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西浦 颯太(オリックス)外野手のルーキー回顧へ







 西浦 颯大(明徳義塾3年)右翼 178/70 右/左
 




                          「4拍子揃っている」





 何か一つが突出しているわけではないのだが、走攻守のバランスが非常に高い 西浦 颯大 。もしこれだけだったら、プロに埋もれてしまう危険性を感じさせるのだが、高校生にしてすでにプロを感じさせる意識の高さを持った選手。そんな 4拍子揃った選手だから、高校からのプロ入りの現実味をおびてくる。

走塁面:
☆☆☆☆ 4.0 走塁偏差値63

 以前から一塁までの塁間を3.9秒台で走り抜けていたが、この夏に計測したときは 3.89 に到達。想像以上に、走力があることに驚かされた。これをドラフト指名されたプロ野球選手の左打者のタイムで偏差値化すると 63 。プロでも上位15%以内に入る、かなりの脚力の持ち主だと言えよう。

 しかし今年の夏の高知予選では、4試合で1盗塁。走力の割には、それを全面に出してアピールして来るタイプではない。現状は、走力自体はあるものの、足を売りにするプレースタイルではないことがわかる。プロに入って自分のアピールポイントを考えたときに、どのぐらい走力への意識が高まるのか注目したい。

守備力:
☆☆☆☆ 4.0

 昨秋の神宮大会のシートノックを見ていた時から、高校生としては上手い外野手でした。キャッチングまでの反応、落下点までの入り方も高校生としては上位レベルであり、返球もかなり鋭く遠くまで伸びてくる。投手としても140キロ台を記録するという強肩は、プロでも見劣りしあせん。守備・肩に関しては、ある程度安心して見ていられるレベルにあります。

 走塁に関してはまだまだこれからですが、守備が安定しているので、ファームの試合にすんなり入って行けるのではないのでしょうか。


(打撃内容)

 しっかり捉えたときはスタンドインしますが、基本的には鋭く野手の間を抜けてゆく二塁打・三塁打が多いタイプではないかと思われます。そういった意味では、プロではアベレージ~中距離タイプの打者になる気がします。

<構え> 
☆☆☆☆★ 4.5

 前の足を軽く引いて、グリップの高さ平均的。春まではもう少し高く引き上げていた印象があるのですが、これを自然体にしました。背筋をしっかり伸ばし、両眼で前を見据える姿勢、全体のバランスも素晴らしい。構えには力みは感じられず、それでいてビシッとした高い集中力が感じられる理想的な構えです。

<仕掛け> 平均

 投手の重心が沈み込んだあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多く観られる仕掛けです。まさに、現在の彼のプレースタイルと合致していると言えるでしょう。

<足の運び> 
☆☆☆☆ 4.0

 足を軽く上げて、地面をなぞるように回し込んでます。そして少しベースから離れた方向に踏み出していたのを、真っ直ぐ踏み出すようになっていました。始動~着地までの「間」はそれなりで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそこそこ対応。内角への意識が強かった打撃を、外角への対応も重視してきました。

 踏み込んだ足元はインパクトの際にブレないので、逃げてゆく球や低めの球にもついて行けます。ただしこのゾーンの球はあまり得意ではないのか? 当てることはできるものの、引っ掛けて内野ゴロになるケースが多い印象を受けます。

<リストワーク> 
☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」の形は作れているので、速い球に立ち遅れる心配はありません。バットの振り出しも上からミートポイントまで、素直に振り下ろされてきてロスがありません。インサイドアウトの軌道なので、内角を捌くのには適していますが、外角の強い球を捌くには適してはいません。そういった意味では、プロの強い外角球を木製バットで叩くのには少し改良が必要ではないのでしょうか。それでもバットの先端であるヘッドも下がっておらず、低めの球でもしっかり拾うことが、幅広くボールを捉えることができています。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げが小さく、目線の上下動は少なめ。体の開きも我慢でき、軸足の形も崩れません。そのため調子の波の少ない、安定した打撃が期待できるのではないのでしょうか。

(打撃のまとめ)

 グリップの位置を自然体にしたり、アウトステップ気味だった踏み込みを真っ直ぐにしたりと、より自然体のオーソドックスなものに変えてきました。技術的には、もうある程度のレベルまで来ているので、今後の伸び代がどのぐらいあるのか? 自らの打撃を膨らませて行けるかにかかっています。

 それでも木製バットを使用するにあたり、もう少ししなりを活かしたスイングにしてゆくなど、改善する部分も残されています。意識が高い選手なので改善は可能だと思いますし、甘い球を逃さない「鋭さ」をすでに持っています。


(最後に)

 すでに、一年目からイースタンの試合に入って行ける可能性があります。そういった意味では、実戦の中で鍛えて行ける段階に入っており、若い野手が不足していてすぐにでもファームならば試合に出られるような球団に進むと良いと思います。

 もうすでに完成されている選手なのか、それともそこから更に伸びて行ける素材なのかの見極めは難しいところ。その点走塁やスイングの改造が必要な部分も残っており、意識の高さからさらに高めて行けると期待します。

 プロでは余剰気味になりがちな、左の外野手という選手ではあります。しかし守備がすでに上手く、走塁でも可能性がある選手なので、その辺を上手くアピールできれば埋もれないで済むのではないかと。物凄い高い評価はできませんが、本会議の下位指名あたりで、名前が呼ばれるのではないかとみています。高卒3年目ぐらいに、一軍を意識できる存在になる。そんな早期の飛躍を、期待してやみません。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2017年夏 甲子園)









