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西村 凌(オリックス)捕手&外野手のルーキー回顧へ






西村 凌(SUBARU)捕手&外野 178/68 右/右 (青森山田出身) 





                   「捕手としても悪くない」





 青森山田時代から、プロ注目の捕手として知られていた 西村 凌 。しかしチームには、唐谷 良磨 という大卒の好捕手がおり、最近の出場は外野手であることが多かった。しかし入団1年目などは捕手として出場しており、なかなかセンスを感じさせる好捕手だったと記憶している。今回は、捕手・西村 に焦点をあて考えてみたい。


(ディフェンス面)

 キャッチング・フットワークなどの動きもよく、地肩の強さ・捕ってからの素早さもA級で、粗っぽいコントロールの改善やリードの経験を積めばディフェンス力は充分プロを意識できる素材でした。スローイングも流れの中で送球できる選手で、コンスタントに1.9秒前後。見ていて、柔らかいキャッチングにスジの良さを感じさせる選手で、なるほど高校時代からプロから注目されるlだけの素材だと実感したものです。むしろ入社当初は、打撃はまだまだでディフェンスの良さが目立つ存在でした。ただし結構粗っぽい素材型だったので、捕手としての細かい洞察力や投手の気持ちを察するなど捕手としての適性が磨かれたのか?という疑問が残り、その辺で信頼を得るまでには至らなかった可能性は否定できません。ただしあれから4年が経ち、どの程度捕手としての技量を高めてきたのかは確認できませんでした。


(打撃内容)

 外野でも出場させようということからも、それなりに打撃で見るべきものがあったからでしょう。最近のスイングを見ると力感が出てきて、思いっきり良いスイングをするようになっていました。また強肩なだけでなく俊足の選手でもあり、身体能力の高さも伺わせます。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 前の足を軽く引いて、グリップを高めに添えます。腰を深く沈めドッシリ感があり、全体のバランス、両目で前を見据える姿勢も悪くありません。見るからに、パワフルな打者という雰囲気がしてきます。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下がりはじめる時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。強打者のような雰囲気を醸し出していますが、対応力を重視したアベレージタイプなのがわかります。

<足の運び> 
☆☆☆☆ 4.0

 足をしっかり引き上げて回し込み、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」は充分あり、速球でも変化球でも幅広く対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも捌きたいというどんな球にも対応しようとする万能型です。

 踏み込んだ時も、足元がブレずにスイング。開きが我慢でき、外に逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができています。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形を早めに作れており、特に速い球に立ち遅れる心配はありません。バットの振り出しもインパクトまで大きなロスは感じられませんが、バットのヘッドが下り気味なところがあるので打ち損じが多いのかもしれません。

 しっかり振り抜くタイプで、ボールを遠くに運ぶというよりは、強い球足で野手の間を抜ける、はじき返す打球が中心だと考えられます。身体には力があるので、それでもツボにハマればスタンドインの長打力は秘めていそう。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げが大きそうに見えるものの、目線の上下動は少なめ。身体の開きも我慢できており、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて安定しています。それに軸足の内モモの筋肉にも強さが感じられるので、強い打球が期待できるでしょう。

(打撃のまとめ)

 特別感性や素材的に何か優れているという感じはしないものの、技術的にはしっかりしており、外野手として打力を活かし出場していたのも頷けます。社会人の4年間で主軸を任されるほどではないにしろ、通用する打力を身につけてきました。プロで打撃で勝負するというのは厳しいものの、捕手としてならば打力も合格点の素材なのかもしれません。

(最後に)

 恐らく高校時にプロ志望届けを提出していれば、指名されたであろう存在です。社会人の壁の高さに苦労してきたものの、ようやく大人世界でも存在感を示せるまでにはなってきました。しかしプロとしては、もう一度捕手として鍛え直すことを前提に獲得したのではないかと考えられます。それだけ捕手としても、魅力のある素材ですから。しかし私自身、捕手としてのプレーを今年確認できていないので、評価付けはできません。

 まだ高卒4年目という若さからも、数年はファームの実戦に交えながらの育成が続くとは考えられます。捕手不足の今年の市場を考えると、大学生4年生と同学年の彼が評価されたのも理解できます。捕手としてのアピールができていないので、なんとも評価できませんが、指名としてはアリなのではないのでしょうか。ちなみに今年の春の関東選抜リーグでは、6番・左翼手として出場していたのを確認しました。それを見る限り野手として推せるというよりも、あくまでも捕手としての素材の良さを評価しての指名だったのではないかと思います。数年後、チームでどのような役割を果たしているのか気になるところです。


(2017年 関東選抜リーグ)