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 村上 海斗(奈良学園大4年)外野 189/95 右/右
 




                     「課題は克服しつつある」





 捉えた時の飛距離が抜群でありながら、動ける身体能力を兼ね備える「走れる大砲」 村上 海斗 。残念ながら直には今年そのプレーを確認できなかったが、映像を見る限り昨年からの課題を改善しつつあることがわかってきた。


走塁面:
☆☆☆★ 3.5 走塁偏差値 56

 一塁までの到達タイムは、右打席から4.20秒前後。これを左打者換算にすると、3.95秒前後に相当する。これをドラフト指名された右打者のタイムで偏差値化すると、走塁偏差値は 56 。身体能力の化物が揃うプロ野球界でも、その走力は上位30%以内に入る走力だと考えられる。

 実際二塁打あたりの走塁をみていると、かなりスピード感があって加速しており、更に高いレベルの走力を秘めているのかもしれない。リーグ戦の盗塁数などをみていると0~3個程度しか1シーズンに走っていないようなので、盗塁する技術が高いとか走る意識がどこまであるのかは微妙。それでも秘めたる走力は、かなりのものがありそうではある。

守備面:
☆☆☆☆ 4.0

 この脚力を活かし、守備範囲もかなり広い。打球勘や落下点への入りも悪くなく、けしてただ身体能力に頼ったプレーヤーではない。その証として、チームでもセンターを任されている。さらに遠投110メートルと言われる強肩で、センターからの送球を見ても低い軌道でしっかりと伸びてくる。

 プロで自分の売りを明確に意識すれば、守備や走塁をもっと全面に出して来る可能性が高い。ただ飛ばせるだけでなく、走力・肩と極めてポテンシャルが高い選手なのは間違いないだろう。


(打撃内容)

 これだけの選手が、何故ドラフト7位なのかということ。それは何より、確実性・コンタクト能力に課題があるからに他ならない。そのため、ちょっと抜かれたりすると簡単に仕留められてしまう。それでもこの選手、引っ張るだけでなく右方向にも叩き込める幅の広さを持っている。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップは高めに添えられている。腰の据わりが昨年よりどっしりした感じになり、全体のバランスが良くなった。更に両目で前を見据える姿勢も悪くなく、良い構えになりつつある。

<仕掛け> 遅め

 投手の重心が下がりきった時に、広かったスタンスを狭めてツマ先立ちします。そこから動き出すのは、投手の重心が前方に移動する段階。これは、「遅めの仕掛け」に属します。始動がギリギリまで抑えられているので、それだけ手元まで引きつけて最大限のエネルギーをぶつけられる長距離打者に多く観られる仕掛けです。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 少しだけ足を上げて、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」が短いので、どうしても 点 の打撃になり、打てるポイントは限られます。そのため狙い球を絞り、甘い球を逃さない鋭さが求められます。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも打ちたいというタイプ。踏み込んだ足元はブレないので、外に逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができます。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形は自然体で、速い球に立ち遅れる心配はありません。しかしそこから更にバットを引いてトップを深く取るので、立ち後れないように注意したいところ。バットの振り出しも、けしてインサイド・アウトではありませんが、大きなロスは感じません。昨年までは少し遠回りに出て、インパクトの際にもヘッドが下り気味でした。そういった部分は、この1年でだいぶ改善されつつあるのではないのでしょうか。

 ただしこの選手、スイングの弧は小さくはないのですが、フォロースルーをうまく使ってボールを運ぶタイプではありません。強烈なスイングで、しっかり振り切るスイング。現状は、ボールを遠くに運ぶのは技術ではなく肉体のパワーに頼りがちです。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動は少なめ。身体の開きも我慢できていますし、軸足にも強さと安定感を感じます。昨年までは長距離打者に不可欠な内モモの筋肉に強さが感じられなかったのですが、この辺もだいぶ鍛えたのではないのでしょうか。軸を起点に、力強くスイングできています。

(打撃のまとめ)

 昨年に比べると、いろいろなところが改善されつつあります。まだ未完成な部分はありますが、そういった意識の高さも感じずにはいられませんし、それができる器用さもあるのではないのでしょうか。まだまだ素材型の域は脱していませんが、これからの飛躍が楽しみです。

(最後に)

 今年になり実際のプレーを確認できていないので、評価づけはできません。しかし育成枠ならばポテンシャルも高いのでありかなとは思っていましたが、ここまで技術的に改善されているとは思いませんでした。実際観ていたら、☆ ぐらいは、可能性に賭けて付けていたかもしれませんね。

