17ky-3
安田 尚憲(履正社3年)三塁 188/92 右/左 |
「清宮よりプロっぽい」 確かに現時点では 清宮 幸太郎(早実)よりもワンランクもツーランクも見劣るのは否めない。しかしプレーにこだわりが感じられ、自分というものを持っている。その所作をみていると、清宮より野球で飯を食べてゆくのだという気構えが、プレーの端々から感じられる。そういった意味では、いつか2人の力関係が逆転する日が来るかもしれない。 守備面:☆☆★ 2.5 確かに打球への反応の鈍さ、キャッチングのぎこちなさ、スローイングの不安定さなど、高校生としても上手い部類の三塁手とは言えない。しかし近年の三塁手の逸材という比較では、岡本 和真(智辯学園-巨人1位)なんかと比べると、プロで鍛えればなんとかなるのではないかというレベルまでは来ている。プロでも一年目は相当なエラーを記録するかもしれないが、それでめげるようなメンタルの持ち主でもないだろうし、地肩も自体もまずまず強い。プロでも三塁が可能かもしれない、そういった期待は抱ける選手ではないのだろうか。 走塁面: ☆☆ 2.0 走塁偏差値 42 一塁までの到達タイムは、左打席から4.3秒台が多い。これをプロに指名された左打者のタイムで偏差値化すると、42 程度とかなり遅い。私が知る限り、彼が盗塁をしたのは見たことがない。ただしスラッガーなので、守備はともかく走力までは求める必要はないだろう。 (打撃内容) 清宮のように打球に角度をつけて飛ばすというよりは、圧倒的な腕っ節の強さ、肉体のパワーでかっ飛ばすタイプ。そのため力が強すぎて、返って打球があまり上がらないタイプの強打者ではないかという不安は危惧する。しかし少々差し込まれても、外野手の頭を越すようなパワーは日本人離れしている。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 前の足を軽く引いて、グリップは下げてリラックスを心がけます。腰はそれほど深く据わらないが、背筋は伸ばされており全体のバランスも悪くない。両目で前を見据える姿勢はよく、常に体を動かし力まないことを心がけている。そのため以前ほど、構えに固さは感じられなくなった。 <仕掛け> 平均的 投手の重心が下がりきった底のあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力をバランス良く兼ね備えた中距離打者やポイントゲッターに多く観られるスタイル。現状は、生粋のスラッガーというよりも中長距離打者みたいな色彩が強い。 <足の運び> ☆☆☆☆ 4.0 足を軽く上げて、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも捌きたいタイプ。現在は、どの球でも対応しようと万能型のスイングを心がけている。 インパクトの際には足元がブレないので、体の開きが抑えられ逃げてゆく球や低めの球にも対応できる。右にも左にも幅広く大きなのが打てるのは、この選手の魅力なのかもしれない。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0 打撃の準備である「トップ」を作るまで自然体なのは良いのだが、バットを引くのが遅れて立ち後れないように気をつけたい。バットの振り出しは意外に上からロスなくインパクトまで振り下ろして来る。以前はボールとバットとの距離をとるのが下手で、内角の球が窮屈だったのもかなり内角が捌けるようになってきた。 またインパクト後は、スイングの弧を大きく取り強烈な打球を生み出している。フォロースルーはまだ上手く使えていないので、打球があまり上がらないことが多い。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動は小さめ。体の開きは我慢できており、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて安定している。好不調の波は少なそうで、軸足の内モモも適度に強さそうなので、強烈な打球を生み出す原動力になっている。 (打撃のまとめ) 春よりも内角が窮屈で無くなり、甘めの内角寄りの球ならばライト線に飛ばすような長打も増えてきた。また外角の球は本塁打できることが増えてきており、最後の夏には量産できた。全体的に脆さや粗さは選抜時よりも薄まりつつあり、段階を踏んで成長を遂げていることは実感できる。特にU18の国際大会では、各選手対応に苦しむなか打率.324厘と安定した成績を残した。そういった異なった環境でも、自分のプレーに徹するだけの精神面・技量があることが改めて証明される形となった。 (最後に) 清宮のように10年に1人級の逸材と比較するのは可哀想だが、例年ならば目玉級の強打者であることは間違いない。恐らく高校時代の T-岡田 とか 筒香嘉智 あたりと比較しても、遜色ないレベルにあるように思える。 1年目から即どうとかいう選手ではないが、3年後ぐらいには一軍でレギュラー争いができ、5年後ぐらいには球団で中軸を任されるような存在に育ってゆくのではないのだろうか。個人的には、贔屓チームでその成長を見守ってゆきたいタイプという気がする。清宮が一塁以外のポジションの目処がつかないのに比べると、サードもしくは外野あたりの融通性があることからも、清宮から路線変更した球団など、2,3球団がドラフトで競合することになるとみている。打者としては、松井秀喜 のように、グッシャとボールを潰すような迫力と打席での威圧感を持った選手になりつつある。 蔵の評価:☆☆☆☆ (1位指名級) (2017年 U18ワールドカップ) |
