17ky-19
福永 奨 (国学院大4年)捕手 175/87 右/右 (横浜高出身) | |
横浜高校時代に惚れ込んだ 福永 奨 の送球は、こんなものだったのかな?と東都の試合を観て思っていた。大学生に混ぜると、福永の肩も平凡に見えてしまったのだ。しかし、最終学年になりその様子も一変。あの横浜高校時代に見せた、福永の送球が戻ってきた。 (ディフェンス面) 小学生の頃からマスクを被ってきた、生粋の捕手。周りに細かい指示を出しながら、まさにグランド上での監督といった感じだ。ミットをしっかり示すので、投手としては的をつけやすい。コースに投げてもブレないで捕球し、ワンバウンド処理にも素早く下からミットが出てくる。 洞察力に優れ、敵も味方の状況も冷静に判断する。豊富なな経験に裏打ちされた、大人びたリード。送球も捕ってから素早く、安定して1.8秒台中盤を叩き出す。プロに混ぜても充分やって行けるレベルであり、ことディフェンスに関しては、アマチュアの選手ながら、1年目から一軍に混ざって行けるレベルにあるといえるだろう。 (打撃内容) 春見た時は、ボールを芯で捉える能力に優れているなといった印象。それでも、12試合 1本 15点 打率.241厘 と、思いのほか率が低く物足りなかった。しかし、ラストシーズンとなったこの秋は、9試合 2本 7点 打率.323厘(6位) と、自身初の3割越えを達成し、チームでも4番を任されていた。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 前の足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。腰は比較的深く沈んでいるが、後ろ足に体重を預ける感じ。全体のバランスとしては少し癖があるが、両眼で前を見据える姿勢はいい感じ。球筋を錯覚を起こすことなく追うことができるので、的確にボールができる構えです。春はスクエアで立っていたので、幾分ボールが見やすいことを重視したのかもしれません。 <仕掛け> 平均的 投手の重心が沈み込んだ底のあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離打者や勝負強さを売りにするポイントゲッターに多く見られる始動のタイミングです。春は、「早めの仕掛け」で幾分早かった始動が、もう少しボールを見てからの動き出しに変わっていました。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を引き上げて回し込み、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいという万能型。 踏み込んだ前の足は、インパクトの際にもしっかり止まっています。そのため、逃げてゆく球や低めの球にも喰らいつくことができます。特にこの秋は、引っ張って巻き込む打撃が目立ちました。ようは、引っ張り込める球ならば、思いっきり引っ張ろうという形です。 春は幾分インステップ気味で、少し内角が窮屈になりがちでした。そういった球に対しても、ある程度対処してゆこうという姿勢が感じられました。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」の形を作るまでは自然体で、ボールを呼び込む際に力みは感じられない。バットの振り出しも、インサイドアウトではないのですが、インパクトまで大きなロスはありません。インパクト後のスイングの弧も大きくとり、最後まで力強く振り切ってきます。またヘッドもそれほど下がらないでインパクトできているので、フェアゾーンにボールを飛ばすこともできていました。 春までは、センターまでに打ち返すことを意識した打撃といった感じでしたが、この秋は打てるゾーンの球は思いっきり引っ張ってやろうという、思いっきりの良さが生まれホームランも出るようになっています。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げはそれなりで、目線の上下動は大きくはない。それに身体の開きは我慢でき、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて安定している。 (打撃のまとめ) 細かい部分ではいろいろ変わっているのだが、それがいい感じでシックリきたのかもしれない。かなりラストシーズンは、余裕を持ってボールを呼び込めていた。そのため、アウトになってもしっかり芯で捉えていた打球が多く、打席での内容も良かった。打撃でもようやく、プロの指名圏内の打力に到達気がする。 (最後に) 大学に入ってから寂れていた送球が、最終学年になって復活。元々こなれていたディフェンス力に、明るさを取り戻した。また能力はありながら、結果を残せなかった打撃も、最終学年に良い形に。昇り調子で、プロ入りを迎えたのは明るい材料。そういった意味では、春からワンランク評価をあげたいところ。 プロで正捕手を担うほど圧倒的な素材ではないと思うが、培ってきた経験や技術は確かなので、一年目から一軍に混ぜってプレーをしても違和感はないはず。そういった中で、プロでも何かを掴みとる嗅覚があれば、いずれは正捕手にまでなって昇りつめてゆくのかもしれない。 蔵の評価:☆☆ (中位指名級) (2021年 神宮大会) |
