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西垣 雅矢(早稲田大4年)投手 184/87 右/左 (報徳学園出身) | |
グニャグニャ曲がる変化球と真っ直ぐのコンビネーションで、相手に的を絞らせない投球が持ち味の 西垣 雅矢 。プロにもあまりいない、特異な軟投派だ。春には、真っ直ぐの勢いも増して、独特の変化球も生きて面白いと寸評を作成した。そんな 西垣 投手の、最後のシーズンを振り返ってみたい。 (投球内容) この秋の成績は、 7試合 3勝1敗 44回 29安 15四死 50三 防 1.02(2位)という好成績でした。 ストレート 140キロ~140キロ台中盤 ☆☆☆ 3.0 真っすぐの勢い・球速という意味では、春とさほど変わった感じは致しません。大まかに両サイドに散らして来るコントロールがあり、変化球を交えたコンビネーションの中で、打者の外角にズバッと決めて見逃しの三振を奪うケースが観られます。春よりもやや四死球率は悪化していたのですが、投球回数を上回る被安打だったのが 65.9% と大きく改善していたのが違いでしょうか。 変化球 カットボール・スライダー・フォークなど ☆☆☆☆ 4.0 130キロ台のカットボールでカウントを整いつつ、追い込むとボールゾーン切れ込むスライダーなども使ってきます。また球速殺したカーブや、少しチェンジアップ気味なフォークなども多く混ぜ、縦横の配球で的を絞らせない。春は、1イニングあたり 0.84個の奪三振だったのが、1.14個 と数字を伸ばしており、被安打率・奪三振率 の向上が目立ちます。 その他 クィックは、1.05~1.15秒 ぐらいとまずまず。春などは、1.0秒前後の高速のものも織り交ぜ、投げるタイミングを微妙に変えたりしていた。また、牽制も適度に織り交ぜるも、走者を刺すほどではない。またフィールディングの動きもまずまずで、投げる以外の能力も悪くない。元々実戦派の投手らしく、そういった野球センスには優れていたものを持っていた。 (投球のまとめ) 秋の早慶戦で見たときは、そんなに春から変わってないかなという気がした。それでも成績を比べてみると、春よりも、被安打・奪三振率が大幅に良化しており、規定投球回数に達して初めての、防御率 1.02 を残すなど、キャリアハイというべき成績を残したシーズンとなっている。このことが、指名への大きな原動力になったのではないのだろうか。 (投球フォーム) 春の寸評でフォーム分析を行わなかったので、今回は進めて行きたい。ノーワインドアップから、足を引き上げる勢いがあり、それでいて引き上げる足の高さは平均的。軸足一本で立った時には、膝がピンと伸び切ることなく力みがなく、バランスも適度に取れて立てていた。 <広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5 お尻は適度に一塁側に落とせており、甘さは残すものの悪くない。そのため身体を捻り出すスペースはある程度確保できており、カーブやフォークといった捻り出す球種を投げても無理はないだろう。それでもフォークを交える頻度は多いので、肘へのケアには充分留意して頂きたい。 「着地」までの地面の捉えは平均的で、身体を捻り出す時間は並ぐらい。多彩な球種を操れられるものの、絶対的な変化球がないのはこのせいかもしれない。それでも変化球がグニャグニャ曲がる独特の投球を作れているので、そこまで気にしなくても良いのかもしれない。 <ボールの支配> ☆☆☆ 3.0 グラブは最後まで身体の近くにあり、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができている。そのため軸はブレ難く、ボールを両サイドに散らすことができている。足の甲が地面から完全に浮いてしまっており、ボールが高めに集まりやすかったりする。しかし、これを「球持ち」である程度補うことで、それほど高めに抜ける球や全体的に高めに集まるのを防いではいる。ただし、全体的にアバウトな部分があり、けして制球力が良い投手ではない。 <故障のリスク> ☆☆★ 2.5 お尻はある程度落とせているので、肘への負担は少なそうに見える。それでも、フォークを結構使うことで適度に肘への負担は懸念しないと行けないだろう。それ以上に、ボールを持っている肩が上がり、グラブを持っている肩が下がるぐらいに送り出しに負担がかかっているので、肩への負担は大きいと考えられる。それほど力投派ではないので、疲労を溜めやすいというほどではないのだろうが。 <実戦的な術> ☆☆★ 2.5 「着地」までの粘りが平均的で、フォームで言えばけして苦になるわけではないのだろう。ましてボールの出どころも見やすいだけに、コースを突いた球を打ち返されたり、縦の変化を見極められてしまう恐れが出てくる。 腕は適度に振れていて、打者は吊られやすいのかもしれない。しかしこれも、ボールの出どころが見やすいことで効果は薄い可能性が。また、まだ充分に体重を乗せてからリリースできていないので、打者の手元までの勢いや球威という点では物足りない。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」や「着地」は平均的も、「開き」や「体重移動」に課題を残している。高低の制球力を中心にアバウトなところがあり、肩を中心に故障のリスクがあること。決め手となる変化球の習得など、実戦派の投手の割にはフォーム技術には課題が多いというのは気になる材料。 (最後に) かなり微妙なところで成り立っている投手なので、一つ間違えると持ち味を失い兼ねないという怖さがある。その一方で、プロにもいない軟投派であり、そういった意味で相手が面食らう可能性も。そして内容を年々良化させてきた部分もあり、最後のシーズンにキャリアハイの内容を残したのは明るい材料。上手くハマれば面白いかもといった意味で、☆ を付けてみたいと思わせてくれる選手だった。 蔵の評価:☆ (下位指名級) (2021年 秋季リーグ戦) |
西垣 雅矢(早稲田大4年)投手 184/86 右/右 | |
報徳学園時代から面白い選手だとして、個別の寸評も作成していた 西垣 雅矢 。しかし早大進学後は、ストレートにピンと来るものがなく、興味を失っていった。しかしこの春はストレートに磨きがかかり、自慢のグニャグニャ曲がる変化球が活きるようになってきて、面白いかもと再び思えるようになってきた。 (投球内容) 4年春のリーグ戦では、早稲田の第二戦の先発を任された。しかし、リーグ戦では 0勝3敗 防 3.41(6位) と平凡な成績に終わっている。それでもエースの徳山に代わって、早慶戦では第一戦の先発を託された。 ストレート 140~148キロ ☆☆☆ 3.0 下級生までは、ドラフト候補としては真っ直ぐ物足りないものがあった。しかし今春は、真っ直ぐの球速や勢いが増して、そういった部分は薄れてきた気がする。開幕週の東大戦では、最速148キロを記録。以後の試合でも、最速では145キロを越えてきている。ボールも適度に両サイドに散って来るなど、変化球も相まって的が絞り難い気持ち悪さを持っている。 変化球 スライダー・チェンジアップ? スプリットなど ☆☆☆☆ 4.0 カウントを取りゆくスライダーと、追い込んでからは右打者外角のボールゾーンに投げて振らせるスライダーを使い分けている。さらに左打者にも、カウントを整えるチェンジアップのような沈む球と、低めのボールゾーンに沈むスプリットのような球を使い分けている。ただし、このスプリット気味の球は、打者から見極められて思ったほど手を出してもらえていなかった。彼の特徴は、硬式球とは思えないほどに、ボールがグニャグニャ変化する曲がりの大きな変化球にある。 その他 クィックは、1.0秒前後の高速なものと1.1秒台の平均的なものとを使い分けてくる。すなわち、投げるタイミングを変えている節がある。牽制は適度に入れるが、走者を刺すというよりも走者への威嚇の意味合いが強い。高校時代からマウンドさばきに優れ、投手としてのセンスの良さは光っていた。 (投球のまとめ) 勢いを増した速球に、元々良かった変化球がより活きるようになってきました。