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島田 海吏(阪神)外野手のルーキー回顧へ







島田 海吏(上武大4年)中堅 176/72 右/左 (九州学院出身) 





                   「荒波翔(DeNA)に似ている」





 快速を活かしたプレーと非凡なミートセンスを活かした打撃を見ていると、DeNA の 荒波 翔 を彷彿とさせる。その一方で、せっかくの俊足なのに、ゴロが打てないで打ち上げてしまう、そんな打撃も何処か 荒波 とダブってしまう理由の一つなのかもしれない。


走塁面:
☆☆☆☆ 4.0 走塁偏差値 63.

 一塁までの到達タイムは、左打席から3.8秒を記録する。これをドラフト指名された左打者のタイムで偏差値化すると、走塁偏差値は 63 。身体能力の化物が集まっているプロ野球の世界でも、上位15%以内に入るような俊足であるのは間違いない。ただしリーグ戦では、毎シーズン5盗塁以上はするものの10盗塁以下であることを考えると、走力はあるもののプロで売りにできるほどの絶対的なものがあるのかは微妙だろう。

 現時点では、プロで売りにできる可能性は秘めているものの、走塁技術はそこまでまだ高くないということがわかってくる。それでも出塁すればすかさず次の塁を陥れるなど、走る勇気は持っている。


守備面:
☆☆☆★ 3.5

 プロでも上位レベルの脚力を持っており、広い守備範囲を誇っている。しかし打球への反応、落下点までの入りに特別うまい感じはしない。また強肩かと言われると、そこまで強い印象もない。むしろ中継までに、素早く返球する習慣が徹底されている気がするのだ。A級ではないけれど、そつなくこなす外野手という印象は以前と変らなかった。プロに入って一番伸びるのは、守備だと実感する。そうすると今後の努力次第では、守備も売りにできるレベルまで到達できる可能性は持っている。


(打撃内容)

 膝の柔らかさを活かした非凡な対応力と、引っ張るとスタンドインできるリストの強さも持ち合わせている。けして長距離打者ではないが、プロでレギュラーに定着すれば10本前後の長打力を発揮しても不思議ではない。

 ほとんど技術的は、前回フォーム分析をした時から変わっていない。しいていえば、以前はベース側にインステップして踏み込む傾向が強かったのが、アウトステップするようになり、より内角・懐の捌きに余裕を持たせることができている。昨秋のシーズンでは、打率.160厘という信じられない数字だったことを反省して、踏み込むステップを修正したのかもしれない。強打者タイプよりも、より対応力を重視したアベレージヒッターという意識を持ち始めているのかもしれない。

ここからは、残した成績から可能性を考えてみたい。4年間の通算成績は

51試合 167打数 55安打 18三振 43四死球 打率.329厘

という素晴らしい内容。167打数で18三振ということで、三振比率は 10.8% 。アマでも15%を切っていれば優秀だということを考えると、やはり振ったバットがボールに当てる能力はかなり高いことがわかる。四死球比率は 25.7 % 。アマならば15%を超えていれば優秀だと言えるが、25.7% と大幅にオーバー。そのことからも、ボールを見極める目にも確かなものがあることがわかる。


(最後に)

 下級生の時と、何か大きく変わった印象はない。しかし昨秋のリーグ戦では絶不調だったのを、リーグ2位の打撃成績を残し盛り返し、健在ぶりをアピールできたことは大きい。持っている潜在能力からすれば、更に伸び代を秘めているのではないかと思わせるものはある。

 ただし相変わらずフライをあげてしまい、ランナーがいても走者が進まないことも少なくない。そういった意味では、器用そうに魅せて不器用な面があるのも確か。プロで売りにできそうなミートセンスと脚力がありながらも、それをまだ充分活かすまでには至っていない。

 左打ちの好打者タイプということで、ドラフトでは最も過小評価されやすいポジション。しかし逆に言えば、下位指名の割に意外に使える選手、そういった美味しい指名にもなりやすい。しかし一つ間違えると、プロで最もだぶつきやすいタイプでもあるわけだ。現状は、下位指名候補といった感じではあるものの、非凡な膝の使い方などをみていると本会議中には指名があるのではないかと評価している。左の好打者タイプが、余剰気味ではない球団ならば、美味しい指名を期待できるかもしれない。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2017年 大学選手権)


 








島田 海吏(上武大3年)中堅 175/70 右/左 (九州学院出身) 





                     「意外に転がせない」





 抜群のコンタクト能力と快速を活かしたプレーが持ち味の 島田 海吏 。50メートル5秒台の快速の持ち主ながら、意外に三遊間にゴロで転がすような当たりが見られない。自慢の快足も1シーズンで二桁盗塁を決めるような、図抜けた数字を残しているわけでもない。この選手を見ていると、ちょっと疑問な部分が幾つか点在している。

