17kp-11
森 圭名(富山第一2年)投手 175/79 右/右 | |
夏の甲子園・中越戦のリリーフで登場し、3回を2安打4奪三振無失点に抑えて全国デビュー。しかし続く広島新庄戦では、5回を投げ6四死球・6失点と力を発揮できなかった。見た目は結構荒っぽい力投派に見えるのだが、実は外角低めにカットボールで出し入れできる、結構微妙な投球ができるのに驚いた。 (投球内容) 中背の体格から、足をゆく~りと静かに引き上げて来るフォーム。 ストレート 130キロ台後半~MAXで146キロ ☆☆☆★ 3.5 まだ下半身がうまく使えていないのもあり、ストレートは結構暴れてコントロールは不安定。しかし非常に球威のある球を投げており、更に肉体の成長や下半身の体重移動を覚えたら、見違えるほどになる可能性を秘めている。ボールの勢い・球威は、今年の北信越でもトップクラスのものがある。 変化球 カットボール・スライダー・チェンジアップなど ☆☆☆★ 3.5 素晴らしいのは、125キロ前後のカットボールが右打者の外角低めに集まるところ。この絶妙なコースへ集まるコマンドの高さは、高く評価して好いポイントでは。その他110キロ台のスライダーやチェンジアップなどもあり、適度に織り交ぜて来る。空振りを誘うような変化球はないものの、全体的に低めに集まり痛手を食らい難い。 その他 ランナーを背負っても鋭い牽制は観られなかったが、クィックは、1.0~1.1秒ぐらいで鋭い。見た目のイメージとは違い、結構細かいこと、器用な部分があるのかもしれない。 (投球のまとめ) ストレートのコマンドには課題を残すものの、その分カットボールをしっかり制御してカウントを整えることができている。ストレートも球威・球速はしっかりしており、ボールを押し込めたたり、下半身の使い方に改善が観られれば、更によくなる可能性を秘めている。そういった意味では、今後も非常に期待が持てる選手ではないのだろうか。 (投球フォーム) <広がる可能性> ☆☆ 2.0 引き上げた足を地面に向けて伸ばしており、お尻は一塁側へは落ちてません。身体を捻り出すスペースが足りず、カーブやフォークを投げるのには窮屈な投げ方。 「着地」までの粘りもいまいちで、身体を捻り出す時間も確保できず。そういった意味では、カーブやフォークだけでなく、他の球種でも手元でキレるような球種や曲がり幅の大きな変化球の習得は厳しいように感じます。その点、カットボールのような小さな曲がりのボールに目を向けているのは正解ではないかと。 <ボールの支配> ☆☆ 2.0 グラブは抱えきれていないので、フォームが暴れがち。これでは、外に逃げようとする遠心力を内に留めてゆくことができません。足の甲の地面への押しつけも、リリース時にボールが押し込めていないのでボールが上吊ってしまいがち。ストレートが暴れるのは、この辺の動作をきっちりできていないからでしょう。 <故障のリスク> ☆☆☆ 3.0 お尻は落とせていないものの、カーブやフォークといった捻り出して投げるボールは投げないので、肘への負担は少ないのでは? 腕の送り出しは真上から投げ下ろす割には、無理は感じません。力投派なので消耗が激しいタイプでしょうが、そこが持ち味なのでうまく付き合ってゆくしかない。 <実戦的な術> ☆☆★ 2.5 「着地」までの粘りがいまいちで、打者としては合わせやすいはず。身体の「開き」も早めで、甘くない球で踏み込まれて打たれる危険性があります。 素晴らしいのは、腕を強く振り下ろせること。これにより、速球と変化球の見極めはつき難い。しかしまだ充分に体重が乗り切るまでリリースを迎えており、低めになかなかボールが行かない。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」のいずれにも課題を抱えており、けして実戦的とはいえない。 故障のリスクはそれほど感じないが、制球をつかどる動作には大きな不安を感じます。また今後、投球の幅を上手く広げて行けるのかにも不安が残ります。フォーム的には、かなり完成度の低いフォームだと言わざるえないでしょう。 (最後に) ストレートが暴れる投球と同様に、実戦的なフォームという意味では極めて不安が残る。しかしボールの押し込みや下半身の体重移動を覚えれば、まだまだボールは速くなって凄みを増したり低めにも集まるようにはなるだろう。今度はどう転ぶかはわからないが、上手く行けば夏の大会では140キロ台半ばを連発、MAXでは150キロ近い球を投げても不思議ではないだろう。しかしそのためにはいまのうちに、フォームの基礎をしっかり固めておきたい。 (2016年夏 甲子園) |