17ky-38
広沢 伸哉(大分商3年)遊撃 175/70 右/右 |
「強肩の守備が光る」 今年の大分県のショートと言えば、甲子園でスカウトを唸らせた 三村 鷹人(明豊3年)遊撃手の印象が強い。三村が安定したスローイングが売りの堅実なタイプだとすれば、この広沢は深いところから刺せる強肩とダイナミックな守備が売りのショートストップといった感じだろうか。いずれにしても広沢の売りは、この守備にあると言えるだろう。 (守備・走塁面) 打球への一歩目の反応もよく、守備範囲も広い。フライを追えば、背面の難しい飛球でもキャッチ。きわどいプレーの時は、あえて打球の正面にまわるのではなく、一連の流れの中で下からボールをすくい処理する早さを重視。また捕ってから素早く送球できる選手で、その反応速度も素晴らしい。スカウトが、今宮 健太(ソフトバンク)のようになるのではないかと期待する、動物的感覚を持ったショートストップだと言えよう。 残念ながら3試合ぐらい大分商の試合を見たものの、一塁までの到達タイムを計測する機会には恵まれなかった。外野に打ち返すヒットかフライ・三振などで、内野ゴロを打たない選手だからだ。少なくても転がすというよりも、ライナー性かフライが多いということ。 (打撃内容) この夏は、1番・遊撃手として出場。広角に打ち返す打者だが、それほど長打力に優れた選手ではない。二塁打・三塁打なども多くはなく、単打でのヒットが多い印象。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 スクエアスタンスでカカトを浮かし構え、グリップの高さは平均的。腰はそれほど据わっていないが、両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスはまずまず。打席でも、比較的リラックスしているのは良いところ。 <仕掛け> 遅め 投手の重心が下る時にベース側にツマ先立ちして、本格的に動き出すのは投手の重心が前に滑り出してからという「遅めの仕掛け」を採用。そのためボールを手元まで引きつけて叩く、生粋の二番打者か長距離打者によく観られる仕掛けだと言えよう。彼の場合は、完全に二番打者タイプではないかと考えられる。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 始動~着地までの「間」はない割に、足をしっかり回し込んで真っ直ぐからアウトステップに踏み込んでくる。始動~着地までの「間」が取れない中で足を回し込むので、どうしても一定レベル以上のスピードや切れのある投手には立ち遅れやすい。少なくても狙い球を絞り、その球を逃さないことが求められる。 コースによって踏み込む場所が変えている印象で、その踏み込みの自在生が幅の広い打球方向に繋がっている。踏み込んだ足元もブレないので、外に逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができている。 <リストワーク> ☆☆★ 2.5 打撃の準備である「トップ」の形を作るまでは自然体で、柔らかいリストワークを可能にしている。気になるのは振り出しの際に、肘が落ちてしまうために外の球対してはインパクトまで遠回り、内の球にはキレイにバットが抜けて来ないことが多い。この辺が、全国レベル・ドラフト指名レベルの選手としては打力が見劣る原因になっていそう。 バットの先端であるヘッドは下がっていないので、広い面でボールを捉えられフェアゾーンにボールは飛びやすい。スイングの弧自体は小さくはないが、フォロースルーなどを使ってボールを遠くに運ぶタイプではないようだ。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げは静かなので、目線の上下動は少なく球筋を狂いなく追いやすい。身体の開きも我慢できており、軸足も大きく崩れることなくスイングできている。好不調の波は、少ないタイプなのではないのだろうか。 (打撃のまとめ) 特にヘッドスピードが鋭いとか、非凡なミートセンスがあるという感じはしません。打撃センス自体は悪くは無さそうですが、スイング軌道に癖があり、これをいかに改善できるかでしょう。打撃に関しては、ドラフト7位で指名されたとおり、ドラフト指名選手の野手としては劣る部類だと判断しています。 (最後に) やはりこの選手は、ショートを守れるという付加価値が最大のアピールポイント。打撃に関しては、指名レベルか否かと言えば私には物足りなく感じました。ただし守備のダイナミックさからいって、アマでちまちま育てるタイプではないのかもしれません。それほど凄みは感じられませんでしたが、感性を活かして伸びて行って欲しい一人だと思います。残念ながら私自身は、高校からのプロというまでの評価には至りませんでした。 (2017年 大分大会) |