走塁面:
☆☆☆☆ 4.0

 速い時には、一塁までの塁間を3.8秒台で走り抜けることもある。このタイムは、プロに混ぜてもまさにトップクラスの脚力だと言えるだろう。相手の徹底マークの中でも盗塁を決めて来るように、その走塁技術も一級品。しかし上記にも記したように、1シーズンで二桁盗塁を決めるほどの、絶対的なものがないのも気になる。プロの技術、身体能力の中で成績を残すためには、もうワンランク上の走力を望みたい。

守備面:
☆☆☆★ 3.5

 快速を活かした、広い守備範囲が売り。特に打球への反応、落下点までの入りに特別うまい印象はない。また強肩かと言われると、そこまで強い印象もない。むしろ中継までに、素早く返球する習慣が徹底されている気がするのだ。A級ではないけれど、そつなくこなす外野手という印象を持っているが、その辺はこの一年間でしっかり見極めてゆきたい。

(打撃内容)

 膝を柔らかく使い、難しい球にもタイミングを合わせてくる優れた資質を持っている。そうかと言えば、意外に引っ張った打球が飛んでゆくなどの、リストの強さも兼ね備えている。非力で三遊間にボテボテの当たりを打って内野手を稼ぐとか、そういった泥臭いプレーをする選手ではないということ。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 前の足を軽く引いた、左オープンスタンス。グリップの高さは平均的で、構えた時にリラックスできているところは良いところ。背中は伸ばし、全体のバランス、両眼で前を見据える姿勢は並ぐらいだろうか。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が下がりきったあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離、ポイントゲッターに多く観られる仕掛けです。こうやってみると今の島田の打撃内容同様に、彼は生粋のアベレージヒッターというよりも、中距離打者の傾向が強い打者なのかもしれません。

<足の運び> 
☆☆☆☆ 4.0

 足を引き上げて回し込み、真っ直ぐよりややベース側に踏み込んできます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。若干インステップ気味なので、意識は真ん中~外寄りにあると考えられます。
 
 踏み込んだ足の爪先は閉じられており、インパクトの瞬間にもブレないで我慢できています。外に逃げてゆく球や低めの球にも、食らいついてゆくことができます。

<リストワーク> 
☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」の形を作るまでも自然体で、ボールを呼び込むまでに力みがないところは良いところ。バットの振り出しも、外の球を叩くまでにロスは感じません。スイング軌道がけしてインサイド・アウトではないことと、若干踏み込む傾向があるので、内角の球を綺麗に振り抜くことに主眼が置かれているスイングではないように思います。甘めの内角寄りの球ならば対応できるでしょうか、本当に内角に厳しい球を来たときはファールするなり、捨てる割り切りができれば問題ないかと。

 強く振るとか、しっかり振り抜くというよりは、足の膝を上手く使って合わせて来る特殊能力があるように感じられます。その分、スイングに凄みとか鋭さを物凄く感じさせる選手ではありません。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはあるので、目線の上下動はそれなり。身体の開きは抑えられており、軸足にも粘りが感じられます。

(打撃のまとめ)

 ボールを捉えるコントタクトする能力は高く、膝とリストワークを上手く使って難しい球に合わせられます。何かスイングに凄みが感じられるとか、物凄く嫌らしいとか、そういう何か特別なものは感じさせないところに、何処かプロの素材というよりも質の良いアマ選手の匂いが拭えないのは若干気になるところです。

 もう一つ気になる点をあげるとするならば、4年春に首位打者を獲得したものの、>4年秋には1割台と低迷した部分です。口は悪いのですが、アマレベルそれも地方大学レベルの投手相手に、状態が悪くなっても、ここまで数字を落とす要因は何なのか? それは技術的なものなのか、身体的な部分なのか、精神的な部分なのか? プロの長いシーズンを想定すると気になる材料だということ。その辺も、この一年で見極めてゆきたいポイントです。


(最後に)

 守備も打撃も走塁も、一流になれる可能性はあるものの、現時点では中の上レベルで綺麗にまとまっている印象があり突出していません。今のままだと、単にアマチュアの好選手との印象にしかスカウトには映らない可能性があります。それだけに最終学年では、相手を見下ろすぐらいの圧倒的なモノの違いを魅せて欲しい。彼のようなポテンシャルで圧倒するタイプではない選手には、そういった目に見える結果を求めたいと思います。守備でも走塁でも打撃でも、何処まで自分を高めたいという貪欲さがあるのか、見極めてゆきたいポイントです。


(2016年秋 神宮大会)