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比嘉 賢伸(巨人)内野手のルーキー回顧へ







比嘉 賢伸(盛岡大附3年)遊撃 180/81 右/左 
 




                    「植田よりプロ受けするのか?」





3番の小柄な植田拓がド派手な活躍をする中で、後ろを打つ 比嘉 賢伸 は、堅実な活躍をする選手。180センチ台の大型遊撃手で、むしろプロ受けするという意味では、この男の方が上なのかもしれない。


走塁面 
☆☆★ 2.5 走塁偏差値 46

 一塁までの到達タイムは、左打席から4.25~4.35秒ぐらいに収まることが多い。最も早い4.25秒を基準にしても、ドラフト指名された左打者のタイムで偏差値化すると 46 程度。これは中の下程度であり、けして足を売りにする選手ではないことがわかる。実際のプレーでも、夏の岩手予選6試合で1盗塁、夏甲子園4試合で1盗塁 と、ガンガン足でアピールして来るタイプではない。

守備面:
☆☆☆ 3.0

 大型なので見栄えのする選手なのだが、打球への一歩目の反応こそ悪くないが、フットワーク・スローイングまでの流れとドラフト候補としては平均的。スローイングは安定しているが、地肩も驚くほどかというとそこまでは感じない。大型の割に破綻のないプレーをする、そんな印象を受ける。しかしこういった選手の方が、上のレベルでは信頼される遊撃手になれるのかもしれないが。





(打撃内容)

 けして長距離打者というよりは、野手の間を鋭く打ち返すタイプの強打者。印象的なのは、どの打席もバットの芯で捉える打球が多く、的確に捉えられるミートセンスの良さ。そのためスイングが凄く早いというわけではないのだが、球足が強烈なのが印象的。個人的には、三拍子の中では打撃の能力を一番買いたい。

<構え> 
☆☆☆☆★ 4.5

 前足を引いた、左オープンスタンス。グリップを高めに添えるも、バットを寝せて全身を常に動かしている。腰の据わり、両目で前を見据える姿勢、全体のバランス共に優れており、構えとしては大きな欠点は見当たらない。しいて言えば、構えたときに何か威圧感があるとか、隙無しの「鋭さ」を感じるとか、そういった凄みは見られない。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下がり始める前から動き出す、「早すぎる仕掛け」を採用。まだ投手が投げるタイミングを変えられる段階で動き出すので、フォームで崩されてしまう心配はある。それでも、典型的な確実性を重視したアベレージヒッターの始動だと言えよう。

<足の運び> 
☆☆☆☆ 4.0

 足を引き上げて回し込み、真っ直ぐ踏み込んで来る。始動~着地までの「間」が取れており、速球でも変化球でもスピードの変化に対し幅広く対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも対応しうる万能型だと言えるであろう。踏み込んだ足元もインパクトの際にブレないので、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができる。何処か得意な球があるというよりは、緩急にもコースにも対応できる、幅の広い打撃が持ち味だと考えられる。

<リストワーク> 
☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」を作るまでも自然体で、それなり自分なりのタイミングの合わせ方を持っている。少々バットの動きに余分な動作が多いようにも感じるが、この小刻みな動きが彼独特のタイミングの取り方に生きているのかもしれない。バットの振り出しも、実に肘を上手くたたんでキレイにスイングできていてロスがない。

 インパクトの際にもヘッドが下ることなく、鋭く振り抜かれている。上半身の使い方は、非常に上手い選手ではないのだろうか。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げも静かなので、ボールを安定した目線で追うことができている。体の開きも我慢できているし、軸足の形も崩れず好不調の波も少ないのではないのだろうか。

(打撃のまとめ)

 技術的には、非常に高いレベルでまとまっている。植田が自由奔放に本能の赴くままにスイングしているのに比べると、この比嘉の方はお手本にしたいような、高い技術でスイングできている。ただ技術が完成されているだけでなく、自分の感性というか世界を持ってボールを捉えることができている点も買いたい。


(最後に)

 ガンガン自分の存在感をアピールする植田に比べると、自分の役割をしっかりこなすタイプ、そんな印象を受ける。その分、これからプロで飯を食ってゆこうとか、そういったギラギラしたものは感じられない。しかしショートをしっかり守ることができ、打撃も悪くないことを考えると、志望届けを提出した場合に、指名して来る球団があっても不思議ではないのではないかと思うのだ。

 私自身は、内面の部分がまだ「旬」ではないようには感じるが、非常に打撃の部分では興味深いものを持っている。本人がプロでやりたいというのならば、志望届けを出してプロの評価に託してみても良いのではないのだろうか。もし進学するにしても、今後も注視してゆきたい選手だった。


(2017年夏 甲子園)