 ドラフト7位にして、こういったスケールの大きな可能性を秘めた選手を獲得できたことは非常に大きいと思います。新生巨人の旗印になってくれるような選手に、ぜひ育っていって欲しいと願います。結果を求めて、小さくまとまってほしくないです。










 村上 海斗(奈良学園大3年)中堅 189/92 右/右 (北照出身)
 




                       「動ける長距離砲」





 とかく日本人の長距離打者だと、脚力が見劣る、守れない、そんな選手が多い。しかしこの村上は、走れて、守れる長距離砲なのだ。それも189/92 という破格な体格を持ちながら。


(守備・走塁面)


 残念ながら、一塁までの正確な到達タイムは計測できなかった。しかし見るからに大柄でも動きがよく、大学選手権でも出塁するとすかさず盗塁を決めていた。大舞台でも臆することなく盗塁を試みるところをみると、かなり脚力に自信を持っているのだろう。公称でも、50メートル5秒8 ということになっている。

 この脚力を活かし、守備範囲もかなり広い。打球勘や落下点への入りも悪くなく、けしてただ身体能力が高いだけではないのだろう。その証として、チームでは中堅手を任されている。さらに遠投110メートルと言われる強肩も兼備。センターから送球を見ても、低い軌道でしっかりと伸びてくる。

 そのため、持っているスペックはかなり高いといえるのではないのだろうか。こういう選手は、よりレベルの高い世界に入れば、更に引き出される可能性を秘めている。





(打撃内容)

 これだけのスペックを持っていながら、それほど話題にならないのは何故か? それはひとえに、確実性が乏しいから。ちょっと抜かれると、タイミングを狂わされてしまう脆さがある。それでも打球は、引っ張るだけでなく、右方向にスタンドインできるパワーを持っている。走って、守れて、叩き込める プレーヤーなのだ。

<構え> 
☆☆★ 2.5

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップは高めに添えられています。腰が据わらないために全体のバランスとしてはイマイチで、両眼で前を見据える姿勢は並ぐらいでしょうか。

<仕掛け> 遅め

 投手の重心が下がりきった時に、ベース側につま先立ちします。そこから動き出すのは、投手の重心が前方に移動するタイミング。そのためこれは、「遅めの仕掛け」に属します。始動がギリギリまで抑えられているので、それだけ手元まで引きつけて強いエネルギーをぶつけられる長距離砲に多く観られる仕掛けです。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を小さく上げて、真っ直ぐ~少しベース側に踏み込んできます。始動~着地までの「間」は短いので、狙い球を絞って叩く 点 の打撃となります。それでも踏み込んだ足元はインパクトの際にブレないので、外角に逃げて行く球や低めの球に対しては、長い腕を活かして食らいつくことができます。やはり、内角の捌きも一つポイントになるのではないのでしょうか。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、始動が遅くても立ち遅れてはいません。バットの振り出しは少し遠回りなので、ロスを感じます。更にインパクトの際に、少しバットの先端であるヘッドが下がるので打ち損じも少くないでしょう。

 スイングの弧は大きめで、最後まで力強く振り切れています。しかしフォロースルーを活かしたりとか、上手く乗せて運ぶタイプではありません。あくまでも身体の力をぶつけて、ボールをかっ飛ばすタイプ。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動は少なめ。身体の開きは我慢できていますが、軸足にそれほど強さは感じられません。打球の強さ、飛距離生み出すのに不可欠な、この内モモの筋肉に強さを感じられないのは、長距離打者としては少し残念です。


(打撃のまとめ)

 打撃では少しポイントが後ろで、右方向への打球が伸びるのが特徴。強引に引っ張っての打球もありますが、右方向に打つ方が長打がでます。問題は、緩急に脆いコンタクト能力の低さにあります。この脆さを、将来的にも改善できるのかがポイントではないのでしょうか。


(最後に)

 スペックは極めて高いので、コンタクト能力が上がればいっきに上位候補まで引き上がります。しかしこの歳まで改善されないできた選手が、急によくなる例もあまりありません。この辺を、どう見るかで意見が別れます。知り合いの語るとおり、究極のロマン砲であるのは確かですが、この緩急への脆さが改善されるかが一つ見極めるポイントになりそうです。


(2016年 大学選手権)