ただし、成績的には大きな進歩が見られていないのは残念。ただしこれは、これから良くなってゆく前段階だと前向きに捉え、それほど悲観することはないのではないかと思う。追い込むまでの甘さなどを改善してゆくことが求められる。方向性としては間違っていないし、ちょっとプロにもいないタイプという面白味は感じられるようになってきた。 (成績から考える) では、この春残した成績から、物足りないものが何なのか考えてみたい。 6試合 0勝3敗 34回1/3 36安 9四死 29三 防 3.41(6位) 1,被安打は投球回数の80%以下に ☓ 34回1/3イニングで、被安打は36本。被安打率が、投球回数を上回ってしまっている。ストレートも良くなり、変化球も良く曲がって的が絞り難いイメージがあるのだが意外な気がする。それだけ打者にとっては、苦になり難いフォームだったり、ボールだということなのだろうか? 2,四死球は投球回数の1/3(33.3%)以下に ◎ 四死球率は、26.2% と、基準を満たしている。元々マウンドさばきが良く、投球センスに優れた好投手。そういった意味では、四死球で崩れるといった傾向にはない。ただし、被安打の多さからも、ストライクゾーンの枠の中での制球に課題があるのではないのだろうか。 3、三振は1イニングあたり0.8個以上 ○ 1イニングあたりの奪三振は、0.84個 。先発投手の基準である、0.8個を満たしている。通常被安打が多くても三振比率が高い選手は、失点が少なめに済む。しかし防御率が悪いということは、要所で踏ん張れていないことを意味している。 4、防御率は1点台 ☓ 防御率は、3.41 と平凡。学生最高峰の東京六大学だけに、なかなか1点台の成績を残すのは難しい。それでも2点台のみならず3点台だというのは、まだ六大学の打者逹相手にでも特別な存在になりえていないことを意味している。 (成績からわかること) コントロールや三振を取れる決め手はあるものの、被安打が多かったり防御率がイマイチなのは気になる。すなわち、追い込むまでの投球や制球に課題があること。あるいは、フォーム的に打者としては苦になっていないことが考えられる。この辺は、高校時代の寸評でフォーム分析したときに、「着地」までの粘りが乏しく、「開き」が早くボールが合わされやすいといった欠点を、未だに改善できていない可能性が考えられる。 (最後に) この春の内容を見る限り、ようやくドラフト候補としてプロを意識できる段階までは来たのかなといった印象を受けます。本人の志望が何処にあるのかはわからないのですが、現状のままだとプロ入りするのにはパンチが弱い。そのへんが秋までに改善されないと、プロ入りは厳しいのではないのだろうか。良くなってゆく過程での苦しみだとみているので、秋までその成長を追いかけてみたい。 蔵の評価:追跡級! (2021年 春季リーグ戦) |
西垣 雅矢(報徳学園3年)投手 183/70 右/左 | |
兵庫県の逸材らしく、凄みはないが筋の良さが滲み出るハイセンスの逸材、それがこの 西垣 雅矢 。高校からプロという雰囲気はあまりしないが、大学経由でゆけば将来上位候補に育っても不思議ではない可能性を秘めている。 (投球内容) 今時珍しくワインドアップで振りかぶり、足をスッと高い位置で引き上げる足の使い方。 ストレート 130キロ台後半~MAX141キロ ☆☆☆ 3.0 球速自体は、常時130キロ台中盤~140キロ強ぐらいと、ドラフト指名を意識する右投手としては、やや物足りない球威・球速。しかし両サイドにしっかり投げ分けられるコマンドの高さを持っており、意識的に内角の厳しいところを突くことができる。夏までにストレートの球威・球速がワンランク上がってくると、いよいよ高校からのドラフト指名も意識できるのではないのだろうか。 変化球 スライダー・カーブ・フォークなど ☆☆☆☆ 4.0 曲がりながら沈むスライダーを、右打者の外角低めに集められる。左打者にも同様のゾーンに内角膝下に集められる精度の高さを持つ。