安田 尚憲(履正社3年)三塁 188/95 右/左 |
「捉えた時の打球は凄まじい」 まだまだボールを打ち損じる粗さは残すものの、捉えた時の打球のの凄まじさとそのパワーには、やはり驚かされるものがある 安田 尚憲 。目に見えて秋から大きな成長は感じられなかったものの、やはりただものではないという印象を選抜でも残してくれた。 (どんな選手?) 東の 清宮 幸太郎(早実)に対し、西の 安田 尚憲 と評されるスラッガー。清宮以上の体格を誇り、打席での威圧感・迫力は清宮を上回るものがある。 走塁面: ☆☆ 2.0 走塁偏差値 42 一塁までの到達タイムは、左打席から4.3秒台が多い。これをプロに指名された左打者のタイムで偏差値化すると、42 程度とかなり遅い。しかし彼のようなスラッガーは、それほど走力を求められないので、悲観するほどの数字ではないだろう。 守備面 ☆☆★ 2.5 大型で動きが鈍く、かなり危なっかしく見える守備も、ひと冬越えてワンランクうまくはなってきた気がする。打球への反応はそれほど悪くはないものの、キャッチング・フットワーク・スローイングの各流れがよくありません。それでも高校時代の岡本 和真(智辯学園~巨人1位)あたりと比べると、安田の方が上手いように見えます。地肩自体はまずまず強いので、その辺には好感が持てます。プロで鍛えれば、平均レベルぐらいのサードまでいけるかもしれません。 (打撃内容) 内角寄りの球が窮屈で、ボールとの距離感を図るのが下手な印象があります。逆に腕がしっかり伸びて打てるコースに関しては、素直に力を発揮できます。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 前の足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合、全体のバランスもよく、両目で前を見据える姿勢は並ぐらいでしょうか。何より素晴らしいのは、巨体を活かした圧倒的な存在感のある構えだということ。投手へのプレッシャーという意味では、清宮以上のものがあるのではないのでしょうか。 <仕掛け> 遅め 投手の重心が下がりきって、前に移動する段階で動き出す「遅めの仕掛け」を採用。ボールできるだけ手元まで引きつけて叩く、天性の長距離打者になりつつあります。 <足の運び> ☆☆☆☆ 4.0 足を少しだけ浮かし、真っ直ぐからベース側にインステップしてきます。始動~着地までの「間」はそれほどないので、狙い球を絞って叩く 点 の打撃になります。その球をまだ確実に仕留めきれていないところに、この選手の課題があります。 真っ直ぐ~インステップするということは、真ん中~外寄りの球に意識が強いことがわかります。むしろ内角を攻められたときは、あえて捨てている印象すらあります。外の球を狙い撃ちしているときは、足元がインパクトの際にもブレません。そのため逃げてゆく球や低めの球に対しても、しっかり叩くことはできています。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」を作るまでは、自然体で力みがないのは良いところ。しかしバットを引くのが遅れがちで、速い球やキレのある球にワンテンポ差し込まれやすいので注意したい。バットの振り出しは、結構上からミートポイントまでロスのないスイングをしている。それでも内角には腕が長すぎるのか? 窮屈になるので、ボールとの距離をとりたいタイプ。逆に外角の球に対しては、長い腕を活かしロスなく振り下ろしてくる。あとは、ヘッドを若干立てるような意識が持てれば打ち損じも減りそう。 ボールを捉えたあとも、スイングの弧も大きくとれ、強烈な打球を生み出すことができています。フォロースルーをうまく使えればもっと遠くに運ぶことができそう。今はどうしても力で打ちに行って、打球が上がらないことが多いように感じます。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動は平均的。身体の開きは我慢でき、軸足の内モモの筋肉の発達がハッキリとわかります。これは、強烈な打球を放つ大きな原動力に。軸足の形が崩れやすい欠点がありますが、選抜の終盤戦ではだいぶ安定して調子を上げて来ていたのではないのでしょうか。 (打撃のまとめ) 秋に比べ、それほど打撃はいじってはいないように思います。よりボールを引きつけて叩くことを意識し、スイング軌道も以前よりも無駄がなくなってきています。まだまだプロレベルの球への対応には苦労しそうですが、少しずつですがレベルアップをしてい兆しは感じられます。今後指導者に恵まれれば、プロでも段階を踏んで伸びて行ける資質は秘めているのではないのでしょうか。 (最後に) けして器用な選手ではありませんが、無骨に自分を努力して伸ばして行けるタイプなのではないのでしょうか。けして雑なプレーはしませんし、頭のわるい選手ではないのでしょう。 プロの三塁手としてはキツイかな?と秋ぐらいまでは思っていたのですが、選抜のプレーを見ていると、なんとかなりそうではという気にもなってきました。これが一塁・左翼候補なのと、三塁もできるのだということではドラフトでの見方も全然変わってくるので。 まだ清宮ほどの完成度は感じませんが、ドラフト上位で消える選手だと思います。私の思っていた成長曲線よりも若干早いスピードで成長していますし、プロでもモノになるかもという気にはなってきました。今までは、ちょっとどうかな?という半信半疑の目で見ていたので。そういった感覚にさせてくれたことが、この選抜での1番の収穫ではなかったのでしょうか。 蔵の評価:☆☆☆ (上位指名級) (2017年 選抜) |
