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渡邉 雄大(ソフトバンク)投手のルーキー回顧へ







渡邉 雄大(26歳・BC新潟)投手 186/85 左/左 (中越-青学大出身) 
 




                      「面白いと思うが」





ソフトバンクの育成6位で指名された 渡邉 雄大 。左サイドハンド独特の球筋を活かす投球だが、なかなかおもしろい存在になるのではないかと思っている。BCリーグでも、今年は最優秀防御率を記録するなど、確かなものを持っている。


(投球内容)

 左打者の背中越しから来る球筋が武器で、対左打者に特化した役割が期待されます。しかしBCリーグで防御率1位を獲得したように、けして右打者への投球を苦手にしているといった感じはありません。

ストレート 常時130キロ台~130キロ台後半 
☆☆☆ 3.0

 プロ入りする投手としては、確かに球威・球速は見劣ります。しかしボール自体にキレがありますし、この独特の球筋を活かすことができるので、それほど悲観することはないのでは。ただしタイミングさえ合ってしまえば、長打を食らう危険性はあるでしょう。しかしそういった投げミスが少ないことが、好成績に繋がっているのだと思います。ただしこの投手、微妙なところを突くといった繊細なコントロールがあるタイプはなく、BCを選抜の代表として登板した巨人戦では制球を乱す場面もありました。

変化球 スライダー・カーブ・スクリュー・ツーシームなど 
☆☆☆★ 3.5

 その投球を見ている限り、ほとんどスライダーとのコンビネーションです。そのため右打者の外角に逃げるシュート系のボールは、目立ちません。左サイドなので、逆サイドを突く時は真っ直ぐでも少しシュート回転する傾向が見られます。ただしスライダーのキレは一級品で、この球はプロでも通用するのでは? 特に左打者には、キレがあるので相当厄介だと考えられます。このスライダーを、右打者相手に使って投球を組み立てます。投球は速球とスライダーとで単調なのですが、役割が極めて限定的に投手なので確実に使える球だけを使っても問題ないのかもしれません。

その他

 クィックは、1.0~1.1秒とまずまず。牽制は、やや腕を下げて投げる分モーションは大きくなりがち、それでも下手というほどではありません。特にピッチングセンスや駆け引きが、うまいというほどではありません。

(投球のまとめ)

 使われ方としては、左打者へのワンポイントなど限定的になる可能性はあります。しかし状況次第では、1イニングそのまま任されることも少なくないのではないかと。150キロ級のソフトバンクのリリーフ陣にあって、こういう投手が挟まることは非常にアクセントになりえる存在でしょう。嘉弥真 新也を刺激する存在として、面白いのではないのでしょうか。





(成績考える)

今年はチームのクローザーとして活躍。それでも規定投球回数に達し、リーグの最優秀防御率に輝きました。今年の成績は

46試合 1勝2敗16S 55回2/3 46安 18四死 66奪三 防 1.29(1位)

1,被安打率は70%以内 ✕

 被安打率は、82.7% と、ファクターは満たせていない。仮にもうちょっと上限を緩和した80%以内でもクリアできておらず、けして悪い数字ではないが、やはり球威・球速・右打者に対してなどの部分で、まだ物足りなさはあるのかもしれない。

2,四死球はイニングの1/3以下 ◯

 四死球率は、32.4% と、基準の33.3%以下を満たしている。絶対的な数字ではないが、四死球で苦しむタイプではないだろう。しかしながら上記にも記載したとおり、それほど繊細なコントロールがあるわけではないこと。またアマ時代の成績があてにならないのが、この四死球の部分。圧倒的打力を誇るプロ野球の打者相手に、いかに自分の投球を徹し続けられるかにかかっている。

3,奪三振は1イニングあたり0.9個以上 ◎

 1イニングあたりの奪三振は、1.19個と、イニング数を越えている。そういった意味では、決め手は充分あることがわかる。これも、右打者からどのぐらい奪えているかは気になる部分だが、巨人との試合を観る限り、速球では空振り、スライダーでは見逃さなどを右打者からも誘えていた。

4、防御率は1.50以内 ◯

 リリーフ投手ならば、1点台それも前半の数字が欲しいところ。そういった意味でも、リーグトップの1.29を残しているので合格点。ただしプロで即一軍を狙うならば、0点台ぐらいの絶対的な領域に入って欲しかった。それでも育成指名の選手だけに、段階を踏んで技量を伸ばして欲しい。

(成績からわかること)

 さすがにリーグトップの成績だけに、満たしているファクターは少なくない。ただし独立リーグの選手だということを考えると、このぐらいでも一軍半ぐらいの力量なのではいう気はする。それだけにプロ入り後、詰めの甘い部分をいかに改善して行けるかではないのだろうか。


(最後に)

 最後に26歳という年齢やピッチングスタイルから、今後どのぐらいの伸び代が残されているのかは気になるところ。それでもBC在籍の4年間で、少しずつ技量を伸ばしてきた意識の高さは評価したい。独特の球筋とスライダーという武器があるだけに、高梨 雄平(楽天)のように、ハマる可能性もあるだろう。森福はじめこういったタイプの投手の成功例を見てきているチームだけに、球威・球速という先入観無しに判断される土壌があるのも大きいだろう。育成6位ならば、美味しい指名になる可能性を秘めている。個人的にも、この順位ながら、☆ を付けてみたい選手だった。


蔵の入団前評価:
 (下位指名なら)


(2017年 BCリーグ選抜)