17ky-39


 




湯浅 大(巨人の)ルーキー回顧へ







湯浅 大(健大高崎3年)遊撃 172/70 右/右 
 




                    「ちょっとおもしろい」





選抜大会直前に骨折したせいか? 甲子園にも出場していた割に陰が薄かった 湯浅 大 。夏の群馬大会も、3回戦からようやく出場するようになったのだという。しかし打順こそ下位を打っていたものの、キラリと光る面白いものを持っていた。


走塁面:
☆☆☆☆ 4.0 走塁偏差値 60

 一塁までの到達タイムは、右打席から走って4.1秒前後。三塁打での到達タイムは、11.15秒 という快速ぶり。高校球界でも屈指の機動力野球を行っている健大高崎においても、その象徴的な存在だったという。出塁すると、すかさず盗塁を仕掛けて来る。このタイムをドラフト指名された右打者のタイムで偏差値化すると、走塁偏差値は60 。 身体能力の化物が揃ったプロ野球の世界でも、上位16%以内入ってくるような走力を持っている。

守備面:
☆☆☆☆ 4.0

 非常にスピード感溢れる動きを見せる選手で、上のレベルでもニ遊間でやって行ける素材だろう。瞬時の判断力が鋭く、守備範囲も広い。キャッチングも悪くないし、何よりスローイングが安定している。地肩も基準以上のものがあり、高校生のショートとしてはA級の守備力の持ち主。上のレベルでも、走力・守備力はプロ級だと評価して良いだろう。





(打撃面)

 これだけの選手が、何故ドラフト8位まで残っていたのか。やはり怪我の影響で、充分なアピールができなかったこと。そして回復に手間取り、ドラフト候補としては物足りない打力にみられたからではないのだろうか。ボールを手元まで呼び込み、右に左にセンターへとはじき返してゆく。

<構え> 
☆☆★ 2.5

 前の足を少しだけベース側に置く、軽いクローズスタンス。グリップは高めに添えているが、バット寝せて添えている。腰の据わりは悪くないのだが、両眼で前を見据える姿勢が悪く、全体のバランスとしてはいまいち。両眼でしっかりボールを観ないと、錯覚起こしてボールを的確に追うことができない。

<仕掛け> 平均

 追い込まれるまでは、投手の重心が下がりきったところで動き出す「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多く観られる仕掛けを行っている。しかし追い込まれるとノーステップ打法に切り替え、「遅めの仕掛け」を採用。狙い球を絞り、その球を逃さないで打つスタイルに。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を引き上げまわしこんで、ベース側に踏み込んで来るインステップ。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもそれなりに対応。踏み込んで来るように、外角を強く意識していることがわかります。踏み込んだ足元はブレないので、外に逃げてゆく球を低めの球にも食らいつけます。その半面、内角の捌きが窮屈になる弊害も出るわけです。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、速い球に立ち遅れる心配はありません。しかしボールを呼び込む時に、完全に肩が内に入り込んでしまっているので、内角の球にはバットが出難くなります。クロスにかまえて打つので、基本はセンターから右方向にはじき返すことを徹底すべきでしょう。引っ張って良いのは、高めに浮いた緩い球だとしないと、ことごと引っ掛ける危険性がでてきます。

 スイングの弧は小さくはなく、しっかりしたスイングで振り切ります。けしてフォロースルーなどで打球を運ぶタイプではなく、野手の間にはじき返す、抜けてゆくタイプの打者だと言えます。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは静かなので、目線の上下動は少なめ。身体の開きは我慢できていますが、内が苦しいぶん軸足の形が窮屈そうに見える時があります。

(打撃のまとめ)

 いかに内角を捨てて、徹底的に外角の打てる球を逃さず叩くかに懸かっています。そのため、割り切りがより求められるスタイルだと言えるでしょう。しかしこういったタイプは、2番打者あたりでは重宝しそうなタイプではあります。最後の夏も、けして本調子ではなかったのでしょうが、その才能の片鱗は感じられました。特にボールを呼び込むまでの「間」が良い選手で、ここには感性を感じます。プロで磨かれば、打撃でも存在感を示せるかもしれません。


(最後に)

 守備・走塁はプロで通用するであろう素材ですし、打撃にも感性が感じられ面白い素材だと思います。いろいろ怪我などあり、アピール不足に終わった最終学年でしたが、将来どうなるか楽しみな一人ではないのでしょうか。プロでは打撃で苦労するとは思いますが、センスの悪い選手ではないので、時間をかければモノになっても不思議ではありません。8位指名という下位指名の選手ですが、☆ を付けてみたい選手でした。


蔵の評価:
 (下位指名ならば)


(2017年夏 群馬大会)