特に右打者のストライクゾーン~ボールゾーンに逃げてゆく、絶妙なところに意識的に集められる技術は素晴らしい。また更に緩いカーブでカウントを整えたり、追い込んでからはかなりの精度でフォークを落とすことができている。発展途上のストレートに比べると、変化球の活かし方はかなり大人びている。 その他 牽制やフィールディングはよくわからなかったが、クィックは、1.05~1.10秒ぐらいとかなり素早い。ただしセットになると、より球威・球速が落ちるだけでなく、ややコントロールの乱れがみられる。 (投球のまとめ) 変化球の曲がりや活かし方もよく、あとは投球の核となるストレートに磨きがかかるかにかかっている。この部分が、なかなか変わらない投手が多いだけに、そこが変わるか見極めてからでもプロ入りは遅くないだろう。それが、選抜~夏までの間に変わるのか? 大学などでの4年間で備わってくるのか? それとも変わらずに、今後も変わらず行ってしまうのか? 別の言い方をすれば、ストレートが弱いままであるならばプロで活躍するのは厳しいのではないのだろうか。 (投球フォーム) 今度は、フォームの観点から考えてみたい。 <広がる可能性> ☆☆★ 2.5 重心を落とし始めるときに前に倒れ込む感じに落としてくるので、お尻がバッテリーライン上に残ってしまう。すなわち身体を捻り出すスペースは確保できず、カーブやフォークといった捻り出して投げる球種には適さない。 「着地」までの粘りは平均的で、身体を捻り出す時間も並。ボールの活かし方は上手いが、変化球のキレ・曲がり幅はそれほどプロレベルでは図抜けていない。今のままだと変化球は当てられてしまい、決め手に欠ける投手になってしまう危険性は残る。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブは最後まで内に抱えられており、両サイドの投げ分けは安定。しかし足の甲を地面に押し付けるのが遅く、それほどボールが低めに集まり難いフォームではある。しかしそれを「球持ち」良さで、うまく制御できているのかもしれない。 <故障のリスク> ☆☆☆ 3.0 お尻が落とせないフォームの割に、カーブやフォークを結構使って来るので、肘への負担は少くなくないだろう。どうしてもお尻が落とせない投手は、身体を捻り出して投げるカーブやフォークを投げるときに窮屈になって負担がかかってしまうのだ。 それでも腕の送り出しには無理はなく、肩への負担は少なめ。元来それほど力投派ではないので、疲労も貯め難いフォームではないのだろうか。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りは並で、けして苦になるフォームではないだろう。また少し「開き」が早いフォームなので、コースを突いた球でも打ち返される危険性がある。 腕はしっかり振れているので、速球と変化球の見極めはつき難い。「球持ち」はまずまずで、体重をある程度乗せてからリリースできている。これがもっと良くなると、更にグッと打者の手元まで生きた球が行きそうだ。 (フォームのまとめ) 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」「開き」などにまだ改善の余地がある。コントロールを司る動作は、足の甲の押しつけが遅いものの悲観するほど高めに集まらない。お尻が落とせない割にカーブやフォークを投げることでの肘への負担と、将来的に武器になるほどの変化球が習得できるのかは微妙といったところだろうか。 (最後に) コントロールもよく、マウンド捌きにも優れ変化球の活かしたが上手い。それだけに、投球の核であるストレートが夏までにワンランク引き上げられるかどうかが、指名への分かれ目だと思っている。そういった意味では、夏まで追いかけてみたい選手、そんな気にはさせてくれる。ただし常識的な範疇でいえば、大学進学が基本線ではないのだろうか。それは、凄みよりもセンス型のタイプだから。高校からプロに入る選手は、上手い選手より凄いタイプが指名される傾向だからだ。 蔵の評価:追跡級! (2017年 選抜) |