17dy-12
熊谷 敬宥(立教大4年)遊撃 173/70 右/右 (仙台育英出身) |
「打席でなんとかできるようになってきた」 春までは、明らかに打撃が見劣る印象が強かった 熊谷 敬宥 。 しかしこの秋は、ヒットにならなくても四球で出塁したり、ランナーを進塁させるなど、ヒットは出なくても打席の中で最低限の働きを魅せる場面が増えてきた。特に春よりも淡白さが薄れ、ボールに食らいつきなんとかしようという意欲が伝わってくる。その証に4年秋のリーグ戦では、自己最高の打率.256厘という数字にも現れている。 守備面:☆☆☆☆ 4.0 熊谷の最大の魅力は、プロでもショートを任せられるだろう守備力にある。打球への一歩目の反応鋭く、キャッチング、スローイングまでの流れも良い。広い守備範囲を誇り、上のレベルのニ遊間に求められるスピード感があるのが最大の魅力。深いところから刺せる肩も強く、守備に関しては即一軍レベルなはず。 走塁面:☆☆☆☆ 4.0 走塁偏差値 55 一塁までの到達タイムは、右打席から4.2秒前後。これを左打者に換算すると、3.95秒前後に相当する。このタイムをドラフト指名された右打者のタイムで偏差値化すると、走塁偏差値は 55 。プロに混ぜても、上位30%ぐらいには入る、中の上レベルの脚力があることがわかる。今春のリーグ戦では、9盗塁を決めて盗塁王に。その走力以上に、盗塁できる技術に優れているのかもしれない。 守備・走塁に関しては、1年目から一軍を意識できるものがあるはず。しかしプロの中でも異彩を放つレベルに到達するまでには、もう何年か精進する必要があるのではないのだろうか。 (打撃内容) 春から変化が見られたのは、まさに打撃の部分。春のフォームと比較して何か変化があったか考えてみたい。 <構え> ☆☆☆ 3.0 前の足を少しだけ引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わりは良くなく、それでいて背筋がしっかり伸びているわけではない。両眼で前を見据える姿勢は相変わらずいいが、全体のバランスとしては並ぐらい。春より打席での力みがなくなったことは、良いのではないのだろうか。 <仕掛け> 早すぎ 投手の重心が沈み始める前に動き出しており、「早すぎる仕掛け」になっている。これだと長く足を引き上げておかなければならず、投手もモーションで崩すことができてしまう。できれば以前のように、投手の重心が沈み初めてからの、動き出しは良いのではないのだろうか? <足の運び> ☆☆ 2.0 足をしっかり引き上げ、軽くアウトステップ気味に踏み込んで来る。始動~着地までの「間」は充分あり、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応。軽くアウトステップするように、内角寄りに意識があるのがわかる。 春は地面の近くでなぞるようにして踏み込んでいたのを、この秋はしっかり高く足を引き上げることで強い踏み込みを意識したのではないのだろうか? 気になるのは、踏み込んだ足元がブレてしまい、身体の開きが抑えられていないこと。強いスイングを意識し過ぎて、上半身の強さに下半身が負けてしまっていた。これでは、逃げてゆく変化球や低めの球にも対応するのは厳しい。特に春にも指摘した、腰が早く逃げる癖も改善はされていなかった。 <リストワーク> ☆☆★ 2.5 あらかじめバットを引いて、「トップ」に近い位置にグリップを添えている。これにより、速い球に立ち後れないようにはできている。どうしてもあらかじめグリップを引いていると、リストワークが固くなって柔軟性が損なわれる傾向にはあるのだが・・・。 気になるのは、打つときに肘が下がってインパクトまで遠回りにバットが軌道するドアスイングであること。インパクトの際にバットの先端であるヘッドは下がらないものの、足元はブレるので腰の逃げが早いスイングの開きが止められることなくバットを振り切ることになる。こうなると、どうにも外の球への対応が厳しくなる。春は、足元がブレないで我慢できていただけに、その辺は大いに気になる。 強く振ろうという意識はわかるが、それを受け止める下半身ができていないので、スイングがバラバラになってしまっているのだ。バットの振り出しが遠回りなので、アウトステップでも内角の球にはキレイにバットが抜けて来ない。それでいて「開き」も抑えられないので、外の厳しい球の対応も厳しい。そのため打てるコースは、極めて限定されていたのではないのだろうか。 <軸> ☆☆ 2.0 春よりも足の上げ下げが大きくなったぶん、目線の上下動も激しくなった。身体の「開き」も我慢できず、軸足の形も崩れてしまって、これでは安定した打撃は望めない。 (打撃のまとめ) いろいろ試行錯誤の最中なのはわかるのだが、めちゃくちゃな打撃フォームになってしまっている。特に国際大会に出場したことで、強く振ろうという意識が高まったのか? バットを強振する機会が増えた。そのため、それを支える下半身ができていないので、バラバラなスイングになってしまっているのだ。 (最後に) 守備・走塁に関しては、1年目からプロに混ぜってもある程度やれるはず。しかし打撃に関しては、プロの指導の元、一から作り直さないといけないかもしれない。それでも、修正できるかどうかは微妙だろう。ただし打席の中で、なんとかしてやろうという意識が高まったことと、実際なんとかできていた点は春よりも評価したいポイント。打撃の部分では相変わらず不安が残るが、指名リストには名前を記してみたいと思うようになった。 蔵の評価:☆ (下位指名級) (2017年 秋季リーグ戦) |
