17ｋｐ-47
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| 山上 信吾（常磐３年）投手 １８３／７５ 右／右 |
| 「こんな引っかかるフォームだったけ？」 前年から、非常にスケールの大きな投手として、その成長を楽しみにしていたのが、この 山上 信吾 。しかしこの夏の投球をみていて、こんなにテイクバックした時に引っかかる投げ方だったけ？ という違和感を感じてしまった。調べてみると春先に肩を痛めたが、それをおして１４０キロ台中盤のボールを投げていたのだという。敗れた夏の前橋育英戦でも、試合の終盤になってようやく登場した感じで、順調さを欠いていた印象だった。 （投球内容） ストレート 常時140キロ前後～中盤 ☆☆★ 2.5 球速こそ140キロ台を刻んでいても、指にかかっている感じはなくリリースがバラバラ。制球だけでなく、ボールの質としてもけして好い球を投げていたわけではない。前橋育英戦では、外角低めに投げた球を連続して簡単に三遊間を破られていた。このゾーンの球は、容易に打ち返されてはいけない。これでは、大事な試合を任せられないと起用が限られていたのも致し方ないだろう。 変化球 カーブ・スライダー ☆☆☆ 3.0 縦に鋭く割れるスライダーが武器の選手なのだが、リリースが不安定なので打者の手前でワンバウンドしてしまったりうまく制御できていなかった。緩いカーブも持っているが、この球もうまく曲がりきらないなど最終学年では苦しんだ。スライダーの曲がりはハードなので、もう少し打者の手元で曲がれば大きな武器になるだろう。 （投球のまとめ） 明らかに肩を痛めた影響が、投球にアリアリと出ていた。なぜこの状態で、指名したのだという疑問は残る。やはり痛める前の評価が高く、回復できればという指名だったということだろうか？ 育成とはいえ、かなりの賭けだと言えそうだ。 （投球フォーム） ＜広がる可能性＞ ☆☆☆ 3.0 お尻の一塁側の落としは、甘さは残すものの落ちている。これによって身体を捻り出すスペースはある程度は確保できており、カーブやフォークといった球種を投げられないことはないだろう。 「着地」までの粘りも平均的で、身体を捻り出す時間も並。そのため、特徴のある変化球を習得できるのかは微妙だろう。 ＜ボールの支配＞ ☆☆☆★ 3.5 グラブは最後まで身体の近くにあり、元来ならば両サイドの投げ分けは安定するはず。足の甲の地面への押しつけもできており、ボールも低めに集められそうだが。しかし腕の回旋の際に肩が引っかかる感じで、スムーズな腕の振り下ろしができない。そのためリリースも不安定になり、コントロールも極めてバラバラになっている。 ＜故障のリスク＞ ☆☆☆ 3.0 お尻は甘さを残すもののある程度は落とせているので、カーブで緩急をつけたりフォークのような縦の変化球を投げることもできるだろう。そのカーブも多くは使って来ないので、悲観することもないだろう。 腕の送り出しの角度には無理はないが、完全引っかかりが感じられ肩に違和感があることが伺える。これでは、無理できないだろうという感じがする。これが肩だけに将来的にも、回復できるのかには疑問が残る。 ＜実戦的な術＞ ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りも並で、身体の「開き」も平均的だろうか。そういった意味では、特に合わせやすいわけでも合わせ難いわけでもないのだろう。 腕は投げ終わったあと身体に絡んで来るので、腕の振りに勢いがあり空振りは誘いやすい。しかし投げ終わったあと、全く後ろ足が跳ねておらず、体重が前足に乗り移っていないことがわかる。これでは、打者の手元まで生きた球は期待できない。 （フォームのまとめ） フォームの４大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」「体重移動」に大きな課題を抱えている。ボールが押し込めないままリリースを迎えてしまっているので、抜けてしまうことも少なくない。 コントロールを司る動作も、リリースがあまり不安定。故障のリスクも、肩の引っ掛かりがあり身体から離れて腕が振られるなどリスクも高い。将来的にピッチングの幅を広げて行けるのか？という部分でも、投げられないことはないが武器になる球を増やせるのかには疑問が残る。 （最後に） ここまで肩を痛めたことが明らかにわかるフォームだと、プロでも大丈夫なのか？という不安は残る。下級生の頃は素晴らしいフォームで投げていたが、最終学年明らかに故障でフォームがおかしくなっていた、鈴木寛樹（掛川西-ベイスターズ４位）投手のことを思い出す。 育成で一か八か再起を願ってという感じの指名なのかもしれないが、肩を痛めたとなると回復も厳しいのではないかとみている。果たして、今回の指名が吉と出るのか？ 興味深く見守ってみたい。残念ながら成長を期待していた投手だが、☆ を付けようという気にはなれなかった。 （２０１７年夏 群馬大会） |
