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阿部 翔太(28歳・日本生命)投手の個別寸評へ








 阿部 翔太(25歳・日本生命)投手 178/78 右/左 (酒田南-成美大出身)





 「プロにゆくならば今年だけれども」





 成美大時代から評判の速球派だった 阿部 翔太 。しかし日本生命入社後は肘を痛め、ようやく頭角を現したのは昨秋の日本選手権の頃から。そして社会人3年目の今年は、チームの絶対的エースに成長し、チームを都市対抗に導いた。今年で社会人3年目を迎える25歳、プロ入りにはラストチャンスの年齢に差し掛かっている。


(投球内容)

 セットポジションから静かに入ってくるフォームではあるが、手足の長い投手体型でダイナミックなフォームは体格以上に大きく魅せる。

ストレート 常時140キロ台~140キロ台中盤 
☆☆☆★ 3.5

 MAX150キロと言われるが、先発だと140キロ~中盤ぐらい。腕を上から叩くことができるので、178センチぐらいの上背でもボールには角度が感じられる。またス~と伸びてくる、キレイな球筋のストレート。とくに球威があるとか、抜群の伸びがあるというほどではないが、打者の外角中心に集めることができる。

変化球 フォーク? スライダー 
☆☆☆ 3.0

 変化球の殆どは、フォークなのかスプリットなのかわからないが、沈む球とのコンビネーション。この球でカウントを稼ぐことが多いが、意外に打者に見極められてしまって低めのボールゾーンに落としても打者が振って来ないのは気になった。その他にもスライダー・カットボールなどもあるようだが、ほぼこの球しか使って来ないと考えて好いだろう。

その他

 クィックは、1.0~1.1秒ぐらいでまとめられており、まずまず素早い。牽制も適度に鋭く、走者を出してもじっくりと対処できている。特に投球以外の部分でも、大きな欠点は見当たらない。

(投球のまとめ)

 初の都市対抗登板となった今年のMHPS横浜戦では、4回で途中降板。充分にアピールできた、という内容ではけしてなかった。そういった意味では、もう少し他の試合での登板を確認したかった。特にストレートでも変化球でも、微妙にハズレて全体的に収まりの悪い内容。普段からこうなのか? それとも初の大舞台で緊張したからなのかは定かではない。

 予選では2試合・13回2/3イニングを投げて、自責点2(防御率 1.32)と安定した内容でチームをドームに導いた。四死球4個はイニングの1/3以下だし、奪三振はイニングを上回る14個。被安打に至っても7安打とイニングの半数強ぐらいという予選の内容を考えると、本選では満足のゆく投球ではなかったことが伺われる。


(投球フォーム)

そこでフォーム分析をすることで、彼の可能性について考えてみたい。

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5

 引き上げた足を比較的高い位置でピンと伸ばされており、お尻は甘さは残すものの一塁側に落ちている。これによって体を捻り出すスペースは適度に確保できており、カーブで緩急を利かしたりフォークのような縦の変化球を投げるのにも無理がないと考えられる。

 また「着地」までの粘りは並で、体を捻り出す時間は平均的。これにより変化球のキレや曲がりに絶対的なものがないのも、ここに原因があるように感じられる。この辺がよくなると、もっと変化球にも特徴が出てくるのではないのだろうか。

<ボールの支配> 
☆☆☆★ 3.5

 グラブはなんとか最後まで内に抱えられており、両サイドの投げ分けは安定。足の甲の地面への押しつけが少し浅いので、力を入れて投げてしまうとボールが上吊りやすいのかもしれない。「球持ち」は並で、それほど指先まで力を伝えられているというほどではない。大まかに狙ったところにはボールが集められるものの、それほど繊細なコントロールまではつけられないようだ。

<故障のリスク> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻の落としは甘さは残すものの、カーブやフォークといった球種を投げても負担は少ない。しかしながら変化球のほとんどはフォークなので、その点で肘を痛めやすいのかもしれない。

 腕の角度には無理は感じられないが、腕を縦に送り出そうとするので多少の無理を感じなくはない。その辺が、故障で悩まされてきた一つの原因ではないかと思う。しかし現在はそれほど力投派ではないので、負担の大きなフォームという感じはしないのだが・・・。

<実戦的な術> 
☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りや体の「開き」は並で、打者としては苦になるフォームではないだろう。ましてキレイな球筋であり、相手にとっては嫌らしさは感じないはず。

 投げ終わった後に、腕は絡むなど空振りは誘う勢いはある。ボールへの体重の乗せはそれほどでもなく、打者の手元まで球威のある球が投げられているのかと言われると、微妙な気がする。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、特に大きな欠点はないかわりに、とくに優れている点も見当たらない。力を入れて投げるとボールが上吊ってしまう危険性があり、多少セーブしないとコントロールが付けにくい可能性。故障のリスクは現在高いとは思えないものの、過去の故障などを考えるとどうだろうか? またいろいろな球を投げられる下地はあるものの、武器になる球を身につけられるかには今後も疑問が残るフォームだということ。


(最後に)

 都市対抗の投球も、フォーム分析をしても微妙な投手という印象は否めなかった。小林 慶祐(日本生命-オリックス)のようなボールに迫力がない分どうかと思うが、まとまりという意味ではこの阿部の方が上だと言えよう。

 本人がどの程度プロ志向が高いのかにもよるが、小林が5位指名だったことを考えると、それと同じかそれ以下で終わる可能性が高い。それでもプロ入りしたいという意志があるならば、名門社会人チームのエースとしての実績があるだけに評価はされているだろう。しかし指名の有無は、日本選手権の予選の内容次第かもしれない。社会人の残留の有無は外に漏れ難いのだが、会議当日に名前が呼ばれるか注視したい。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2017年 都市対抗)