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和田 康士朗(ロッテ)外野手のルーキー回顧へ







和田 康士朗(BC富山・18歳)外野 185/72 左/左 (小川出身) 
 




                   「ギラギラしているよね」





 独立リーグ所属の選手の中でも、この 和田 康士朗 ほどギラギラしたプレーをする選手はいない。塁に出ればすかさず盗塁、守っていればダイビングキャッチ、バットを振れば 柳田 悠岐 (ソフトバンク)さながらのフルスイングで存在感をアピールしようとする。けして一つ一つの技量が高いわけではないのだが、一生懸命やろうという気持ちが伝わってくる選手なのだ。


走塁面:
☆☆☆★ 3.5  走塁偏差値 53

 一塁までの到達タイムは、左打席から4.1秒前後。これをドラフト指名された左打者のタイムで偏差値化すると、53 と平均よりやや早い程度の走力となる。今シーズンは、BC富山で68試合・262打数で14盗塁 。それほど数字的には、図抜けていないことがわかる。やはりNPBレベルに混ぜると、際立つ数字ではない。

守備面:
☆☆☆★ 3.5

 まだまだ打球への一歩目の判断や追い方に課題を残すものの、ダイビングキャッチで好捕するなどガッツ溢れるプレーが目立つ。肩も基準以上はありそうで、プロに混ぜると平均以上の外野手だろうか。またプロで鍛えられて最も伸びる部分は守備力なので、鍛えれば将来的に守備でアピールできる存在になれるかもしれない。

 守備も走塁も、現時点ではプロでも平均ぐらいの力量。しかし持っている身体能力はもう少しありそうなので、将来的には守備でも走塁でも中の上レベルまで引き上げられても不思議ではないだろう。問題はアピールできるまでのレベルまで引き上げられるか?






(打撃内容)

 BCリーグ選抜で2試合ほど生でみたが、2番打者として出場。しかし2番打者とは思えないフルスイングをするのが印象的だが、そのフルスイングがボールに当たらない。ちなみに今シーズンのBCリーグでの成績は

68試合 1本 14打点 14盗塁 打率.271厘


と数字的には平凡。しかし高校1年生で陸上部を退部し、クラブチームの野球部に所属。そこからBC富山に入団した、まだ高卒1年目のルーキー。

<構え> 
☆☆☆ 3.0

 前の足を引いた左オープンスタンスで、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合、全体のバランス並だが、両眼で前を見据える姿勢は良い。そのため、錯覚を起こすことなく球筋を追うことはできる。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が下がりきったあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力を、バランスよく兼ね備えた中距離打者やポイントゲッターに多く観られる始動。

<足の運び> 
☆☆★ 2.5

 足を軽く上げて、真っ直ぐからベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもそれなりに対応。しかし実際は、変化球への対応に課題があると言われている。また真っ直ぐ~アウトステップに踏み出すということは幅広くも、やや内角寄りに意識があるのではないのだろうか。

 そのせいか? 踏み出した足元がインパクトの際にブレてしまっている。これは上半身の強い振りに対し、下半身が負けてしまっているということ。これでは外に逃げてゆく球や、低めの球に食らいつくことはできないだろう。


<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、特に力みは感じられないし振り遅れているわけではない。バットの振り出しは少し遠回りなものの、インパクトの際にはヘッドが下がっていないので悲観するほどではない。

 非常にバットをフルスイングしてくる選手であり、本家・柳田悠岐(ソフトバンク)を彷彿させるものがある。当たりさえすれば、強烈な打球が飛んでゆくだろう。


<軸> 
☆☆☆ 3.0

 足の上げ下げは比較的静かなので、目線の上下動は少なめ。しかし身体の「開き」が我慢できていないので、上半身の振りに下半身が負けてしまっている。それでも軸足は地面から真っ直ぐ伸びて安定しているので、あとは足の爪先がスイングの際に開かず我慢できるようになると面白いとは思う。

(打撃のまとめ)

 1にも2にも、「開き」が我慢できるようになることが先決。このおさえるべきポイントをおさえた上で強振しないと、ただやみくもにバットを振っているだけになってしまう。ただしバットを振れるということは、彼の最大の持ち味であるので、下半身とのバランスを意識しながらスイングできるようになれば、怖い打者になれるのではないのだろうか。


(最後に)

 現状は、振ったバットになかなか当たらない。しかしこれを、いかに当てられるようにするかが今後の課題。守備・走塁もけして図抜けているわけではないので、打力の向上が不可欠だと言えるであろう。やはりこの選手が存在感を示すのは、打力ではないかと思うのだ。

 とにかくガッツを感じさせる選手なので、こういう選手が打線に一人いると大いに活気づく。左打者を見出すことには定評のあるロッテだけに、どんな選手に育つのか期待したい。指名リスト載せるほどの総合力はまだなかったが、育成でならばアリの選手、そう思わせてくれる数少ない選手だった。



(2017年 BCリーグ選抜)