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村上 海斗(奈良学園大4年)外野手の個別寸評へ







 村上 海斗(奈良学園大3年)中堅 189/92 右/右 (北照出身)
 




                       「動ける長距離砲」





 とかく日本人の長距離打者だと、脚力が見劣る、守れない、そんな選手が多い。しかしこの村上は、走れて、守れる長距離砲なのだ。それも189/92 という破格な体格を持ちながら。


(守備・走塁面)


 残念ながら、一塁までの正確な到達タイムは計測できなかった。しかし見るからに大柄でも動きがよく、大学選手権でも出塁するとすかさず盗塁を決めていた。大舞台でも臆することなく盗塁を試みるところをみると、かなり脚力に自信を持っているのだろう。公称でも、50メートル5秒8 ということになっている。

 この脚力を活かし、守備範囲もかなり広い。打球勘や落下点への入りも悪くなく、けしてただ身体能力が高いだけではないのだろう。その証として、チームでは中堅手を任されている。さらに遠投110メートルと言われる強肩も兼備。センターから送球を見ても、低い軌道でしっかりと伸びてくる。

 そのため、持っているスペックはかなり高いといえるのではないのだろうか。こういう選手は、よりレベルの高い世界に入れば、更に引き出される可能性を秘めている。





(打撃内容)

 これだけのスペックを持っていながら、それほど話題にならないのは何故か? それはひとえに、確実性が乏しいから。ちょっと抜かれると、タイミングを狂わされてしまう脆さがある。それでも打球は、引っ張るだけでなく、右方向にスタンドインできるパワーを持っている。走って、守れて、叩き込める プレーヤーなのだ。

<構え> 
☆☆★ 2.5

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップは高めに添えられています。腰が据わらないために全体のバランスとしてはイマイチで、両眼で前を見据える姿勢は並ぐらいでしょうか。

<仕掛け> 遅め

 投手の重心が下がりきった時に、ベース側につま先立ちします。そこから動き出すのは、投手の重心が前方に移動するタイミング。そのためこれは、「遅めの仕掛け」に属します。始動がギリギリまで抑えられているので、それだけ手元まで引きつけて強いエネルギーをぶつけられる長距離砲に多く観られる仕掛けです。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を小さく上げて、真っ直ぐ~少しベース側に踏み込んできます。始動~着地までの「間」は短いので、狙い球を絞って叩く 点 の打撃となります。それでも踏み込んだ足元はインパクトの際にブレないので、外角に逃げて行く球や低めの球に対しては、長い腕を活かして食らいつくことができます。やはり、内角の捌きも一つポイントになるのではないのでしょうか。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、始動が遅くても立ち遅れてはいません。バットの振り出しは少し遠回りなので、ロスを感じます。更にインパクトの際に、少しバットの先端であるヘッドが下がるので打ち損じも少くないでしょう。

 スイングの弧は大きめで、最後まで力強く振り切れています。しかしフォロースルーを活かしたりとか、上手く乗せて運ぶタイプではありません。あくまでも身体の力をぶつけて、ボールをかっ飛ばすタイプ。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動は少なめ。身体の開きは我慢できていますが、軸足にそれほど強さは感じられません。打球の強さ、飛距離生み出すのに不可欠な、この内モモの筋肉に強さを感じられないのは、長距離打者としては少し残念です。


(打撃のまとめ)

 打撃では少しポイントが後ろで、右方向への打球が伸びるのが特徴。強引に引っ張っての打球もありますが、右方向に打つ方が長打がでます。問題は、緩急に脆いコンタクト能力の低さにあります。この脆さを、将来的にも改善できるのかがポイントではないのでしょうか。


(最後に)

 スペックは極めて高いので、コンタクト能力が上がればいっきに上位候補まで引き上がります。しかしこの歳まで改善されないできた選手が、急によくなる例もあまりありません。この辺を、どう見るかで意見が別れます。知り合いの語るとおり、究極のロマン砲であるのは確かですが、この緩急への脆さが改善されるかが一つ見極めるポイントになりそうです。


(2016年 大学選手権)