西浦 颯大(明徳義塾3年)右翼 178/70 右/左 





                     「上林級かもしれない」





 左の中距離ヒッターであり、プロでは特徴を見いだせず埋没してしまうタイプかもしれない、そんな思いが強かった 西浦 颯大 。そもそもこういったプロでも同じようなタイプが多くあぶれやすいだけに、よほどこの手の選手は突出した特徴を持っていないと高校から指名されないのが常である。しかし昨秋の神宮大会で生で観ていたら、この選手はひょっとしてソフトバンクで売り出し中の 上林 誠知(仙台育英)みたいになれるかもしれない。そんな思いで、それ以来みるようになった。

走塁面: 
☆☆☆★ 3.5 走塁偏差値 59

 一塁までの到達タイムは、左打席から3.95秒前後で走り抜けるなど、プロに混ぜても中の上~上の下ぐらいの脚力を持っている。新チーム結成以来の133打数で14盗塁を記録しており、これをプロのレギュラー選手並の500打席に換算すると、1シーズン53個ペースで走っていることになる。高校野球レベルだと、この盗塁ペースは破格ではないのだが、かなり走れる走力を持っていることはイメージして頂けるだろうか?

守備面:
☆☆☆☆ 4.0

 またこの選手、右翼手としてもかなり上手い。キャッチングまでの反応、落下点までの入り方も高校生としては上手い部類だし、返球もかなり鋭く遠くまで伸びてくる。投手としても140キロ台を記録するという強肩は、プロでも上位レベルのものがあるのではないのだろうか。

 そういった意味では、守備でも走塁でも現時点で中の上レベルから上の下レベルぐらいには到達している。将来的に更に走り方を覚えたり、守備も鍛えられれば、プロでも守備・走塁でアピールできるレベルまで到達しても不思議ではない。そ考えると、ただ打つだけの選手とは違う。そういう身体的なスペックあるところも、高校時代の上林とよく似ている。



(打撃内容)

 タレント揃う明徳義塾の中でも、下級生の頃から頭一つ抜けた存在感を示してきた。いわゆる「鋭さ」を持った選手で、プレーへの意識や打席での集中力には高いものを持っている。

<構え> 
☆☆☆☆★ 4.5

 前足を軽く引いて、グリップは高めに添えます。背筋をしっかり伸ばし、両眼で前を見据える姿勢、全体のバランスも素晴らしい。構えには力みは感じられず、それでいてビシッとした高い集中力が感じられる理想的な構えです。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が沈み込んだあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多く観られる仕掛けです。まさに、現在の彼のプレースタイルと合致していると言えるでしょう。

<足の運び> 
☆☆☆☆ 4.0

 足を軽く上げて、地面をなぞるように回し込んでます。そして少しベースから離れた方向に踏み出す、アウトステップ気味。始動~着地までの「間」はそれなりで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそこそこ対応。アウトステップなので、内角寄りに意識が強いことがわかります。

 踏み込んだ足元はインパクトの際にブレず、アウトステップでも外角高めの球ならば充分対応できるはず。左サイドの外角に低めに逃げてゆくような球だと、かなり厳しいかもしれませんが。

<リストワーク> 
☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」の形は作れているので、速い球に立ち遅れる心配はありません。バットの振り出しも上からミートポイントまで、素直に振り下ろされてきてロスがありません。どちらかというとインサイドアウトの軌道に近いので、内角を捌くのには適していますが、外角の強い球を捌くには適してはいません。そういった意味では、プロの強い外角球を、木製バットで叩くのには少し改良が必要かもしれません。それでもバットの先端であるヘッドも下がっておらず、低めの球でもしっかり拾うことができます。

 下級生の頃は、トップを作るのが遅れがちだったこと。またバットが素直に出てこないと欠点がありましたが、その辺は随分と改善されています。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げが小さく、目線の上下動は少なめ。体の開きも我慢でき、軸足の形も崩れません。そのため調子の波の少ない、安定した打撃が期待できるのではないのでしょうか。

(打撃のまとめ)

 技術的にはかなり高いレベルに到達しており、逆に今後の伸び代がどのぐらい残されているのかという心配はあります。それでもスイング軌道をしなりのあるものに変える必要もあるので、その辺でどう変わって来るのか気になります。プレー1つ1つに高い集中力を感じるので、甘い球を逃さず叩くことができます。

新チーム結成以来の成績を詳しく見てみると、

133打席 5本 30点 14盗塁 .368厘

 という成績。これを500打席で換算すると、19本 113点 打率.368厘 になります。これをみるとこの選手は中距離打者であり、勝負強い打撃が売りなのがわかってきます。


(最後に)

 守備・走塁のレベルが高く、高校生離れした意識の高さも感じます。もう少し秋の成績を詳しく見てみると、三振比率は 9.5% 。高校生の場合、15%以内に抑えたいところで、それが9.5%であることを考えると、振ったバットがボールに当たるコンタクト能力には相当優れていることがわかります。

 また四死球比率は、21.8%に昇り、高校生ならば15%以上あれば優秀ですが、これも大きく上回っています。この辺は、ボールを見極める眼の良さも兼ね備えていると観て良いでしょう。

 そのため現在の打撃技術だけでなく、根本的な打撃能力を持っている可能性もあり、益々興味深いことがわかります。一見するとプロでは埋もれてしまいそうなタイプにも見えなくはありませんが、思わぬ掘り出しものかもしれません。その辺の能力が本物なのか? 夏まで追いかけて見極めて行きたい選手でした。


蔵の評価:
追跡級!


(2017年 選抜) 










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