能力はそれほど高くありませんが、まともに捉えれば長打を期待できる打ち方になってきています。捕手というポジション柄、下位打線で意外性のある一発とかそういったものが求められることが多いはず。まさにそういった打撃に、今はなりつつあるのではないのでしょうか。ただし打撃に関しては、1年目から一軍でバリバリ打てるといった感じはしません。


(最後に)

 好みか好みじゃないかと言われたら、あまり好きなタイプの捕手ではありません。というのは、さほど細かい気遣いをしたり、打者の微妙な変化に神経を尖らせているという感じがしないから。

 それでもアマ屈指のスローイング能力があり、キャッチング・リードなどもソコソコのレベルに到達しています。守備だけならば、開幕一軍メンバーに入っても不思議ではないでしょう。

 打撃に関しては、一軍でとなるとまだ心許とないのは確か。将来的にも、どのぐらいの数字を残せるかは微妙です。こちらはまず、二軍などで経験を積んでからじゃないと、一軍で活躍するのは厳しいかもしれません。それでもチームの捕手層を厚くし、競争を煽りたいという意味では、その期待に応えられる力はあるのではないのでしょうか。ただし将来的に正捕手にとか言われると、そこまでのレベルまで到達できるかは微妙という感じは致します。チームには、中村悠平や西田明央などがすでにおり、若手では山川晃司や古賀優大などの有望株がいます。そのため中村・西田を刺激しつつ、この若手捕手達が育つまでの間を埋めようという指名だと考えられます。そういった意味では、順位・力量的にもちょうど好い人材ではないのでしょうか。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2017年 都市対抗)









松本 直樹(24歳・西濃運輸)捕手 177/75 右/右 (丸亀-立教大出身) 
 




                       「肩は凄いはず」





 本気で投げた時の送球は凄いのだが、意外に実戦では小さなテイクバックで、制球力重視で投げ込んでくる 松本 直樹 。社会人を代表する強肩捕手として注目されるが、一体どんな捕手なのか?

 立大時代は、4年秋になってようやく芽が出た苦労人。9試合に出場したが、一本のヒットも放てず4年間が終わる。しかし社会人の強豪・西濃運輸に進むと、1年目から正捕手に抜擢。好投手の球を、見事受け止めて見せた。


(ディフェンス面)

 とにかく身体を小さく屈め、低く構えるのが特徴的。ミットを示し、グラブを地面につける癖もない。1球1球のキャッチングもしっかりしていて、特にキャッチングに大きな不満は感じない。特別身のこなしが柔らかいとか、反応が素早いとか、何か突出したものは感じないのだが。

 やはり最大の売りは、けして無理しなくても1.8秒台を刻んで来るスローイング能力。元来非常に地肩が強い選手なので、多少力をセーブしても正確に送球でき1.8秒台の送球を可能にしている。ことディフェンス面だけ見れば、ドラフト指名されても不思議ではないだろう。





(打撃内容)

 六大学通算20打数0安打だった男だが、都市対抗では打率.357厘をマークし、4試合で5本のヒットを放って見せた。

<構え> 
☆☆★ 2.5

 少しクローズ気味に構え、グリップは高めに添えます。腰の据わりはいいものの、クロスに立っているので両眼で前を見据える姿勢、全体のバランスとしては癖があります。最初から身体が一二塁間方向に向いて構えているのですから、当然打撃はセンターから右方向を重視しないと意味がありません。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が沈みきった底のあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた中距離打者やポイントゲッターに多く観られる仕掛けです。

<足の運び> 
☆☆☆☆ 4.0

 足を引き上げて回し込み、少しベース側に踏み出してきます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。ベース側に踏み込んで来るということは、外角寄りに意識があることがわかります。踏み込んだ足元はブレないので、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができます。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」を作るのは早めに作れており、速い球に立ち遅れる心配はありません。振り出しはインサイド・アウトではありませんが、インパクトまではロスは感じません。ボールを捉える時もバットの先端でるヘッドを立てて、広い面でボールを捉えることができ打ち損じは少ないはず。ただしスイングの際に、少し波打つのが気になります。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げはありますが、目線の上下動は少なめ。身体の開きも我慢でき、軸足も大きくは崩れてはいません。それほど内ももの筋肉に強さは感じられないので、強い打球が打てるのかには疑問が残りますが。

(打撃のまとめ)

 それほど当て勘やスイングに特徴は感じないものの、技術的には悪い癖もなく完成されています。けして全く打てない選手ではありませんし、打撃にもっと意識を傾けられれば大きく伸びるかもしれません。


(最後に)

 攻守に大きな穴がなく、圧倒的なスローイングがあります。そういった意味では、ドラフト候補としてマークしてみたい素材ではないのでしょうか。あまり捕手としても、打者としてもピンと来るものはありませんが、指名解禁となる今年は注目して見る価値は充分ありそうです。


(2016年 都市対抗)