福永 奨 (国学院大4年)捕手 175/81 右/右 (横浜高出身) | |
彼のリードを見ていると、好い意味でのあざとさがあり、こういったプレーができるアマチュア選手は中々いない 福永 奨 。中学時代からシニア日本代表を務め、名門・横浜高校でもマスクを下級生からかぶってきた。この春は、チームをリーグ優勝に導くなど、経験豊富なディフェンス力はまさにプロ級だと言えるであろう。 (ディフェンス面) しっかりミットを示すことができ、投手にとっては的をつけやすい。座ったまま返球はするものの、それはテンポの好いリードを心がけるため。そのため走者が出れば、しっかり立って返球するなど雑なところは観られない。周りにしっかり指示を出し、司令塔らしい司令塔といった感じはする。 キャッチングもフレーミングなども駆使して安定し、ワンバウンドするような球に対しても下から素早くミットが出てきます。リードは、内角や高めを駆使して、非常に幅広くボールを使うことができ相手に的を絞らせない。高校時代に比べると送球が地味になった印象だが、そのぶん走者の滑り来んでくるくるところに安定して集められる制球力が身についた。二塁までの到達タイムは1.9秒前後で、地肩自体はプロに混ぜると平均的な印象を受けた。生粋の捕手といった選手であり、アマチュアの捕手としてはA級のディフェンス力の持ち主ではないのだろうか。プロに混ぜても、1年目から一軍に混ぜてもやって行けそうなレベルにはある。 (打撃内容) 高校時代から打撃の弱さがネックになっていたが、この春は 12試合 1本 打率.241厘 ながら、15打点と勝負強さが際立った。打席を観ていると、バットの芯でボールを捉えていることが多く、打撃の潜在能力も低くないのではないのかと思えてくる。 <構え> ☆☆☆ 3.0 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップを高めに幾分捕手側に置いて添えている。腰の据わり自体は悪くないが、後ろ足に体重をかけて立つため全体のバランスには癖があり、両眼で前を見据える姿勢は並ぐらいだろうか。 <仕掛け> 早め 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。対応力を重視した始動のタイミングで、アベレージヒッターに多く観られる仕掛けです。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を上げて、幾分ベース側に踏み込んでくる。始動~着地までの「間」は取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすい。幾分インステップして来るので、外角への意識の方が強そうだ。 踏み込んだ前の足は、インパクトの際にはブレずに止まっている。逃げてゆく球や低めの球には食らいつくことができる一方、内角のさばきは窮屈になりやすい。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 あらかじめ捕手側にグリップを添えており、打撃の準備である「トップ」の形を作るのは早めに作れている。そのため、速い球に立ち遅れる心配は無さそう。けしてインサイドアウトにバットが出てくるタイプではないが、外角の球に対しては大きなロスはなくインパクトまで持ってこられている。 バットの先端であるヘッドの下がりも平均的で、しっかりと最後まで振り切れている。そのため甘い球を逃さず叩け、センター方向中心に打ち返してくる。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げは大きくないので、目線の上下動も激しくはない。身体の開きも我慢でき、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて安定している。 (打撃のまとめ) 特にスイング技術に悪いところはなく、癖のない打ち方をしている。バットの芯でしっかりボールを捉えられる確率が高く、その成績以上に潜在能力は高いのではと。ただし、守りへの意識が強いのか? 打撃にまでエネルギーを傾けられないタイプなのかもしれない。そういった意味では、アマチュア時代の 小林誠司(巨人)を彷彿とさせる。 (最後に) 派手さはないが、ゲームメイクできるリード力がであり、守りは安心して任せられるレベルにある。打撃に派手さはないが、根本的なミートセンスは悪くないので、状況に応じ最低限の仕事をこなす能力はあるとみている。それが、この春の15打点の活躍にも繋がっているのではないのだろうか。 ただし、上位指名云々といったタイプでは無さそう。ある意味、プロに混ぜてしまうと埋もれてしまう恐れもあるが、そのディフェンス力を評価してくれる理解のある首脳陣の元では、持ち味が発揮されるのではないのだろうか。しっかり守れる捕手が欲しい球団には、オススメしたい。 蔵の評価:☆ (下位指名級) (2021年 大学選手権) |
