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北村 拓己(巨人)内野手のルーキー回顧へ







北村 拓己(亜細亜大4年)三塁&遊撃 181/85 右/右 (星稜出身) 
 




                      「完成度は高い」





 パワフルな打撃が売りだが、けして長打で魅了するというよりも勝負強さが売り。打球が上がるタイプではなく、野手の間を強烈な打球で抜けてゆく。状況に応じどのようなことが求められているかの察しはよく、実戦で味の出るタイプの打者だと言えよう。


守備面:
☆☆☆★ 3.5

 プロのショートとしては、少し重苦しいところがあり守備範囲の心配が。しかし三塁手としては、キャッチング、強肩を活かしたスローイング、ボールにに向かってゆく勇気なども加味していて、結構上手い攻撃的な三塁手になれるのではないかと思います。ただし三塁手としては長打がないぶん、物足りなく映る可能性はあります。

走塁面:
☆☆★ 2.5 走塁偏差値 36

 一塁までの塁間は、4.5秒台。これを左打者に換算すると、4.25秒ぐらいに相当する。これをプロ入りした右打者のタイムで偏差値化すると、走塁偏差値は 36 とプロでも下位の部類。それでもリーグ戦では、3季連続で3盗塁を記録するなど、全く動けない選手ではない。その走力以上に、走塁への意識や走る勇気があるのではないのだろうか?


(打撃内容)

 リーグ戦では、3年秋に.409厘で2位の成績に。他にも3年春に、.344厘で6位の成績を残した。しかしあとのシーズンは、2割台以下であり確実性はそれほど高くない。シーズンの通算本塁打も2本であり、長打よりもはじき返す打撃を得意としている。好機に、して欲しいバッティングができるのが持ち味。

<構え> 
☆☆☆☆ 4.0

 前の足を軽く引いて、グリップの高さは高めの強打者スタイル。腰の据わりはよく、両眼で前を見据える姿勢、全体のバランスにも優れている。特に打席でも気持ちの強さ、集中力の高さが感じられる。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が下がりきった時に動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多く観られるスタイル。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を引き上げて、真っ直ぐ踏み出して来る。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも捌きたい万能型。踏み出した足元もブレないので、逃げてゆく球や低めの球へも食らいつくことができる。

<リストワーク> 
☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは早めにできており、速い球に立ち遅れる心配はない。バットの振り出しにも癖がなく、インパクトまでのロスも少ない。バットの先端であるヘッドの下がりも少ないので、フェアゾーンにボールを落とせる確率は高い。けしてスイングの弧が大きいとか、フォロースルーを使ってボールを遠くに運ぶタイプではない。

 しかしそうかといって、ひ弱なタイプではない。パワフルなスイングをしており、強烈な打球で野手の間を抜けてゆく。プロの速く強い球にも、力負けすることはないだろう。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動は少なめ。身体の開きは我慢できており、軸足の内モモの筋肉もしっかりしている。それだけ、強い打球を生み出す原動力となっている。あとは形が崩れないような、安定したスイングを望みたい。

(打撃のまとめ)

 難しい球をさばくタイプではなく、甘い球を逃さない「鋭さ」を持っている。そういった、勝負どころでの集中力には見るべきものを持っている。しかしトータルでみると、少し脆いというか粗い印象を受けるのも確か。状況に応じた打撃が持ち味だが、プロの選手という特別な才能は感じられない。昨年から比べても、打撃フォームに大きな変化は観られなかった。

(最後に)

 何が凄いとかいうものはなく、実戦で味の出る野球を知っている選手。そして激しい競争にさらされても、生き残って行ける生命力の強さが感じられる。むしろ今の巨人においては、こういったしぶといタイプの選手を多くとり、チームの倦怠感を打破したのいのかもしれない。

 しかしプロにおいては、レギュラーというイメージは正直沸かない。あくまでも代打や守備固め、レギュラー選手の故障などに出番を埋める、隙間の指名といった印象は否めない。そのため悪い選手ではないのだが、☆ をつけようという評価までには至らなかった。


(2017年 秋季リーグ戦)










 北村 拓己(亜大3年)三塁 181/87 右/右 (星稜出身)





                     「兄とは少しタイプが違う」





 同じくドラフト候補にあがる兄・祥治(トヨタ自動車)内野手が、どんなことでもソツなくこなせる融通性のあるプレーヤーならば、弟の 拓己 の方は、自分のやれることをきっちりとやるタイプという感じで、より凝縮された選手との印象を受ける。そのため弟の方が、より強打者的な傾向が強いように感じる。


(守備・走塁面)

 一塁までの到達タイムは、右打席から4.5秒台。これを左打者に換算しても、4.25秒前後と平均的。大学3年生になって、春・秋のリーグ戦で3盗塁ずつを記録。そういった意味では、走力は中~中の上レベルはあるのかもしれない。

 高校時代はスケールの大きな遊撃手ではあったが、守備範囲などが限られていてショートとしては重苦しい。しかしサードとしては安定していて、実に落ち着いたプレーをする。また肩も強く、三塁手としては基準以上の選手だと言えよう。





(打撃内容)

 けしてオーバーフェンスを連発するような長距離打者ではありません。しかしパンチ力があり、リーグ戦でも3年春は.344厘(6位)、秋は.409厘(2位)と対応力を兼ね備えているところは魅力。実戦に即した打撃ができるのが、魅力ではないのでしょうか。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 前の足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合、両眼で前を見据える姿勢、全体のバランスとしてはオーソドックス。しかし亜大の選手らしく、精神的に強さが感じられ、そういった部分での余裕・落ち着きみたいな雰囲気を醸し出しています。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が沈みきったあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離、ポイントゲッターに多く観られる仕掛けです。まさに、彼のプレースタイルにも合致しているのではないのでしょうか。

<足の運び> 
☆☆☆☆ 4.0

 足を引き上げ回し込み、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも幅広く対応する万能型。

 踏み出した足元も、インパクトの際にブレません。そのため逃げてゆく球や低めの球に対しても、開きを我慢して食いついてゆくことができます。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、力みもなく特に問題はありません。バットの振り出しは少し遠回りに軌道するのは気になりますが、それでもインパクトの際にはバットの先端であるヘッドは下がらず打ち損じは少ないスイングではないのでしょうか。スイングの弧が大きいとか、フォロースルーを利かせているというよりも、最後まできっちり振り抜くことで鋭い打球を生み出します。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはそれなりで、目線の上下動は平均的。身体の開きはしっかり我慢できているものの、軸足は少し後ろにズラしてスイングしています。これは、ステップの幅が狭くスイングするために適正な位置に修正してスイングしているわけで、ある意味無駄な動きとも言えます。本当ならば、踏み込んだ時点でバランスの取れている方が私は理想だと考えます。

(打撃のまとめ)

 コンタクト能力も悪くないですし、打つだけならば兄以上の資質があるといえるでしょう。技術的には、もう少しバットが上から出るのと、ステップを若干広げた方がバランスの取れたスイングできるような気がします。しかしそれは、本人の感覚的な部分もあるので、絶対にそのほうがイイとは言いきれませんが。


(最後に)

 プロのサードとなると、ちょっとスケール不足を感じます。できれば強打の二塁手ぐらいの付加価値が出てくると、右打者だけに面白い存在になれるかと。個人的には良い選手なのだけれども、何かプロ混ぜた時に明確な売りがないところが気になります。その辺をどうアピールして行けるのかが、プロ入りへの別れ目ではないのでしょうか。


(2016年 大学選手権)