17kp-28


 




佐々木 健(広島)投手のルーキー回顧へ







 佐々木 健(小笠3年)投手 190/75 右/右





                       「静岡屈指の素材」





 テイクバックこそ小さいものの、190センチ75キロという恵まれた体格。ただデカイだけでなく、牽制やクィックのときに見せる俊敏な動きからも、身体能力の高さを伺わせる好素材。あくまでもまだ未完成だが、高い将来性を秘めているとして12球団が視察に訪れたという男が、この 佐々木 健 。試合の模様を少し確認できたので、それらを元に寸評を作成してみたい。今回も、しっかり見られた選手ではないので、具体的な評価はできないことをご了承願いたい。


(投球内容)

 小さめなテイクバックのために、打者はボールが見え始めてから到達するまでが短く差し込まれやすいのではないのだろうか。

ストレート 135~140キロぐらい 
☆☆☆ 3.0

 球速自体は、135~140キロぐらいといった感じで、ドラフト候補の右投手としてはやや物足りない。そのぶんピュッと来る感じのフォームと適度な勢いはあり、球速以上の速球を投げ込んでくるといった印象だろうか。

 細かいコントロールはないものの、両サイドには適度に散っている。ただし時々甘く高めに入ってくることが多く、まだまだ未完成な点は否めない。あくまでもこの選手は、プロで鍛えて本格化したときに、凄い化けるかもという伸び代を期待しての選手だということ。

変化球 スライダー、カーブ 
☆☆☆ 3.0

 変化球は、ほとんどスライダーとのコンビネーション。たまに、もっと緩いカーブを投げているようにも見える。スライダーには適度な切れがあり、カウントを稼ぐのにも苦にならない。最近は腕の振りが強すぎてスライダーをうまく制御できない投手が多い中、そういった心配はなさそうだ。

その他

 クィックは、1.00~1.05 ぐらいと、かなり素早く投げ込んで来られる。牽制も鋭く、大型だからといって動作に緩慢なところは見られない。むしろ、この体格でこれだけ動けるところは評価したい。

(投球のまとめ)

 ボールや腕の振りには勢いがあるので、打者の空振りは誘いやすい。そのため球速の割に、三振が奪えているのが特徴。粗っぽい投手ではあるが、思ったほど制球には不安がないし、ランナーを背負っても気持ちが揺れ動くことも少なそう。ピンチになると返って能力を発揮する、向こう気の強そうな顔つきとマウンドさばきをしている。

 しっかりした野球環境や指導者が揃えば、まだまだ伸びそうだとスカウトが感じるのは理解できる素材。現状はまだまだの段階だが、伸び代を評価しての指名の可能性を秘めている。


(投球フォーム)

 サンプルが少ないので、フォームを分析することで可能性を探ってみたい。ただし若干よくわからなかったところもあったので、その辺はご了承願いたい。

<広がる可能性> 
☆☆

 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻は完全にバッテリーライン上に残ってしまって身体を捻り出すスペースは確保できてません。こうなるとカーブで緩急をつけたり、フォークで縦の変化をという投球は望み難くなります。

 「着地」も地面を早めに捉えているように見え、身体を捻り出す時間 も短めなのでは?そのためカーブやフォーク以外の球種でも、曲がり幅が小さかったり切れがでず決め手に欠けます。こういった投手は、カットボール・ツーシーム・スプリットなどスピードのある小さな変化で芯をズラしたりしてピッチングの幅を広げてゆくことが求められます。

<ボールの支配> ?

 グラブは最後まで身体の近くにあり、両サイドにはボールが散りやすいタイプ。むしろよくわからなかったのは、足の甲でしっかり地面を捉えられていたかという部分。ボール全体が高めに集まりやすい傾向があり、これが足の甲の押し付けが浅いからなのか?リリースの際にボールを押し込めていなかったからなのかまでは、映像の関係上わからなかった。

<故障のリスク> 
☆☆ 2.0

 お尻が落とせないフォームなものの、カーブやフォークといった球種をほとんど使って来ないので、肘への負担は悲観することはないだろう。

 ただし腕の送り出しを見ていると、かなり角度をつけて投げており、それなりに負担のある投げ方だということ。そういった意味では、肩に関しては充分なケアを行って欲しい。また力投派でもあるので、疲れが貯めやすくそこから故障に繋がる危険性も秘めている。

<実戦的な術> 
☆☆☆ 3.0

 「着地」が早く打者からはタイミングが図りやすい可能性もあるのだが、小さめなテイクバック故にボールが見えてから到達する時間が短くて差し込まれやすい。しかしフォームの動きは直線的でかつ身体の「開き」も早、く打者としては球筋が読みやすく甘くない球でも踏みこまれて打ち返されるケースも多いのではないのだろうか。

 腕は強く振れており、打者としては勢いで空振りしてしまいそう。ボールへの体重乗せは発展途上のため、キレや勢いはあるものの球威のあるウエートの乗った球が投げ込めているのかは疑問が残る。けして「体重移動」が悪いようには見えないが、現時点では未完成だと言わざるえないだろう。この辺は、プロで下半身の強化・股関節の鍛錬を積みつつ、しっかり体重が乗せられるようになれば、見違えるようなボールが投げられる可能性を秘めている。

(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、特に「開き」に課題を残している。肩への負担の大きなフォーム、高めに集まりやすい球筋、将来的にピッチングの幅を広げて行けるのかの疑問はどうしても残ってしまう。


(最後に)

 そう考えると、かなり将来的に伸び悩むリスクの高い素材であると考えられる。また現時点では、ドラフト候補としては中の下レベルであり、けして図抜けた能力を持っているわけではない。しかし球速・速球の質の向上に関しては今後よくなる可能性があり、ここに賭けて指名するかどうかということではないのだろうか。

 しかし速球が良くなったとしても合わされやすいフォームでもあり、その効果は薄い可能性も高い。現状は、育成で指名があるかないかぐらいの選手だと思うが、かなりリスキーな素材でありワンクッション様子を見てからでも遅くはないのでは?という気は個人的にするのだが・・・。ただしそれほどしっかり見られた選手ではないので、このぐらいの情報でどうこういうのは、ちょっとおこがましい気もする。秘めたるポテンシャルは高そうなので、ドラフト会議当日指名があるのか注目したい。


(2017年夏 静岡大会)