安田 尚憲(履正社2年)三塁 188/92 右/左 |
「西のNO.1」 2016年秋の時点では、東の清宮幸太郎・西の安田尚憲 と称される、西日本屈指のスラッガー。果たして、清宮幸太郎 と比べて、西の怪物はいかなるものなのか考えてみたい。 (ここに注目!) 清宮ほど打撃に柔らかさは感じられないものの、長短打ち分ける強打と捉えた時の打球には目を見張るものがある。特に打席に立った時の威圧感は、清宮のそれよりも明らかに迫力のある身体付きをしている。 走塁面:☆☆ 2.0 実際あまりまともに走っているところを見たことがないのですが、計測した時は左打席から4.5秒弱ぐらい。プロでドラフト指名される左打者の平均は、4.1秒ぐらい。指名の目安は、4.2秒以内の基準となります。もちろん彼のような強打者は、もう少しハードルが下がりますが、走力に関しては期待できないでしょうというレベル。 守備面:☆☆★ 2.5 春季の近畿大会で生で見た時は、動きは危なっかしい割には無難になんとか捌いているという印象がありました。守備範囲・反応、フットワークなどはけして良いとは言えませんが、キャッチング・スローイングはなんとかいうレベルでしょう。現時点では中の下レベルのサードですが、来夏までには平均的なレベルぐらいまでには引き上げて欲しいものです。肩も、それほど目立って強いわけではありません。 (打撃内容) 見ていると、固いというよりも動作全体が 窮屈 に感じられます。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 前の足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合、全体のバランスもよく、両目で前を見据える姿勢は並ぐらいでしょうか。適度にリストのあたりを動かし揺らいで、全体的に固く力まないように心がけています。バランスの取れた、良い構えではないのでしょうか。 <仕掛け> 平均~遅め 投手の重心が下がりきった底のあたりから、少し前に移動する段階で動き出します。全体的には「平均~遅め」の中間ぐらいでしょうか。中距離~長距離の中間ぐらいで、中長距離打者 という感じの打者なのかもしれません。 <足の運び> ☆☆☆☆ 4.0 足を軽く上げて、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもそれなりに対応。緩いカーブでも、しっかり引きつけて打てていました。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも捌きたいタイプかと。 素晴らしいのは、踏み出した足元がブレないこと。これにより外角の逃げてゆく球や、低めの球にも開きを我慢して見極めたり、食らいつくことができます。この選手の良さ1つに、ボールを見極める「眼」の良さがあるように感じます。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 打撃の準備である「トップ」を作るまでは、自然体で力みがないのは良いところ。しかしバットを引くのが遅れがちで、速い球やキレのある球にワンテンポ差し込まれやすい。またバットの振り出しの際に、けしてインサイド・アウトではなく外の球をきっちり叩くスイング軌道。それ自体悪いことではないのだが、真ん中~内角寄りの球に対しては、ボールとの距離感が図れずに バットが出てこなく 窮屈に 見えてしまうということ。実際中々、内の球には綺麗にバットが抜けて来ません。 強打者の宿命なのですが、ボールの下に潜らせるようなインパクトなので打ち損じも多くなりがち。スイングの弧やフォローまで実に大きく取れているのが特徴でしょうか。確率は低いですが、上手くタイミングが合えば遠くに飛ばせる打ち方です。打球も強いですし、その精度を夏までに高めて行って欲しいものです。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動は平均的。身体の開きは我慢でき、軸足の内モモの筋肉の発達がハッキリとわかります。強烈な打球を放つ、大きな原動力になっています。打ったあとに、軸足が前にツッコミがちなので、身体がツッコミやすかったり、打ち終わったあとのバランスの悪さを感じます。 (打撃のまとめ) けして 固いとか脆い という感じではないのですが、真ん中~内角にかけて窮屈で、綺麗にバットが抜けて行かないイメージがあります。今後ボールとの距離感を、上手くとって行けるのかが課題ではないのでしょうか。 清宮に比べると、安定して打てるコンタクト能力は劣っている気がします。清宮が外角を苦手にしているのに対し、この安田は内角が苦手な印象です。しかし打撃の基本である外角の打ち方はしっかりしていますし、素材としての「眼」の良さにも良いものを持っているのは明るい材料ではないのでしょうか。 (最後に) 現時点では、清宮に比べると全体的にワンランク・ツーランク完成度の部分で劣っています。しかしそれが将来に向けて劣っているとは言い切れず、夏までの成長次第では近いレベルまで近づけるかもしれません。 特に打席に入る時の足場の馴らし方などを見ていると、清宮は実に淡白。しかし安田の方は、軸足の部分をしっかり掘って足場を固めてから打席に入っています。こういった自分の打撃に対する深いこだわりを見ていると、清宮よりも安田の方が上のレベルへの貪欲さはあるのかと思える部分はあります。これから二人の力関係が、どのように変化してゆくのか楽しみではあります。とりあえずこれからも、追いかけてみたい選手でした。 (2016年秋 神宮大会) |