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菊地 大稀(桐蔭横浜大4年)投手 186/91 右/左 (佐渡出身) | |
神宮大会出場権をかけた横浜市長杯では、菊地 大稀 は140キロ台後半を連発していた。しかし、その投球を観ている限り、そこまで速くは見えない。球速表示ほど、ボールが来ている感じがしないタイプなのではないのだろうか。 (投球内容) 佐渡高校時代からプロ注目の投手で、高校時代にも個別の寸評を作成した選手でした。この秋は、59回2/3 43安 23四死 57三 防 1.81 といった内容でした。 ストレート 常時145キロ前後~MAX140キロ台後半 ☆☆☆ 3.0 球速表示より速く感じられなかったのは、横浜スタジアムだったというのもあるかもしれません。常時145キロ前後~140キロ台後半を安定して出していましたが、ハマスタのスピードガンは平均して3キロ程度は速く出やすい球場です。6月の大学選手権の時にも先発していたのですが、そのときは144キロが最速でした。見ている感じでは130キロ台後半~140キロ台中盤ぐらいといった印象で、ドラフト指名選手の中でも 中の下 ぐらいのボールに感じます。 市長杯の白鴎大戦での中継では、コントロールが良いという話でした。しかし実際には、球筋が真ん中~高めに集まることも多く、それほど細かい投げわけができていたわけではありません。この秋も、59回2/3イニングで23四死球ですから、四死球率は39%とコントロールが良いとは言えません。 変化球 スライダー・フォーク・カーブなど ☆☆☆ 3.0 横滑りスライダーでカウントを整えつつ、たまにカーブでアクセントを効かせて、縦の変化を織り交ぜてきます。また縦の変化を多めに使う割には、打者に見極められてしまうことは少なくありません。それでも59回2/3イニングで57三振ですから、1イニングあたり 0.96個 と奪三振比率は高い方です。 その他 牽制やフィールディングなどはよくわからなかったのですが、クィックは 1.05~1.15秒ぐらいとまずまず。ランナーを背負っても、特にジタバタすることもありませんし、適度な落ち着きはあるのかなといった気がします。その割に、細部まで追求されているほどかと言われると、そこまでまだ実戦的というほどでもないのですが・・・。 (投球フォーム) 今度は、フォームの観点から将来性を考えてみます。セットポジションから、足を高い位置まで引き上げてきます。軸足の膝が少し折れ過ぎかなと思える部分はありますが、適度にリラックスしてバランス良く立ててはいます。 <広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5 お尻の一塁側への落としは適度に落とせており、身体を捻り出すスペースをある程度確保できています。そのため、カーブやフォークといった球種を投げるのにも、無理はありません。 「着地」までの地面の捉えは平均的で、身体を捻り出す時間は並ぐらい。ここにもう少し粘りが出てくると、キレや曲がりの大きな変化球の習得も期待できます。現状だと、球速のある小さな変化なども交えてピッチングの幅を広げてゆくことが求められます。 <ボールの支配> ☆☆★ 2.5 グラブの抱えもやや甘い部分があり、外に逃げようとする力を充分には抑え込めていません。したがって軸はブレやすく、両サイドへのコントロールもアバウトになりがち。また足の甲での地面の捉えも浅く、浮き上がろうとする力も押さ込めていません。このへんが、全体的に球筋が高い要因なのでは? またリリースでもボールの押し込みが充分とは言えないので、低めに集まり難い原因になっているのかもしれません。大きくブレてはいないものの、細部のコントロールの詰めが甘いのは、この辺の動作への追求が浅いからだと考えられます。 <故障のリスク> ☆☆☆ 3.0 お尻の落とせは適度にあるので、カーブやフォークを投げても負担はかかり難いかと。ただし、縦の変化球の割合も多いので、肘への負担には注意を払いたいところ。また腕の送り出しも、多少グラブを持っている肩が下がりボールを持っている方の肩が上がるものの、これは極端というほどではありません。またそれほど力投派というほどでもないので、疲労が溜まりやすいというほどではないのでしょう。 <実戦的な術> ☆☆★ 2.5 「着地」までの粘りは平均的で、ボールの出どころは早く見えてきます。したがって打者としては、合わせやすいフォームなのではないかと感じます。 腕は適度に振れているのですが、ボールの出どころがみやすいので縦の変化を見極められて振ってもらえないことが多いです。ボールにもまだしっかり体重を乗せてからリリースできている感じはしないので、これだと打者の手元まで生きた球はゆかないのではないのでしょうか。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、各動作に物足りなさが残ります。もう少し全体的粘っこさがでないと、プロレベルの打者には苦になく打ち返される危険性があります。それは、故障のリスク、制球への不安、将来的に武器になる変化球の習得という部分にも暗い陰を落とします。技術的にも興味を持って、深い探究心を持って取り組んで欲しいところです。 (最後に) 高校時代の位置づけからすれば、もう少し4年間で伸びて欲しかったというのが率直な感想です。確かに桐蔭横浜大の主戦にまで成長はしているものの、まだ大学生相手でも圧倒できるほどのものがない。そのへんをプロの環境や指導で、どこまで高めて行けるのか? いずれにしても、少しファームで実力を養う時間が必要そうです。育成6位の順位が示す通り、☆ を付けるほどのパフォーマンスではまだありませんでした。 (2021年秋 横浜市長杯) |
