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平岡 敬人(広島)投手のルーキー回顧へ







平岡 敬人(中部学院大4年)投手 186/92 右/右 (育英出身) 





                  「馬力はあるが・・・」





 中部学院大は、毎年春に関東に遠征してくる。私自身も彼が3年春になったオープン戦で直に確認したが、彼がリーグ戦で実績を残していたのは2年秋とこの3年春の時期。その後3年秋には肩を故障し、4年秋にようやく復活の兆しを魅せ始めたところだった。残念ながら、4年秋の投球は確認できず。そこでこの時のオープン戦の内容を中心に、今回のレポートを作成したい。


(投球内容)

 オーソドックスな右の本格派で、粗っぽく一辺倒な印象は受けたが、馬力のある投手との印象が強い。

ストレート 常時140キロ台~150キロ前後 
☆☆☆★ 3.5

 とりあえず力のあるボールを、ストライクゾーンの枠の中に投げ込むというスタイル。動画で別の試合の模様も見たが、この時は、両サイドにはボールは散っていた。高めにに集まる球と、引っかかって低めに行く球とバラツキが激しい。リリースが、まだまだ不安定なのではないのだろうか。球威・球速には見るべきものがあるが、結構合わせやすいのか? スコンスコンと打たれ出すと止まらない。

変化球 スライダー・カーブ・フォークなど 
☆☆★ 2.5

 横滑りするスライダーの切れは平均的で、その他にカーブを投げたりフォークも使ってくる。ただしスライダー以外の変化球の精度は、まだそれほど高いとは言えなそう。そのためどうしても、投球がストレートとスライダーとのコンビネーションになり、単調になりやすい。

その他

 クィックは、1.0~1.1秒ぐらいとまずまず。牽制はよくわからなかったが、フィールディングの動きも平均的。それほど細かい駆け引きや微妙なところを出し入れするような繊細さは感じられない。あくまでも強いボールで、押して行くというパワーピッチ。

(投球のまとめ)

 とりあえず細かい駆け引きができるというタイプではなく、力のある球で押して行くパワーピッチャー。肩を痛める前から、リーグ戦でも実績を残していた投手ではなく通算でも2勝(5敗)という実績。そのためあくまでも、150キロ級のボールを投げ込む投手がいるという感じだった。

 その後肩を痛め低迷するも、この秋復調の気配を魅せリーグ戦でも147キロを記録するまでに回復。しかしまだまだ即戦力でどうという投手ではないだろう。ファームで1、2年漬け込んで、プロの育成で何処まで化けるかという感じではないのだろうか。





(成績から考える)

この秋の成績は、

4試合 0勝0敗 10回 10安 8四死 8奪三 防 4.50

投球回数は少ないが、いつものようにファクターに入れて検証してみよう。

1,被安打はイニングの70%以下 ✕

 被安打はイニング数と一緒で、これだけのボールを持っている割に悪すぎる。通算では62イニングで52安打であり、83.9%と、地方リーグの選手としては高め。やはりコントロールやフォーム、単調な配球のせいなのか? 苦になく打ち返されることが多い。

2,四死球は、イニングの1/3以下 ✕

 四死球率も、イニングの1/3以下(33.3%)どころか80%にも及んでいる。通算では45.2%であり、元々かなりアバウトなのがわかる。ある程度ボールの勢いは取り戻したものの、まだまだ元来のレベルまでコントロールは戻せていなかった。

3,奪三振は、1イニングあたり0.8個以上 △


 この秋は、リリーフで2試合先発・2試合がリリーフなので、どっちの条件をあてはめるかは悩むところ。とりあえず先発だと0.8個の基準をちょうど満たしているし、リリーフと考えるならば0.9個のファクターは微妙に満たせていない。通算では、0.82個とそれほど変わらないが、元々はリリーフでの登板がほとんどで若干物足りないことがわかる。この辺は、武器になる変化球がないことからも決め手不足なのだろう。

4,防御率は1点台以内 ✕

 2年秋に 2.08 というシーズンがあるが、あとは3点台か4点台。リリーフで起用されても、信頼感は高いとは言えなかった。

(成績からわかること)

 この数字を見ればわかるように、地方リーグの選手でも力で圧倒しきれていないことがわかった。あくまでも150キロの速球を投げられるという、素材型の域は脱していない。大学での成績だけ見れば、現時点の内容ではプロで通用するとは言えないだろう。いかにプロの指導で、化けることができるのかが鍵となる。


(最後に)

 本当はフォーム分析もしたいところなのだが、怪我前のものしかないので参考にはなりずらく行わなかった。現状は、速い球を投げられる素材という以外はすべてで力不足であることは否めない。そこを育成力に定評のある 佐々岡真司コーチの手腕に託すことになりそうだ。果たしてこの原石を、どのように磨くことができるのか注視したい。この選手までものにできるようだと、カーブは凄い投手陣になってゆくだろう。