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山下 輝(法政大3年)投手の本当に凄いやつへ








 山下 輝(木更津総合3年)投手 187/82 左/左





 「恐らく全国NO.1」





 17年度は、高校球界で上位指名されるような左腕はいないと観られていた。現時点で一番高く評価されている左腕は、選抜に出場していた 川端 健斗(秀岳館3年)左腕だろう。確かにこの投手はボールにも力があるが、どちらかというと将来的にはリリーフタイプという印象を受ける。そういった意味では、この 山下 輝 は、まさに将来のローテーション候補の匂いがしてくる。


(投球内容)

 187/82 の立ち姿は、グランドにいてもひと目でわかる存在感。その立ちふるまいは、まさにドラフト候補のそれである。一冬の間に大きく化けた投手なんて感じは微塵も感じられない、天性のドラフト候補の雰囲気を持っている。

ストレート 常時135~MAX91マイル・146キロ 
☆☆☆★ 3.5

 手元でピュッとキレる球質というよりも、ビシッとミットに突き刺さる感じで球威がないわけではない。特にフォームの構造上、ワンテンポ打者が差し込まれる。球速自体は、普段は130キロ台中盤程度なものの、勝負どころでは確実に140キロ前後を刻んでくる。そのため力を入れて投げれば、いつでも140キロ台を連発できる能力があり、最速では140キロ台中盤まで到達している。両サイドに投げ分けるコマンドもあり、制球も高校生としては上位レベル。体格の割に凄みで圧倒するタイプではないが、この春は23イニングで12安打と安定感は抜群だった。

変化球 スライダー・カーブ・チェンジアップなど 
☆☆☆★ 3.5

 横滑りするスライダーとのコンビネーションが基本で、この球でカウントを整えたり三振を奪ってきます。23イニングで実に32個の三振を奪うなど、奪三振の多さにも目をみはるものがあります。時折緩いカーブやチェンジアップなども織り交ぜるなど、変化球全体のキレ・精度も低くありません。

その他

 クィックは1.15秒前後でまとめられており、基準レベル。ボール処理も実に落ち着いていて、経験の浅くても脆さはありません。

(投球内容)

 打ちづらいフォームやボールの威力だけでなく、何よりテンポよくポンポンと心地よりリズムを作ります。それでいてピンチになっても、精神的に揺らがないところが素晴らしい。ある程度の完成度を誇りながらも、素材的にも伸び代も残している。先輩の 早川 隆久(早大)は、まずは大学に行ってボールや体に「強さ」を付けてからの方がと評価していましたが、この選手は断然高校からプロに入った方が良いタイプです。







(投球フォーム)

今後の可能性について、フォームを分析して考えてみましょう。

<広がる可能性> 
☆☆☆ 3.0

 引き上げた足を地面に向けて、少し前に倒れ込むようなフォームのため、お尻はバッテリーライン上に残ってしまいます。そのためカーブで緩急をつけたり、フォークのような縦に鋭く落ちる球種の習得は体を捻り出すスペースが確保できていないので厳しいでしょう。

 しかしながら「着地」までの粘りは適度にあるので、体を捻り出す時間は確保。カーブやフォークといった球種でなければ、良い変化球を身につけられるのではないのでしょうか。緩急や落ちる球を、他に求められることができるかでしょうね。

<ボールの支配> 
☆☆☆☆ 4.0

 グラブは最後まで体の近くにあり、両サイドの投げ分けは安定。足の甲でも地面を捉えているので、それほど高めにも抜けてきません。「球持ち」もまだ並み程度ですが、将来的にはもっと長く持てたり押し込めるようになれば、もっと低めへのコントロールも身につくはず。

<故障のリスク> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻は落とせないませんが、カーブは滅多に使いませんしフォークも観られません。そういった意味では、肘への負担も少ないのでは?腕の送り出しを観ていても、ちょっと独特のメカニズムの選手ではあるものの、肩に負担はかかっていないように思います。それほど力投派でもないので、消耗も激しいタイプではないのでしょう。

<実戦的な術> 
☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りも適度にありながら、体の「開き」も抑えられています。それでいてピュッとボール出てくるので、打者としては合わせ難いのでしょう。

 腕も適度に振れているので、速球と変化球の見極めつけ難い。ボールへの体重の乗せは発展途上ではありますが、けして乗せられていないわけではありません。もっとしっかり乗せられてくれば、打者の手元までグッと迫って来る迫力が出てくるはず。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、突出して良いところがあるわけではありませんが、大きな欠点もありません。今後の取り組み次第では、更に嫌らしい実戦的なフォームになってゆくはず。

 制球を司る動作に優れ、故障のリスクも高くありません。素直に肉付けしてゆけば、それが結果に現れやすいタイプかと思います。


(最後に)

 まだ凄み溢れる投球をするわけではないのですが、心技体すべてに基準以上のものを感じます。今年の場合、大学や社会人左腕でもプロでの先発を意識できる素材がいないのは確か。そういった意味では、比較的短期間の間に将来のローテーション投手になり得る素材として期待できます。

 私が知る限り、全国で総合力NO.1の高校生左腕であり、ドラフトでも志望届けを提出すれば3位以内で獲得されると評価します。まともな左腕に今年出会えていなかったので、ようやく探し求めていた選手に出逢えた、そんな気にさせてくれる、この春1番のサプライズでした。


蔵の評価:
☆☆☆ (上位指名級)


(2017年 春季千葉大会)