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小久保 気(24歳・西濃運輸)投手の個別寸評へ







小久保 気(23歳・西濃運輸)投手の 本当に凄いやつ へ







小久保 気(四国学院大4年)投手 178/78 右/左 (鹿児島玉龍出身) 





                       「期待ほどではなかった」





 今年の大学選手権出場組の中でも、近藤 弘樹(岡山商科大)とともに、もっとも期待していたのが、この 小久保 気 の存在だったしかし今大会での投球を見る限り、ちょっと物足りない印象が残った。


(投球内容)

 178センチの体格が示すとおり、それほど威圧感・スケールで魅了するタイプではない。むしろ非常にオーソドックスな、正統派右腕。

ストレート 130キロ台後半~144キロ 
☆☆☆ 3.0

 昨年見た映像では、常時140キロ台~後半ぐらい出ているかなという感じだった。しかしこの大会では、常時130キロ台後半~140キロ台前半であり、ボールの質・球威・コマンドという意味でも平凡。「球持ち」は良いので見た目よりも打者は合わせ難い感じではあったが、ボールの勢い・質・球速といった意味では物足りなかった。さらにそれほど球威はなく、コントロールもかなりばらついていて、細かい制球力があるタイプではない。ボール全体的が高く、抜ける球も少なくなかった。

変化球 カーブ・スライダー・フォーク? 
☆☆☆ 3.0

 昨年見たときは、もう少しスライダーを使っていたように思う。しかしこの大会では、110キロ前後のカーブと縦に沈むチェンジアップのようなフォークを織り交ぜてくる感じ。変化球で適度にカウントも取れるし、縦の変化の落差も悪くはない。まだ絶対的なレベルではないが、適度にコンビネーションで投球を組み立てることはできている。将来的には、もっと縦の変化を中心に投球を組み立てるようになるのではないのだろうか。

その他

 それほど走者への目配せなど注意力は感じられないものの、牽制は大目に入れて悪くはない。クィックも1.1秒前後で投げ込めるなど、ディフェンス面は合格レベル。

(投球のまとめ)

 思ったほどのストレートではなかった上に、変化球にも絶対的な球があるわけではない。また細かい制球力や投球術の巧みさがあるわけではなく、平均的な投手との印象が残った。右打者には高めに抜け気味にゆくことはあるものの、両サイドの投げ分けは安定。むしろ左打者相手になると、甘く入る球が多いように見える。いずれにしても総合力でまだ大卒からプロいった感じはなく、社会人に行ってから次第という投手ではないのだろうか。


(投球フォーム)

ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込んできます。

<広がる可能性> 
☆☆☆ 3.0

 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻の一塁側への落としには甘さを残します。そのため身体を捻り出すスペースが不十分で、カーブで緩急をフォークで決め手をという意味では中途半端になりがち。

 それでも「着地」までの粘りは適度にとれており、身体を捻り出す時間はそれなり。そのため多彩な球種を操れる下地はあり、あとは武器になるほどの変化球を身につけられるかが今後の課題ではないのでしょうか。

<ボールの支配> 
☆☆☆★ 3.5

 グラブは最後まで内に抱えられており、両サイドの投げ分けは安定しやすいはず。足の甲でもしっかり地面を捉えており、本当ならばもっと低めにボールが集まりそうなもの。しかし「球持ち」も悪くないわりに、制球はアバウト。恐らくその原因は、腕が意外に身体から離れて凱旋しており、ブンと腕を振るように振られていてアバウトになりやすいのだと考えられる。若干だがもう少し身体の近くを軌道するようになると、もっと球筋は安定して来るだろう。

<故障のリスク> 
☆☆☆☆ 4.0

 お尻の落としは甘いものの、全く落とせていないわけではない。カーブやフォークを結構使って来るので、多少窮屈になって肘への負担が少ないとはいえないだろう。それでも今の頻度ならば、悲観するほどではないように思う。

 腕の送り出しをみても、無理のない回旋。そのため肩への負担も少なめで、そのへんは気にしなくても良さそう。フォームもけして力投派ではないので、消耗が激しいというタイプでもなさそう。

<実戦的な術> 
☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りも適度にあり、打者としては見た目よりも合わせ難いのでは。肩の開きも抑えられ、球持ちも悪くないことを考えると、力みのないフォームで思ったよりは差し込まれやすいのかもしれない。

 腕はしっかり投げ終わったあとも身体に絡んできて、速球と変化球の見極めは困難。下半身が使えている割に、ボールにあまり球威を感じないのは、充分に押し込む前にリリースを迎えてしまっているから。この辺を改善できると、もっと手元までグッと迫って来る迫力・勢いが出てくるのではないのだろうか。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」などを見ていても、どれも悪くはない。しかしその割に制球がイマイチなのは、腕の軌道がやや身体から離れてブンと振られていること。また球離れが早いわけでもないのだが、リリースで押し込めないで放しているので、打者の手元まで勢いや球威、高めに抜ける球が多くなってしまっている。この辺は微妙なところなのだが、社会人で磨けば、グッと良くなる可能性を秘めている。全体の土台としては、非常に良いフォームなので。

