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福田 周平(オリックス)内野手のルーキー回顧へ







福田 周平(25歳・NTT東日本)遊撃 169/69 右/左 (広陵-明大出身) 
 




                     「昨年と何が変わったのか?」





 個人的には、昨年のドラフトにおいて大学や社会人の選手の中で、最も即戦力になりえる選手はこの 福田 周平 ではないかと評価していた。しかし、まさかの指名漏れ。本人もショックが大きかったのか? 春先の福田は、完全に精細の欠くものとなっていた。しかし都市対抗の時期には気持ちを持ち直し、前年以上の活躍。特にチームが都市対抗を制するなか、打率.550厘で首位打者となり橋戸賞を獲得。またBFAアジア大会でも、5試合で.429厘の記録を残し国際大会でも通用することを証明して見せた。


走塁面:
☆☆☆☆ 4.0 走塁偏差値 61

 一塁までの到達タイムは、4.15秒~3.90秒ぐらいで走り抜けて来る。プロで足を売りにするほど絶対的なスピードがあるのかは微妙だが、充分にプロレベルでも俊足の部類。ドラフト指名された左打者のタイムで偏差値化すると、彼の走塁偏差値 は、61 となる。すなわち彼の走力は、身体能力の化物達が集まるプロの世界でも、上位13%以内に入るぐらいの脚力があるということ。球界トップクラスとは言えないが、上位クラスであるのは確かだろう。

守備面:
☆☆☆★ 3.5

 打球への一歩目が鋭く、打球勘が好い。キャッチング・フットワーク・スローイングなどの動きもまずまずで、遊撃手としても基準レベル以上。地肩も平均レベルはあり、プロの遊撃手としても見劣りはしない。将来的には二塁あたりの方が適正は高そうだが、遊撃手としてもやって行けない選手ではないだろう。


(打撃内容)

 大学時代よりもスイングに強さが出て、甘い球を逃さない高い集中力も感じられる。基本は、長打で魅了するというよりも、野手の間を抜けてゆく好打者タイプ。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 前の足を引いた左オープンスタンスで、グリップは高めに添えるもバットを寝せて構えている。腰の据わり具合・両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスも程よく整っている。後ろ足に重心をかけるフォームは、昨年と変わっていなかった。全体的には、昨年よりも違和感なく構えられている感じがする。

<仕掛け> 遅すぎ

 最大の違いは、始動のタイミングが変わったこと。昨年までは、「早めの仕掛け」を採用していた。しかし今は、一度ベース側にツマ先立ちして、リリース直前に動き出すという「遅すぎる仕掛け」を採用している。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を小さくステップさせて、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」がなく、まさに 点 の打撃といった感じ。そのためいろいろな球に対応しようというよりも、あらかじめ狙い球を絞りその球を逃さないことが求められます。

 真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも捌きたいタイプ。踏み込んだ足元はブレないので、逃げてゆく球や低めの球には食らいつくことができています。

<リストワーク> 
☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、始動の遅さを補います。バットの振り出しは、けしてインサイド・アウトではないものの、外の球に対してはロスなく到達。スイングの弧はそれほど大きくはなく、フォロースルーを活かしてボールを遠くに飛ばすタイプではありません。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げが小さく、目線の上下動は極めて小さい。身体の開きも我慢でき、軸足も真っ直ぐ地面から伸び安定している。

(打撃のまとめ)

 昨年はインステップで踏み出していたので、外の球には強かったものの内角には窮屈さを残していた。しかし今年は、真っ直ぐ踏み出すオーソドックスなスタイルに変えて、どのコースの球にもスムーズにバットが出るようになっている。

 始動が遅すぎることで、緩急への対応が不安にはなる。しかし今のスタイルの方がしっくり来るのであれば、結果が残っている間は、このタイミングで良いのではないのだろうか。


(最後に)

 技術的には変化は見られたものの、それが打撃内容に大きな変化を及ぼしたのかはよくわからない。個人的には、昨年の内容をキープし続けた印象が強い。守備・走塁・精神面共に充実しているだけでなく、打撃でも確かなものを持っている。

