17ky-4


 








嶋谷 将平(宇部鴻城)遊撃 177/70 右/右 




「いいところがなかった」 

     





 選抜では、大阪桐蔭相手に全く良いところがなかった 嶋谷 将平 。 神宮大会では、攻守にスケールの大きなプレーで、全国屈指のショートストップとして注目された存在。そんな彼が、緒戦で甲子園を去ったのは残念でならない。


走塁面:
☆☆☆★ 3.5 走塁偏差値 55

 一塁までの到達タイムは、右打席から 4.20秒前後で走り抜ける。これをドラフト指名された右打者の走力で偏差値化すると、走塁偏差値は 55 ぐらい。プロの中に混ぜても、中の上レベルの脚力があることがわかる。

 新チーム結成以来の秋の成績では、164打数で9盗塁。これをプロのレギュラー選手並みの500打席に換算すると、年間27個ペースで盗塁していることになる。もちろんプロと高校生とではレベルが格段に違うので一概に比べられないが、それなりに実戦で走れる走力があることがわかって頂けるだろうか。

守備面:
☆☆☆ 3.0

 選抜では、ボールがほとんど飛んで来なかった。初回のゲッツーの場面では、送球が浮いてしまいゲッツーを逃すことに。また平凡なショートゴロをトンネルするなど、ミスが相次いだ。元々は、大型の割に一歩目の踏み出しの良さが持ち味。深いところから刺せる確かな強肩の持ち主ながら、細かいキャッチングや腕が横から出るスローイングなどを見ていると安定感に課題があるのは当時から明らかだった。一冬越えても、それほど上手くはなってなかったのは残念。ダイナミックな動きと、強肩ぶりでスケールの大きな守備は魅せてくれるのだが ・・・ 。鍛えようによっては、日本人離れした遊撃手になれる可能性は秘めている。しかし精度が改善されない場合は、身体能力を生かしてサードや外野などにコンバートされるかもしれない。そうなると、彼の付加価値は相当落ちる。

 ちなみに秋は、47試合で4失策と記録に残るエラーは少ないことがわかります。プロの全試合数・143試合に出場したとしても、年間 12失策 しかしていないことになります。ちなみに球界を代表するショート・坂本勇人(巨人)選手は、131試合に出場して16失策しているので、それよりかなり安定感が高いことがわかります。選抜では、悪い面が出過ぎたのかもしれません。





(打撃内容)

 ツーストライク追い込まれると、引き上げた足をノーステップ打法に切り替えてきます。神宮大会では、ボールを上手く呼び込んで強烈な打球を右に左へと連発していました。しかし選抜では、変化球に脆さを出て無安打に終わります。

 神宮大会の時とフォームは大きく変わっていませんが、しいて言えばまっすぐ踏み出して足を少しベースから離れた方向に踏み出すアウトステップ気味にしていたことでしょうか。外角への捌きは甘くなりますが、そのぶん内角寄りの球を引っ張ることを重視していたのかもしれません。それだけ、長打を意識していたことが伺えます。

 全体的に上半身の動き、下半身の使い方とも忙しく、もう少しシンプルにできないのか?という疑問は残りました。そういった無駄な部分が多いので、プロ入り後は随分と動作を削ぎ落とすことが求められます。


(成績から考える)

選抜の内容が無かったので、新チーム結成以来の秋の成績から、この選手の本質に探ってみます。

47試合 164打数 7本 51打点 .421厘

 ちなみにこの数字を、さきほどのように500打席で換算すると、21本塁打・155打点 打率.421厘 という成績になります。こうやって見てみると、中距離ヒッターであり、勝負強さを売りにする選手であることがわかります。

 また164打数で12三振であり、三振比率は 7.3% と想像以上に振ったバットがボールを捉えるコンタクト能力が高いことがわかります。高校生の場合、15%を割っていれば合格ラインであり、その半数以下の数字であり非凡なミートセンスがあることがわかります。

 更に四死球比率は、15.2% 。15%を越えていれば、高校生でも優れた眼の良さがあることがわかります。眼の良さに、コンタクト能力も非凡で、潜在能力の片鱗を伺うことができます。


(最後に)