福永 奨(横浜高3年)捕手 177/80 右/右 | |
私が今まで観てきた横浜高校の捕手の中でも、歴代NO.1ではないかと思えるのが、この 福永 奨 。 しかしそれはディフェンスに関してのことで、こと打撃に関してはプロを意識するのにはかなり物足りない。その辺のことも含めて、今回は深く考えてゆきたい。 (ディフェンス面) 中学時代から、シニア全日本の正捕手を務めるなど経験豊富でリーダーシップ溢れる選手。投手にミットをはっきり示し、グラブを地面に下ろすような癖もない。そのためワンバウンドするような球でも、グラブを下から素早く出して反応できる。ボールを押し込めるキャッチングもよく、ボールの勢いにミットが負けることはない。ただし自分からボールを掴みに行ってしまうところがあるので、その辺が若干物足りないか。 投手や内野に明確に指示の出せる選手であり、それでいてランナーがいなくても1球1球立って丁寧に返球し雑なところがない。送球は少しドカッと座り過ぎていて遅れる傾向があったのだが、今は素早く返球しようという意識が持てている。しかしその気持が強すぎるのか? 慌てて投げてしまい、しっかり型を作ってから送球できないので制球を乱すことも少なくない。全国でも指折りの地肩があるのだから、慌てることなく落ち着いて送球して頂きたい。形がしっかりできていないのに慌てて投げてしまうと、大きなミスにつながる。捕手としての良い意味でのあざとさも持っており、ことディフェンスに関しては高校からプロに入れる素材だと言えよう。 (打撃内容) ときより上手くタイミングが合えばスタンドインできる長打力はあるものの、根本的にボールを捉えるミートセンス・コンタクト能力に大きな課題を感じます。 <構え> ☆☆☆ クローズドスタンスで構え、グリップの高さは平均的。腰を深く沈めた構えでどっしり感はあるのだが、両目で前を見据える姿勢や全体のバランスは、クロスに構えているぶん癖がある。この構えだとセンターから右方向に打ち返すのが基本だが、この選手は引っ張る打撃が多いのでボールを引っ掛けてしまうことが多い。 <仕掛け> 遅すぎ 投手の重心が沈みきった時にベース側につま先立ちし、本格的に動き出すのはリリーフ直前という「遅すぎる仕掛け」。ここまで遅いタイミングで動き出すと、日本人のパワーやヘッドスピードを考えると、一定レベル以上の球速・キレのある球に対応仕切れないで苦しむ。 <足の運び> ☆☆★ 2.5 足を少しだけ地面から浮かし、ベース側に踏み込むインステップ。始動~着地までの「間」に余裕がないので、打てるタイミングは 点 になり、その球を逃さない鋭さが求められる。ベース側に踏み込むように外角を強く意識したスタイルだが、その球を引っ張りにかかるので、どうしても引っ掛ける打球が多くなる。体が一二塁間を向いているのに三遊間に引っ張りにかかれば、空振るか引っ掛ける確率はどうしても高くなる。それでも踏み込んだ足元はブレないので、高めの球ならばある程度対応できるのかもしれない。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 早めに打撃の準備である「トップ」の形は作れていることで、始動の遅さを補おうとしている。バットの振り出しはインサイド・アウトではないものの、レベルスイングでヘッドも立っており思ったほど遠回りではない。それほどスイングの弧が大きいとかフォロースルーを使えているわけではないが、体幹が強く巻き込めば長打につながるのだろう。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げは小さく、目線の上下動はそれなり。体の開きも我慢でき、軸足も大きくは崩れない。 (打撃のまとめ) 始動が遅すぎることに加え、クロスに構えているのに引っ張りにかかるなど矛盾を抱えたスイングをしている。さらに根本的にボールを捉えるコンタクト能力に課題があり、打撃に関してはドラフトレベルだと言えない。そのためプロでも相当苦労することが予想され、打撃がネックで大成できない危険性を感じる。 (最後に) 捕手としての資質を持っており、それでいて雑ではないところには好感が持てる。その一方で武器であるはずの強肩が、焦りからか送球を乱す場面が多かったのは気になる材料。打撃に関しては現状ドラフト指名レベルではなく、捕手に神経を傾けているからとかではなく根本的な能力に問題を抱えているだけに深刻だ。 捕手というポジション柄求められる打撃のハードルが低いので、高校生からのドラフト指名の可能性は秘めている。しかし現時点では、打力がネックになり高い評価を得られのるは厳しいというのが率直な感想。高城俊人(九州国際大附-DeNA)なんかもそうだったが、春~夏までの成長が感じられたことで2位指名という高い評価をくだされた。果たして福永にも、同様な変化が観られるのか? 最後まで追ってみたい。 蔵の評価:☆ (2017年 春季神奈川大会) |