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山本 大貴(ロッテ)投手のルーキー回顧へ







山本 大貴(22歳・三菱自動車岡崎)投手 182/73 左/左 (北星学園大付出身) 
 




                     「正直かなり厳しい」





 高卒4年の左腕で、主戦として予選に登板しチームを東京ドームに導いた 山本 大貴 。 しかし都市対抗の舞台でも先発するが、4回1/3イニングで降板している。そんな彼が、いまドラフト上位候補としてマークされているという。


(投球内容)

セットポジションから、足スッと勢い良く引き上げて投げ込んできます。

ストレート 常時135~MAX141キロ 
☆☆☆ 3.0

 ピュッと腕を鋭く振り、打者がワンテンポ差し込まれるようなキレのある球を投げ込んできます。球速は130キロ台中盤~140キロ強ぐらい。腕が見えないところから急に見えて来る打ち難さはあるものの、キレ型なのでまともにタイミングが合うと球威に乏しく長打を浴びやすい傾向にあります。何よりこの投手、都市対抗本選に限らずコントロールがアバウト。東海予選の23回1/3で15四死球を出すなど、四死球率は64.4%にのぼります。ここまで悪いと、カウントを整えるのにも四苦八苦するレベル。左投手ではありますが、けして左打者が苦になるタイプでもありません。球威に欠ける球が高めに浮くなど、観ていてヒヤヒヤしてしまいます。

変化球 スライダー・カーブ・チェンジアップなど 
☆☆☆ 3.0

 普段は速球とスライダーとのコンビネーションで、スライダーでカウント整えます。また左打者の外角には、この球で三振を奪うケースも少なくありません。また余裕が出てくると緩いカーブを結構織り交ぜてくるなど、カーブでカウントを稼げます。しかし右打者の外角にもチェンジアップがあるのですが、それほど頻度は高くありません。現時点では、チェンジアップの精度・依存度は低いように感じます。特に決め手のある変化球があるようには見えませんでしたが、23回1/3イニングで21奪三振。1イニングあたりの奪三振率は、0.90個 と、奪三振率は基準以上のものがあります。

その他

 クィックは、1.15~1.25秒前後と平均的で、フィールディングの動きは悪くありません。しかしランナーを背負っても、それほど走者に注意を傾けるとか、牽制を入れてくる姿はみられません。そういった余裕は、まだあまりないようです。

(投球のまとめ)

 かなりコントロールが悪いサウスポーという感じで、それでいて打者が苦になるほどのフォームでも、左打者が嫌がるような左腕でもないように思います。あくまでも高卒4年目の若さが売りで、その年令でチームの主戦・予選で結果を残してきたという部分で評価されている存在なのかと。ただし予選の被安打は14安打で、被安打率60.1% と、打ち難いタイプということなのでしょうか?





(投球フォーム)

実際打ち難いフォームなのか含めて、技術的な観点で観てゆきます。

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5

 引き上げた足を高い位置でピンと伸ばされており、お尻は三塁側(左投手の場合は)に落とすことができています。そのため身体を捻り出すスペースは確保できており、カーブやフォークといった捻り出して投げるボールを投げても窮屈さは感じないのではないかと。

 「着地」までの粘りは並で、身体を捻り出す時間は並。そういった意味では、キレや曲がりの大きな変化球を習得できるかは微妙で、今後有効なフィニッシュボールを身につけられるかは微妙でしょう。

<ボールの支配> 
☆☆★ 2.5

 グラブは最後まで身体の近くでしっかり抱えられているわけではないのですが、結果として身体の近くには留まっています。そのため、両サイドにボールが散りやすくなっています。問題は、足の甲での地面への押しつけが浮いてしまっていること。これにより、力を入れて投げるとボールが上吊ってしまいます。また腕の回旋も少し身体から離れてブンと振る投げやりなフォームのため、球筋が安定し難い傾向にあります。

<故障のリスク> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻は落とせているので、カーブやフォークといった球種を投げても負担は少ないはず。腕の角度にも無理がないので、それほど肩への負担も少なそう。しいて言えば外旋して腕だけをブンと振って投げるので、肩に無理がかかっている可能性があります。故障するとすれば、その辺が懸念材料でしょうか。

<実戦的な術> 
☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りは並なので、さほど苦になるフォームでもありません。しかし「開き」は抑えられているので、見えないところからピュッとボールが出てくるようには見えるはず。これにより、打者はワンテンポ差し込まれやすくなります。

 腕はしっかり振られており、フォームに勢いがあるので空振りは誘いやすいはず。しかしボールにしっかり体重を乗せてからリリースできているわけではないので、打者の手元まで球威のある球が投げ込めるわけではありません。あくまでも腕や上体の鋭い振りから、キレを生み出すタイプだと言えるでしょう。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作の「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では「開き」以外にはまだ改善の余地が残されています。故障のリスクはさほど高くありませんが、制球を司る動作に課題を残します。球種を増やすことは期待できますが、もう少し身体を捻り出す時間を確保して行かないと、武器になるほどの球を見出だせるかには疑問が残ります。


(最後に)

 球の出どころが見難いところからキレのある球を投げ込む、ギャップで勝負するサウスポー。しかしながら、それほど左投手の割には左打者が苦になるほどでもない。制球の甘さから、球威に欠ける球で長打を浴びやすいなどのリスクも伴います。若くして社会人で実績をあげている点は評価できますが、個人的にはリスキーな選手ではないかと思います。もう少し欠点が改善しないと、プロ入りには時期尚早ではないかと評価します。今年の段階では、指名リストに残そうとは思いませんでした。上位候補?という話には、首を捻りたくなります。


(2017年 都市対抗)