(最後に)

 ちょっとまだ惜しいところがあり、まだ物足りない内容となっている。そういった足りない部分を、育成力のある指導者・チームに進んで改善できるようだと、2年後には高い評価でプロ入りしてもおかしくはない。急がば回れということで、まずは社会人に進んで力を養って欲しいという気がする。

(2017年 大学選手権)

 








小久保 気(四国学院大3年)投手 178/78 右/左 (鹿児島玉龍出身) 





                       「指名されそうな勢いだね」





 実際に生で見たわけではないんとも言えないが、幾つかの映像を見る限りドラフト会議での指名を充分意識できる素材、そう実感させてくれるのが、この 小久保 気(四国学院大)右腕。それほど身体は大きくないが、好調時には150キロ前後を記録するという快速球投手。それでいて秋のリーグ戦では最優秀防御率に輝くなど、けして荒れ荒れの素材ではない。


(投球内容)

スケール感を感じさせる素材というよりも、適度な勢いとまとまりを持つ好投手。

ストレート 常時140キロ~後半 
☆☆☆☆ 4.0

 コンスタントには140キロ~中盤ぐらいといった感じで、勝負どころになると145キロ~後半の力のあるボールを投げ込んでくる。球筋は真ん中~高めのゾーンに集まりやすいものの、ボールに勢いがあるのでそれほど悲観しなくても良いのでは。また両サイドに投げ分けられる、コントロールは有している。

変化球 カーブ・スライダー・フォーク? 
☆☆☆★ 3.5

 ブレーキの効いたカーブを結構投球に織り交ぜてきつつ、スライダーや追い込むと縦の変化球を使って来る。この縦の変化球の落差も悪く無さそうなので、精度を高めればもっと大きな武器になりそう。変化球でしっかりカウントが取れて、空振りを誘える球もあるので、変化球レベルも水準以上という感じはする。

(投球のまとめ)

 体格のせいなのか? 凄みのある投球ではないものの、ボールの手元までの勢いは確か。制球力、変化球、マウンド捌きを見ていても、一定の水準を満たしており、大きな欠点は見当たらない。下級生の時から実績を積み上げてきた投手であり、エースとしての自覚も持っているのだろう。これまでに積み上げてきた勝ち星は16勝、今年は満を持して大学選手権に駒を進めて欲しい。



(投球フォーム)

投球のサンプルが少なかったので、フォーム分析をして可能性を模索してみたい。

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻を一塁側に落とせるフォームなので、身体を捻り出すスペースを確保できている。そのためカーブで緩急をつけたり、フォークのような縦の変化球を投げるのにも窮屈さを感じさせない。

 「着地」までの粘りは平均的だが、これにもう少し粘りが出てくると、身体を捻り出す時間が確保できるはず。そうなれば変化球のキレや曲がりに特徴が出てくる可能性が膨らむ。

<ボールの支配> 
☆☆☆☆★ 4.5

 グラブは最後まで内に抱えられており、両サイドの投げ分けは安定。足の甲でも地面を押し付けることができ、「球持ち」も前で放せているので、もう少し低めに集まってもという気はする。更にボールを押し込めるようになると、膝下にも集まってきそう。

<故障のリスク> 
☆☆☆☆ 4.0

 お尻を落とせるフォームなので、カーブやフォークを投球に交えてきても肘への負担は少ないはず。腕の送り出しにも適度な角度はあるものの、無理は感じないので肩への負担も少なめ。それほど力投派というほどでもないし、腕の回旋も身体の近くをまわってくるのでバランスと無理のないフォーム。

<実戦的な術> 
☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りは並なので、身体の「開き」も平均的。そういった意味では、極端に合わせやすいわけではないが苦になるほどのフォームでもない。

 それでも腕はしっかり振れて身体に絡んで来るので、速球と変化球の見極めは困難。ボールにもしっかり体重を乗せてから、リリースを迎えられている。そのため、地面を力強く蹴り上げることができている。

(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」と「開き」が平凡なのでもっと粘りが出て来ると厄介だろう。故障のリスク、制球を司る動作、今後もピッチングを広げて行ける可能性もあり、ある意味お手本にしたいフォームだと言えよう。


(最後に)

 投球にもフォームにも、大きな欠点が見当たらない安心印。その一方で体格から来る凄みや、絶対的な武器がまだ見当たらない。この辺が、上位指名を意識すると物足りないポイントか? その辺を注意して、春の生観戦を楽しみにしてみたい。今年の地方リーグを代表する1人なのは、間違いないだろう。


(2016年 リーグ戦)