 選抜では残念な内容しか残せず、甲子園をあとにしました。しかし神宮大会で見せたスケールの大きさは、彼の残した成績からも伺えます。技術的には殆ど変わっておらず、大きく内容が損なわれていたわけではなかったようです。

 プロで鍛えればまだまだ伸びそうな奥行きのある素材に加え、数字が示すような潜在能力の高さも伺えます。選抜の内容いかんに関係なく、高校からプロにゆく素材ではないのでしょうか。夏までのアピール次第ですが、選抜の時点で指名リストに名前を載せたい選手でした。夏までのアピール次第では、まだまだ上位指名が狙える器だと思っています。


蔵の評価:
☆☆(中位指名級)


(2017年 選抜) 
 








嶋谷 将平(宇部鴻城2年)遊撃 177/70 右/右





「スケールあるよね」





 そのダイナミックなプレーを見ていると、本当にプロ好みのスケールの大きな遊撃手という感じがして来る。打者としてもポテンシャルも高く、プロの環境や指導者がつけば更に大きな飛躍が期待される上位候補。


守備・走塁面

 残念ながら、一塁までの到達タイムを計測する機会がありませんでした。そのため走力に関しては、選抜までの宿題ということで。

 ショートとしては、実にダイナミックという感じがします。一歩目を踏み出す勇気を持っていて、強肩を活かし広い守備範囲を誇ります。細かいキャッチングや腕が横から出るスローイングなどを見ていると、まだまだその精度には課題を残します。一冬越えて、安定感という意味でも変わってくるのか注目したいですね。現時点では、凄いプレーをする反面、ミスも多そうという印象があります。


(打撃内容)

 けして長距離打者ではないのですが、ボールを上手く呼び込んで鋭い打球を右に左へと連発していました。

<構え> 
☆☆☆ 3.0

 前足を軽く引いて、グリップは高めに添えます。少し後ろ足に重心をかけつつ、全体のバランス・両目で前を見据える姿勢は並ぐらいでしょうか。

<仕掛け> 早すぎ

 投手が重心を下げ始める前に足をあげる、「早すぎる仕掛け」を採用しています。この段階だとまだ投手が投げるタイミングを変えることができるので、重心が下がり始めるまで待った方が良いかと。

<足の運び> 
☆☆☆☆ 4.0

 足を引き上げて回し込んで、ほぼ真っすぐに踏み出します。始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でも緩急には対応しやすいはず。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも捌きたいという万能型。踏み込んだ足元もブレないので、外角に逃げてゆく球や低めの球にも、食らいつくことができます。実際右方向にも長打を、神宮大会では打っていました。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」の形を作るまでは、自然体で無理もありません。「トップ」に近いところから、更に呼び込むために「トップ」を深くとるので、余計な動作になりかねないか慎重に見てゆく必要がありそうです。

 バットの振り出しは、少しヘッドが下がって遠回りに出てきます。その辺が、まだ確実性の低さに影響してそう。それでもインパクトの際にはバットの先端であるヘッドは立って来るので、広い面ではボールを捉えれています。スイングの弧は大きく取り、最後までしっかり振り切れているところは良いところ。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 目線の上下動は並ぐらいですが、身体の「開き」は抑えられています。軸足は大きく形を崩れないのは良いのですが、軸足の内モモの筋肉にまだ強さが感じられません。この辺は、打球の強さや飛距離と関係して来る大事な部分なので、今後意識して鍛えられると良いと思うのですが。

(打撃のまとめ)

 ボールを捉える感覚は、特別優れているとは思いませんが悪くもありません。特に自分のポイントまで、ボールが呼び込めている時は大丈夫そう。ボールを見極める目はよくわかりませんでしたが、ヘッドスピード・打球の速さはまずまずと言えるでしょう。

 打撃もまだ発展途上ですが、今後の伸び代を秘めた素材という感じはします。


(最後に)

 神宮大会の観戦だけでは、正直走力含めてよくわからない部分もありました。しかし1つ言えるのは、攻守に非常にスケールを感じさせる選手だということ。全国的にみても、現時点ではNO.1の遊撃手ではないのでしょうか。順調に伸びて行けば上位指名でドラフトされても不思議ではない、そんな一人だと思います。今後も、追いかけてみたい選手です。


(2016年秋 神宮大会)