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竹田 祐(24歳・三菱重工West)投手 184/90 右/右 (履正社-明治大出身) 





 「ゲームメイク能力は健在」





 今年の候補の中でも、試合を壊さず作れるという意味では屈指のものがあるのではないかと思える 竹田 祐 。社会人・京都大会では、その健在ぶりが確認できた。


(投球内容)

 今年になってからの登板では、
27回 25安 20三 防 1.00 といった内容で、安定感は相変わらず。先発した試合では、いずれも1失点で終盤まで試合を作り完投している。


ストレート 常時140キロ前後~140キロ台中盤 ☆☆☆ 3.0

 昨秋の日本選手権では、スピード表示が出やすい大阪ドームということもあり、コンスタントに145キロ前後~150キロ台前半を叩き出していた。しかし、その時に比べると、、球速のみならずボールの勢いでも劣る感じした。真っすぐで圧倒する迫力というのはさほどなく、
時々高めに甘く入った球を打ち返されるケースも観られた。27イニングで25安打を打たれているように、けして相手を圧倒するほどの球威の持ち主ではなく、よほど出力を上げた時ではないと、力で押しきる投球はは観られない。その辺が、上位候補としては物足りなさを残す。

変化球 カット・カーブ・スプリットなど ☆☆☆★ 3.5

 むしろこの投手は、多彩な変化球を織り交ぜて、
コンビネーションで打ち取るタイプ。ただし、三振をバシバシ奪うような、絶対的な決め球があるわけではない。カットボールに、時々緩いカーブで緩急を利かせつつ、小さく沈むチェンジアップのようなスプリットを織り交ぜ絞らせない。

その他

 クィックは、1.05~1.15秒とそれなりといった感じで、昨秋は0.9秒台の高速クィックも観られたほど。牽制も鋭い選手ですし、ランナーが出ればじっくりボールを持つなど、そういった投球術やセンスの持ち主ではあります。


(まとめ)

 昨秋の日本選手権が10だとすれば、まだ7,8分といった内容。それでも抑えられるのはさすがだといった感じだが、ここから都市対抗に向けて出力がワンランク状態を引き上げられるかだろう。この京都大会の投球を観る限り、明大時代とあまり変わっていないといった感じだった。昨秋感じさせてくれた、
社会人になって強さが増したといった投球ができるかどうかが、上位指名になるかの分かれ目ではないのだろうか。この試合の内容だけでいえば、上位指名としては、やや物足りなさも残った。大舞台での、爆発に期待したい。フォーム分析などは、オフシーズンの寸評で行っているので、今回は割愛させて頂きたい。


蔵の評価:
☆☆ (中位指名級)


(2023年 JABA京都大会)


 




竹田 祐(23歳・三菱重工WEST)投手の本当に凄いやつへ







竹田 祐(履正社3年)投手 182/83 右/右 
 




 「秋とあまり変わっていなかった・・・」





 明治神宮大会の頃と比べても、竹田 祐 は、それほど変わっていなかった。神宮大会組の中では、ひと冬越えてボールが変わってくればドラフト候補になりえるかと期待していただけに、少々残念な気にはなる。それでも秋のチャンピオンチームの主戦であり、この選抜でもチームを準優勝まだ導いた。


(投球内容)

 地面に足を向けて突っ立つような感じで立ち、そこから前に倒れ込むようにしながら滑りだして来る外人投手のような身体の使い方。

ストレート 常時135キロ前後~MAX141キロ ☆☆★ 2.5

 神宮大会でも選抜の日大三戦でも、記録した最速は141キロと秋と変わらず。特に一冬越えて、ボールの勢い・質に大きな変化は見られなかった。それでも球速以上に感じさせる手元での伸びがあり、両サイドに投げ分けて来る確かなコマンド力は健在。この辺が、チームを全国大会上位に進出させた原動力になっている。若干秋よりは、ボールが真ん中~低めにゆく球も増えてきた。

変化球 スライダー・フォーク・カーブ ☆☆☆★ 3.5

 竹田の良さは、むしろ速球よりも変化球にある。曲がりながら沈むスライダーを低めに集め、しっかりカウントを整えてきたり勝負球にも使える。それより緩いカーブをたまに織り交ぜ、フォークのような沈む球も持っている。しかしこれらの球は、まだ投球において大きなウエートは占めていない。あくまでスライダーを、両サイドや低めに集めることができ、そこにこの投手の最大の良さがあるのではないのだろうか。

その他

 クィックは1.1~1.2秒ぐらいと平均的。牽制は適度に鋭く、フィールディングの動きも良い。こういった投球以外の部分もしっかりこなせるところに、彼のセンスの高さとさすが強豪校のエースという自覚を感じる。

(投球のまとめ)

 安定したコントロールを背景に、確かな投球術も併せ持つ。目に見えての大きな成長は見られなかったが、地道に冬場のトレーニングを積んでいれば、それが違う時期に爆発することはよくあること。速球とスライダー中心の配球でも、それが単調に感じさせないボールの活かし方を知っている投手。ドラフト候補とは言えないが、名門大学や社会人で、野球を続けて行ける選手ではないのだろうか。


(投球フォーム)

<広がる可能性> ☆☆★ 2.5

 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻は一塁側に落ちません。そのため身体を捻り出すスペースは確保されず、カーブで緩急をつけたり、フォークのような身体を捻り出して投げる球種には適さない投げ方です。

 地面に着きそうなところから、ある程度前に足を逃がすことができ、「着地」のタイミングは平均的。そういった意味では、身体を捻り出す時間は適度に確保されている。将来的にカーブやフォークといった球種以外ならば、もっとモノにできる可能性を秘めている。

<ボールの支配> ☆☆☆☆★ 4.5

 グラブは最後まで身体の近くにあり、両サイドの投げ分けは安定しやすい。足の甲の押し付けも地面を捉えており、ボールは高めに抜け難くなってきている。さらに「球持ち」も良いので、細かいコントロールもつけやすいはず。フォームも直線的な外人投げなので、制球を狂わす要素は極めて少ない。しいて言えば、リリースでもう少しボールを押し込めるようになると、低めにもっと球が集まるのではないのだろうか。

<故障のリスク> ☆☆☆ 3.0

 お尻が落とせないフォームの割に、カーブやフォークを多く織り交ぜて来る。そのため、肘への負担は少くはないはず。

 腕の送り出しには無理がなく、肩への負担は少ないのではないのだろうか? フォームも力投派ではないので、疲労は貯めにくい。

<実戦的な術> ☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りは平均的な上、フォームが直線的で合わされやすいのが懸念される。さらに「開き」が早いフォームなので、コースを突いても打ち返される危険性は高い。縦の変化などを見極められてしまうのも、このボールが見やすいのが原因ではないのだろうか。

 振り下ろした腕は身体に絡み、速球と変化球の見極めはつき難い。ボールにはしっかり体重を乗せてからリリースはできており、打者の手元まで生きた球は投げられている。

(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、特に「開き」に大きな問題を抱えている。その一方で「球持ち」に関しては、非常に優れている。肘を痛めやすいフォームではあるが、コントロールを司る動作には優れている。


(最後に)

 履正社の選手は、ここ数年JR東日本など社会人に進むケースが目立っている。彼のような完成度が高い投手は、高校からでも社会人でやって行ける可能性を秘めている。そこで実戦的な投球に磨きをかけたり、大きく資質を伸ばせる可能性もあるかもしれない。いずれにしても高校からプロという選手ではないと思うが、トップクラスのアマチュアチームで野球を続けて行ける素材ではないのだろうか。


(2017年 選抜)










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