17dp-30


 




石田 健人マルク(中日)投手のルーキー回顧へ







石田 健人マルク(龍谷大4年)投手 184/83 右/右 (東邦出身) 
 




                     「実績は2年春のみ」





 リーグ戦での実績らしい実績は、2年春のシーズンのみという 石田 健人マルク 。この時にリーグ7位となる、防御率 2.32 を記録するも、あとはリーグ戦でもポツポツ登板する程度。4年春は登板がなく、秋は2試合に登板するものの、防 14.54 と完全に素材型の選手であることがわかる。


(投球内容)

 残念ながら最終学年の投球は確認できなかったものの、彼の良かった2年時の投球を元に、レポートを作成してみたい。ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込んでくる。

ストレート 常時140キロ~中盤ぐらい 
☆☆☆★ 3.5

 力のある球を、投げ下ろしてくる印象。球速はコンスタントに140キロ台を越えていそうで、速い球は140キロ台後半ぐらいまで記録しているのかもしれない。そのため自己最速では、151キロまで記録したという。やはり課題はコントロールであり、四死球で自滅するというよりも、ストライクゾーンの枠の中での甘さが気になるところ。左打者には高めに抜ける球が多く、右打者には甘く中に入ってくることが多い。

変化球 スライダー・フォーク 
☆☆ 2.0

 時々スライダーを混ぜて来るが、あくまでもカウントを取ったり速球と目先を変える球で打者を仕留める意味合いは薄い。左打者にはチェンジアップのような沈む球があるのだが、どうもこれはフォークらしい。この球も落差は小さく、打者の空振りを誘えるほどのキレはない。全く変化球が使えないわけではないが、苦しくなったら速球で押すしかなくなり、その球が甘く入って狙い打たれるという悪循環を続けている。

その他

 牽制は投げる真似だけで、実際投げるところは確認できず。クィックは、1.1秒前後と基準レベルはクリアできている。投球以外の能力が低いかはよくわからないが、微妙な駆け引きや間合いを変えるような、そういった投手らしさは見られない。今はただ、ストライクゾーンめがけて投げ込んで来る、そんな感じではないのだろうか。

(投球のまとめ)

 速球には力があるので、素材としての魅力を買っての指名でしょう。あとの細かい部分や変化球は、プロの指導でどうにかしようということのよう。ストレートだけでプロの打者を押し切れれるほどならば良いのですが、大学生レベルでもはじき返されるので、その点は極めて心配です。





(投球フォーム)

では今後の可能性を考える上で、投球フォームを観てみたいと思います。

<広がる可能性> 
☆☆☆ 3.0

 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻は一塁側に落とせずバッテリーライン上に残ってしまいます。すなわち身体を捻り出すスペースが確保できず、カーブで緩急をつけたり、フォークのような縦に鋭く落ちる球種には適さない投げ方です。

 ただし足を前に大きくステップさせて逃がすことはできているので、身体を捻り出す時間は確保できています。そういった意味では、カーブやフォークような捻り出して投げる球種以外ならば、変化球をモノにできる可能性は感じます。スライダー・チェンジアップをはじめ、カットボール・ツーシーム・スプリットなどの球速のある変化でピッチングの幅を広げてゆくべきではないのでしょうか。

<ボールの支配> 
☆☆☆★ 3.5

 グラブは比較的最後まで身体の近くにはあり、両サイドの投げ分けがそれほど悪いようには見えません。足の甲の押し付けも適度にできており、ボールが高めに集まりやすいのもよくわかりません。一つ言えるのは、ボールを押し込むまでリリースが我慢できていないということ。そのためボールが、高めに抜けやすいのかな?という気はします。あとは、「球持ち」が浅くリリースが不安定なのか、決定的に指先の感覚が悪いのでしょうか? そこまで制球が悪い理由が、よくわかりません。

<故障のリスク> 
☆☆ 2.0

 お尻が落とせないフォームの割には、フォークを結構使ってきます。身体のスペースが確保できない窮屈な投げ方で、無理に投げようとすると肘への負担が大きくなりやすいのは気になるところ。

 それ以上にグラブを持っている肩は下がり、ボールを持っている肩は極端に上がるほど角度をつけて投げている点。そのため腕の送り出しに無理があり、肩を痛めやすいのもどうでしょうか?

<実戦的な術> 
☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りは適度にあり、身体の「開き」も早すぎることはありません。そういった意味では、けして合わせやすいというほどのフォームではないように思います。むしろ打たれるのは、甘く入ることが多い制球力に原因があるのではないのでしょうか。

 振り下ろした腕は身体に絡み、速球と変化球の見極めはつけにくいはず。ボールへも適度に体重は乗せられており、打者の手元まで強い球は投げられています。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」のうち、「球持ち」に大きな課題があります。制球を司る動作は思ったほど悪くないのですが、実際は被安打と同じぐらい四死球を出すコントロールの悪さがあります。現状は速球しか頼れる球がありませんが、将来的にはもう少しいろいろな球が覚えられる資質はあるように思うのですが・・・。


(最後に)

 速く力のあるボールを投げられる資質・フォームはしており、その点では好素材だとは思います。しかし変化球、制球力などに大きな欠点があり、実戦力では大きく劣る印象があります。それだけハイリスクな素材でも、プロの指導者がつけばなんとなるかもという指名なのでしょう。投手の育成には定評があるチームなので、どのように彼を導くのが気になります。最終学年の投球を観られたわけではないので評価づけはできませんが、相当な覚悟はいる素材ではないのでしょうか。