熊谷 敬宥(立教大4年)遊撃 175/72 右/右 (仙台育英出身) |
「とにかく打てない」 侍ジャパンの日本代表メンバーであり、守備・走力に関しては、まさにプロ級の選手、それがこの 熊谷 敬宥 。しかしリーグ戦では、3年秋・4年春に記録した.222厘が最高打率。先の大学選手権でも、14打数で2安打、打率.143厘 と本当に打てない。 守備面:☆☆☆☆ 4.0 ジャパンのショートを任されるだけに、打球への一歩目の反応、キャッチング、スローイングまでの流れもよく守備はすでにプロ級だと言えるでしょう。高校時代は無駄な動きも多かったのですが、そういった角は大学の4年間でかなり改善されています。広い守備範囲を誇り、上のレベルのニ遊間に求められるスピード感があるのが最大の魅力。深いところから刺せる肩もかなり強く、守備に関しては即一軍に入って行けるレベルにあるのではないのでしょうか。 走塁面:☆☆☆☆ 4.0 走塁偏差値 55 一塁までの到達タイムは、右打席から4.2秒前後。これを左打者に換算すると、3.95秒前後に相当する。このタイムをドラフト指名された右打者のタイムで偏差値化すると、走塁偏差値は 55 。プロに混ぜても、上位30%ぐらいには入る、中の上レベルの脚力があることがわかる。今春のリーグ戦では、9盗塁を決めて盗塁王に。その走力以上に、盗塁できる技術に優れているのかもしれない。 いずれにしても、守備・走塁に関しては、即一軍でやって行けるレベルにあります。これがプロでも売りにできる領域に達するまでには数年かかるかもしれませんが、充分にプロでも通用するでしょう。 (打撃内容) 高校時代は、どの打席でもバットの芯でボールを捉えられるコンタクト能力は光っていました。特にセンター中心にはじき返す、基本に忠実な打撃をする選手だという気がします。チームでは2番打者として、つなぎ役を担っています。そういった状況に応じたプレーをこなす、野球センスを持った選手です。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 両足を揃えたスクエアスタンスでカカトを浮かし、グリップを高めに添えます。腰の据わりや全体のバランスとしても平凡ですが、両目で前をしっかり見据えられているところは良いところ。もう少し身体を揺らぐなどすると、構えに硬さがなくなるのではないのでしょうか。 <仕掛け> 早め 投手の重心が下がり始める時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。これは早めに動き出すことで、いろいろな球に対応しようとする、アベレージヒッターに観られる始動。高校時代は「遅めの仕掛け」でしたが、今は確実性を重視していることがわかります。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を軽く浮かし地面をなぞるように回し込んで、真っ直ぐから少しアウトステップ気味に踏み出します。始動~着地までの時間は充分にあり、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすいはず。真ん中~ベースから離れた方向に軽く踏み出すように、やや内角を意識していることがわかります。 踏み込んだ足元はブレないので、外に逃げる球でも高めの球ならば対応できるはず。気になるのは腰の逃げが早く、バットと身体の距離が離れてしまい、ボールにしっかり力が伝わり難いのが気になります。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは早めにできており、速い球に立ち遅れる心配はありません。気になるのは、スイング軌道がインサイド・アウトではないので、アウトステップ気味でも内角にバットが出にくい可能性。それでいて腰が早く逃げるので、外の球もきっちり叩け無いなど、打てるコースが非常に限られている危険性を感じます。けしてインパクトの際に、バットの先端であるヘッドが大きく下がっているわけではないのですが。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げは小さく、目線の上下動は少なめ。身体の開きも我慢できており、軸足も大きくは崩れません。そういった意味では、調子の波は少ないのではないかと考えられます。 (打撃のまとめ) やはり気になるのは、腰の逃げが早く身体から離れてスイングされること。これでは、ボールにしっかり力を伝え難いことがわかります。スイング軌道も内角の球に対し素直にバットが出てくる感じではないので、内外角共にしっかり裁けないスイングをしているのではないかと危惧します。 今春のリーグ戦では、54打数で14三振。三振比率は、25.9% とかなり高いことがわかります。いくらアマと言っても、15%以内には抑えたいところ。四死球比率は、18.5%であり、基準である15%以上は満たしています。振ったバットがボールに当たる確率は低いものの、ボールを見極める眼は基準以上だということ。やはりスイング技術に、大きな問題があることがわかります。 (最後に) 現状はジャパンのメンバーではありますが、大学からプロという匂いはしてきません。守備・走塁は即一軍でやれるかもしれませんが、打撃の方がプロのレベルではありません。貴重な右打ちのニ遊間候補ですが、秋のリーグ戦でよほど変わるとか、国際試合で大きなアピールなどができない限りは、社会人に進むことになるのではないのでしょうか。 (2017年 大学選手権) |