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山崎 剛(楽天)内野手のルーキー回顧へ







 山崎 剛(国学院大4年)二塁 173/77 左/左 (日章学園出身)
 




                    「国学院魂を受け継ぐ男」





 気持ちの強さを前面に打ち出したプレースタイルは、国学院の各打者に受け継がれてきた伝統。そんな伝統を、最も色濃く受け継いでいるのが、この 山崎 剛 。 同じ国学院の先輩である 山下 幸輝 や 柴田 竜拓 などの左打ち内野手達の大学時代と比べても、この山崎はワンランク上の選手ではないかと思えてくる。

守備面:
☆☆☆☆ 4.0

 とにかく、広い守備範囲を誇る二塁守備は一級品。あえて打球の正面には回らず、次の送球を想定したプレーをする。そのため凄いプレーもするが、ミスもするそんな二塁手。しかし今春のリーグ戦では、失策は0と安定感にも磨きがかかってきた。しかし先輩の柴田 竜拓 のように、ショートの守備でもアピールできるものはなく、あくまでもセカンドを補強したい球団という、限定的な起用に守備はなってしまう。しかしセカンドが穴という球団にとっては、ぜひ欲しい選手ではないのだろうか。

走塁面:
☆☆☆☆ 4.0

 一塁までの塁間は、4.1秒前後と驚くほど速いわけではない。それでも走る勇気を持った選手で、最初の動き出しがよく盗塁を積極的に仕掛けて来る。今春のリーグ戦でも7盗塁をマークしており、プロに混ぜてもある程度走塁でアピールできる可能性を秘めている。





(打撃内容)

 3年間で0本だったホームランも、この春は2本塁打を記録。明らかに身体付きも変わってきており、飛距離も増してきたと思われる。先輩の山下よりも当て勘がよく、柴田よりもスイングが強いところは好いところ。

<構え> 
☆☆☆☆ 4.0

 スクエアスタンスで両足を揃え、グリップを少し下げて構えます。腰を深く沈め、両目で前を見据える姿勢、全体のバランスも悪くありません。打席でも強い集中力を感じさせる選手で、好い構えではないのでしょうか。また打席に入るときには、足場をしっかり作ってから入ったりと、打撃への強いこだわりが感じられます。

<仕掛け> 遅め

 投手の重心が沈みきって、前に移動する段階で動き出す「遅めの仕掛け」を採用。できるだけボールを引きつけて叩くので、長距離打者か生粋の二番打者に多く観られる始動。彼の場合は、後者のタイプだと考えられる。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を軽く引き上げ、ほぼ真っ直ぐから若干ベース側に踏み込んで来る。始動~着地までの時間は短く、その打撃は 点 でボールを捉えるタイプ。それでも高いコンタクト能力を示すのは、狙い球を絞りその球を逃さない「鋭さ」を持っているから。真っ直ぐ踏み出すということは、内角でも外角でも捌きたいという意志の現れ。踏み込んだ足元はブレないので、外に逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができる。

<リストワーク> 
☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、ボールを呼び込む際に力みは感じられない。バットの振り出しは、けしてインサイド・アウトという最短距離で振り抜く軌道ではない。あくまでも外の球に対し、ロスなくかつ強く振り抜くということに主眼が置かれたスイング。インパクトの際には、バットの先端であるヘッドも下がらずキレイに振り抜けている。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げも静かで、目線の上下動が少ないのが素晴らしい。身体の開きも我慢でき、軸足の形も崩れず強さも感じられる。安定感だけでなく、打球の強さもあることが伺える。

(打撃のまとめ)

 技術的にもしっかりしているだけでなく、天性のコンタクト能力・ボールに食らいつく貪欲さも兼ね備える。それでいて非力さも感じられないなど、打撃はプロに入っても早い段階から一軍の投手に適応するのではないのだろうか。


(最後に)

 使い方を想定すると、セカンドをやってナンボという選手であり、このポジションを埋めたいと明確に願う球団に指名されるべきだろう。二塁守備も 菊池涼介(広島)とまではゆかなくても、プロのファンを魅了するだけのものを持っている。盗塁をできる守備・確かな打力なども考えると、スケールは感じられないものの中位ぐらいで指名されるのではないのだろうか。気持ちのこもった熱いプレーヤーが欲しい球団には、ぜひオススメしたい。身体は大きくはないが、新たなスター候補ではないのだろうか。


蔵の評価:
☆☆☆(上位指名級)


(2017年 春季リーグ戦)