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塩見 泰隆(ヤクルト)外野手のルーキー回顧へ






塩見 泰隆(24歳・JX-ENEOS)外野 179/77 右/右 (武相-帝京大出身) 
 




                      「大きくした桑原」




 帝京大時代から、野性味溢れるアスリート系外野手として気になっていた 塩見 泰隆 。そのプレースタイルは、DeNAの核弾頭・桑原 将志 を大きくガッチリした感じの打者。思いっきりの好いスイングの反面、少し脆いところも良く似ている。


走塁面:
☆☆☆☆ 4.0 走塁偏差値 60

 一塁までの塁間は、早い時で右打席から4.1秒を切ってくる。これを左打者に換算すると、3.95弱。このタイムをドラフト指名された右打者のタイムで偏差値化すると、走塁偏差値は 60 (上位16%以内) となる。身体能力の化物が揃ったプロ野球選手の中でも、上位クラスの走力があることがわかる。帝京大学時代には、1シーズンに11個の盗塁を決めるなど、盗塁できる能力も有している。

守備面:
☆☆☆☆ 4.0

 俊足を活かした、広い守備範囲の持ち主。都市対抗では補強選手だったのでレフトを守っていたが、ENEOSではセンターを守っている。とくに打球への反応も悪くなく、落下点までの入りにも無駄はない。肩もまずまず強く、守備でも即戦力が期待できるだろう。

 守備・走塁では、一年目からプロに混ざってやって行ける技術があり、その身体能はプロでも上位の部類にある。





(打撃内容)

 強いスイングに特徴があり、捉えたら長打を期待できるパンチ力がある。しかし脆い部分があり、この辺がまだ充分改善されているとは言い切れない。

<構え> 
☆☆☆ 3.0

 前の足を引いて、グリップを高く添えた強打者スタイル。背筋の強さを感じさせる背筋が伸びた構えで、腰の据わり・全体のバランスとしてはそれほど良くはない。ただし構えた時から威圧感を感じさせる選手で、そういった部分では好い雰囲気を醸し出している。

<仕掛け> 早め~平均

 投手の重心が下る途中~沈みきったあたりで動き出す、「早め」~「平均的」な仕掛けを採用してくる。基本的には、ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッタータイプの打者に感じる。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を軽く地面から浮かし、真っ直ぐ~ベース側に踏み込んで来る。始動~着地までの「間」はそこそこ取れており、速球でも変化球でもそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、幅広くコースに対応しようという意志は感じられる。踏み込んだ足元もブレないので、外に逃げて行く球や低めの球に食らいつくことができるのだろう。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れているので、速い球に立ち遅れる心配はない。ただし「トップ」を作る時に、肩が奥に入り込んでしまっている。そのため内角の球を中心に、バットの抜けが良くないのは修正したい。

 それ以外は、それほど振り出しからインパクトまでにロスを感じさせるスイングではない。バットの先端であるヘッドも下がらず、最後まで力強く振り抜けている。打球を遠くに運ぶというよりも、強烈な打球で野手の間を抜けて行くタイプなのだろう。

<軸> 
☆☆☆ 3.0

 足の上げ下げは小さいものの、自分からボールを捕まえに行ってしまおうとするので目線は結構動いているしまう。そのためボールを手元まで引きつけられないので、ボールゾーンに逃げて行く球を追いかけすぎてしまう危険性がある。身体の「開き」は我慢でき、軸足の形もそれなりで崩れてはいないのだが・・・。

(打撃のまとめ)

 自分からボールに向かっていてしまうために、ボール球を見極めることが苦手な可能性がある。さらにその割に肩が奥に入り込んでいるために、内角球などの捌きにも不安がある。

 ただし下半身はしっかり「開き」を止められていることと、スイング軌道に癖がないところは好いところ。それだけに、上記の欠点を改善できた時は面白いのではないのだろうか。プロの打者相手に力負けするようなことはないので、あとはいかに粗い打撃の確実性を上げられるかではないのだろうか。


(最後に)

 守備・走塁は即戦力級だけに、あとは打撃の確実性をいかに増すか? しかし現状は、プロの球に対しては厳しいのではないかという気がする。いかに自分の打てる球に的を絞り、その球を逃さないで叩けるかどうか? その辺の割り切り、見極めができるようになるには、あと数年はかかりそうな気はする。

 個人的にはアグレッシブで好きなタイプの選手だが、こと一軍ですぐに通用するイメージが沸かない。今が「旬」かは疑問であり、
 を付けるまでには至らなかった。


(2017年都市対抗&予選)