菊地 大稀(佐渡3年)投手 185/80 右/左 | |
この春一気に注目度を増した・佐渡の逸材・菊地 大稀 。ネット中継のある準々決勝までは勝ち上がってくれると期待していたが、まさかの緒戦敗退で最後の夏を終えた。残念ながら彼の詳細なピッチングは、最後まで確認できず。そのため僅かな映像を元に、どんな選手か想像しながらレポートを作成してみたい。当然このようにプレーを確認できていないので、評価づけはできないことをご了承願いたい。 (投球イメージ) 春の映像を見ていると、速球を投げる時に結構力を絞り出すように投げており、スタミナがある投手との評判の割に余力はあまり感じられない投球をしていました。6月下旬に肉離れを起こしてしまい、夏の大会に向けての調整が充分できずに緒戦敗退となったなったようです。投げ込み不足から来る、試合後半に失速したとのこと。まだまだ本当の意味での、基礎体力・基礎筋力が足りないのではないかというのは、フォームをを見ていても感じられた。 (投球内容) 春季大会で記録した最速が143キロ、この夏はMAX140キロだったという。このことからも、常時135~140キロ台前半ぐらいの球速帯というのが現状のようだ。その球速以上に感じさせるボールに勢いはあるが、リリースを見ると引っかかったり、高めに行ったりとボールが暴れている。変化球はブレーキのあるカーブ、横滑りするスライダーは確認できたが、他にもチェンジアップがあるらしい。投球術、制球力、変化球などは、まだまだこれからといった段階で、筋の良さから身体がビシッとしてきたら面白いのではという伸び代を期待しての素材。 (投球フォーム) わずかな映像のみだったので、フォーム分析をして考えてみたい。 <広がる可能性> ☆☆☆ 3.0 引き上げた足は地面に向けて伸ばすので、お尻はバッテリーライン上に残りがち。そのため身体を捻り出すスペースは充分ではなく、捻り出して投げるカーブやフォークといった球種には適しません。 「着地」までの粘りは平均的で、身体を捻り出す時間は並。一通りの変化球は投げられる可能性はあるものの、決め手になるような変化球を身につけられるかは微妙でしょう。 <ボールの支配> ☆☆☆☆ 4.0 グラブは最後まで内に抱えれているので、両サイドの投げ分けは安定しやすいはず。また足の甲でも地面を捉えており、ボールは低めに集まりやすい。その割にボールがバラつくのは、「球持ち」が浅くリリースが不安定だから。この部分がしっかりして来ると、フォームの土台は良いので球筋も安定して来ると考えられる。 <故障のリスク> ☆☆☆ お尻が落とせない割にカーブを結構使ってきたりするので、捻り出す時に窮屈になって肘への負担も少なくはないだろうということ。しかし腕の送り出しには無理はなく、肩への負担は少なめ。結構身体の内から絞り出して投げているので、疲労は貯めやすいタイプなのかもしれない。そこからフォームを崩し、故障に繋がらなければ良いのだが。 <ボールの支配> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りは並で、特に合わせやすいわけでも合わせ難いわけでもないだろう。身体の「開き」は抑えられており、甘く入らなければ痛打は喰らい難い。 腕は投げ終わったあと身体に絡んでくるので、フォームに勢いがあって空振りは誘いやすいはず。しかしボールへの体重の乗せは不十分で、踏み込んだ足がブロックしてしまい「体重移動」を阻害している。そのためボールにしっかりウエートを乗ってから、リリースを迎えているわけではないということ。ゆえにベース板を通過するときの球威という意味では、どうなのだろうか?という疑問が残る。これでも質の良い真っ直ぐを投げているとするならば、上半身や腕の振りを鋭く振ることで、キレを生み出していると考えるしかないだろう。 (フォームのまとめ) 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」と「体重移動」にかかえていることがわかる。また制球を司る動作が良い割に制球が不安定だったり、お尻が落とせない割にカーブを使い肘への負担も少なくないこと。何より将来的に武器になる変化球を身につけられるのか、疑問が残るフォームなのはどうだろうか? (最後に) 正直まともに観られていない選手なので、評価づけはできない。しかし現状のボールの力、変化球レベル、投球術、制球力、フォームなどを見ていると、筋は良くても高校からのプロ入りは時期尚早なのでは?という気はしなくはない。育成あたりでならば話があるかもしれないが、まずはレベルの高い野球を体現し、段階を踏んで力を付けてゆくべきではないのだろうか? しかし一度は、じっくりと投球をみてから、確信を持って判断したかった。 (2017年夏 新潟大会) |