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小山 翔平(巨人)捕手のルーキー回顧へ



小山 翔平(関西大4年)捕手 170/70 右/右 (東山出身)





                      「レポート作れないと思った」





 関西大でのリーグ戦出場は、4年間でわずか1打席(1安打)のみ 。そんな選手だけに、彼の映像を探しても、何処にも存在しない。しかし京都の東山高校時代の2年生のときに、京都大会の準決勝まで夏の予選では進んでいた。そこでその当時の試合の映像を見つけて、レポートを作成してみたい。

 2年夏の時点では、7番・捕手として出場。準々決勝の乙訓戦では、先制の犠牲フライ・レフト前に追加点となるタイムリー、外野の頭の上を越える長打を放つなど大活躍だった。しかし3年夏は5番・捕手として出場するが、3回戦で姿を消している。


(ディフェンス面)

 あくまでも高校2年時のものだが、2試合ほどみた感想を。170センチと小柄な体格の選手なので、特に身体を小さくしなくても的が大きく見えます。グラブを投手に示し、そのまま下げないで捕球。キャッチングの押し込み、ワンバウンド処理にも素早く反応するなど、フットワークの良い捕手でした。ただしハンドリングは良い一方で、全身でボールを止めにゆこうという感じではないので、プレー全体が雑に見えてしまうのは気になります。

 走者を出すと、それに気がなってしまいリードが疎かになったりする傾向がありました。まだ下級生ということで、余裕がなく視野が狭かったのかもしれません。それでも上級生に臆することなく、周りには指示の出せる選手ではあったのですが。スローイングは、しっかり型を作ってから送球できる選手で、地肩も結構強く少々逸れた球を送球しても1.9秒前後で投げたりしていました。ただし私が確認した2試合では、4回ほど盗塁を試みられてすべて決められていたという事実も。実戦になると力みが出たり、余裕の無さから盗まれたりと、能力以外の部分の未熟さをが観られました。この辺最終学年、あるいは大学に行って改善されているのか気になるところです。

 ただし、全体的にディフェンス力は光るものを持っています。2年夏の時点でこのぐらいのプレーをしていたら、3年生の頃は県下でもトップクラスの捕手だったのではないのでしょうか?高校時代から素質の片鱗は、垣間見られる内容でした。


(打撃内容)

 打撃も、けして悪い選手ではありません。結構試合の局面局面で結果を出せるような、勝負強さもありそうです。打撃フォームは、あくまでも高2の夏のものなのでご了承くださいませ。

<構え> 
☆☆☆ 3.0

 前の足を軽く引いてツマ先立ちし、グリップの高さは平均的。腰の据わり、全体のバランスとしては並ですが、両眼で前を見据える姿勢は悪くありません。そのため、球筋を錯覚を起こすことなく追うことができています。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下がり始めてから動き出す、「早めの仕掛け」を採用。対応力を重視した、アベレージヒッターに多く観られる仕掛けです。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を引き上げて回し込み、真っ直ぐからベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でもスピーどの変化には幅広く対応。真っ直ぐ~アウトステップに踏み出すことからも、内角への意識が強いのがわかります。

 踏み出した足元はインパクトの際にもブレないので、アウトステップでも高めの外角球ならば充分に対応できるはず。インパクトの際に、しっかり押し込めるのは良いところ。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」は早めに作れているので、速い球に立ち遅れる心配はありません。ただし「トップ」を深く取れるのは良いのですが、その際にグリップが身体の奥まで入り過ぎ。そのため内角の球に対しては、なかなかバットがキレイに抜けてゆきません。

 スイングはインパクトまで少し遠回りに出てくる感じですが、インパクトの際にバットの先端であるヘッドまでは下がりません。典型的な、横ぶりのスイングといった感じがします。ボールを捉えたあとも、大きな弧を描いてグッシャとボールを潰します。

<軸> 
☆☆☆ 3.0

 足の上げ下げはあるので、目線の上下動は並ぐらい。身体の開きは我慢できていますが、若干軸足の形が崩れがち。そういった意味では、調子の波は激しいタイプかもしれません。

(打撃のまとめ)

 「トップ」を深くとっており、弓矢の弓を強く引くがごとく強い反発力が期待できます。インパクトでも、力を集約して強い押し込みを実現。ボールを捉えたあとも、大きな弧を描くき打球は強烈です。

 しかしその一方で、内角ではバットの抜けが悪い上に、遠回りなスイング軌道、軸足の不安定感など、粗い印象が残ります。けして箸にも棒にもという打力の無さではないのですが、大学レベルだとやや厳しかったのかもしれません。


(最後に)

 粗い打撃ながら、ディフェンス面での評価が高かったのでしょう。フットワークが軽快で、地肩も悪くありません。高校の下級生時から、どのぐらい実戦で冷静に対処できるようになっているのか? 高3のプレーを観られなかっただけに、その成長ぶりはわかりません。まして大学でのプレーも極めて限定的なので、現在どうなっているかは不明です。

 ただしちょっと面白そうだなと思える選手であり、テストで合格したのもわからなくはありません。果たしてプロで、どのぐらい存在感を示してくれるのか。これから密かに期待して、見守りたいと思います。


(2012年夏 京都大会)