 身体が小さいだけに、プロの長く険しいシーズンを想定すると体力的にどうなのか?という不安は残る。しかしショートでは、名手・安達 了一 の負担を軽減する役割を。また二塁だと若手有望株の 大城 滉二 とのレギュラー争いなどがまっており、フルにポジションを任される状況ではなく。返って最初はそういった起用が彼には味方にするかもしれない。

 正直昨年から大きな上積みがあるのかと言われると疑問で、むしろ昨年指名やってくれよとも思わなくはない。しかしこの苦い経験が、彼を人間的にも一回りも二回りにも大きくしたと信じたいところ。評価的には昨年の評価と同じにするが、1年目の活躍はより大きなリターンが今年の方が期待できるのではないのだろうか。少なくても1年目から、レギュラー争いをするだけの力量があるのは間違いない。


蔵の評価:☆☆ (中位指名級)


(2017年 日本選手権)










福田 周平(24歳・NTT東日本)遊撃 169/69 右/左 (広陵-明治大出身) 
 




                       「実戦力NO.1遊撃手」





 今年の大学・社会人の中でも、こと一年目から活躍できるという意味では、この 福田 周平 が、一番ではないかと思っている。広陵高校時代から野球センスの高さには定評があったが、センスが勝ったタイプでドラフト候補という感じはしなかった。明大時代も同様で、素材としての凄みは感じられなかった。そんな彼だからこそ高い志しを持ち、意識を高め、強いスイングを身につけようと人並み以上の努力を重ねてきたのだろう。そしていま、最もプロに近いアマチュアプレーヤーという領域まで、自らを引き上げてきている。


(ここに注目!)

 技術やセンスにかまけることなく、肉体を磨き、気合満点のプレーで挑むガッツマン。そういった精神的な部分に、ぜひ注目して彼をみて欲しい。

走塁面:
☆☆☆☆ 4.0

 一塁までの到達タイムは、早い時で3.9~4.15秒ぐらいで走り抜けて来る。プロで足を売りにするほど絶対的なスピードがあるのかは微妙だが、充分にプロレベルでも俊足だと言えるだろう。昨年も98打席で9盗塁を決めており、プロのレギュラー選手並の500打席で換算すれば、45盗塁に匹敵する。プロと社会人のレベル差はあるだろうが、全く走れないということは考えづらい。

守備面:
☆☆☆★ 3.5

 打球への一歩目が早いのが特徴で、打球勘が好い。キャッチング・フットワーク・スローイングなどの動きもまずまずで、遊撃手としても基準レベル以上。地肩が圧倒的に強いわけではないので、細かい動きもできるしレギュラーとなるとセカンドあたりの方が向いているかもしれない。いずれにしてもプロでもニ遊間の選手として、やって行ける守備力はある。





(打撃内容)

 相当バットを振り込んだらしく、アマ仕様だったスイングもだいぶ強さ・鋭さを増してきた。好打者だったイメージも、今は強打者という感じに変わりつつある。

<構え> 
☆☆☆ 3.0

 前足を軽く引いて、カカトを浮かし後ろ足に体重をかけて構えている。グリップは高めに添えられていて、腰の据わり具合、全体のバランス、両眼で前を見据える姿勢などは平均的ぐらいだろうか。

<仕掛け> 早めの仕掛け

 投手の重心が下るときに動き出す、「早めの仕掛け」を採用。早めに動き出すことで、速球でも変化球でも幅広く対応できる、アベレージ打者・確実性を重視する打者に多く観られる仕掛けなのだ。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を引き上げ回し込み、少しベース側に踏み込んで来る。始動~着地までの「間」は充分あり、変化に応じて踏み込むタイミングを図っているので、スピードの変化には対応しやすい。少しベース側踏み込んで来るように、外角寄りの球への意識が強い。踏み込んだ足元はブレないので、外角の厳しい球や低めの球にも壁を崩さずに食らいつくことができる。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 早めにバットを引いて、打撃の準備である「トップ」の形を作れている。速い球に立ち遅れる心配はないが、あらかじめグリップを捕手側に引いていると力みやすく、柔らかいリストワークの使い方に影響しやすい。そのため打てる球が、限られやすい弊害はある。

 バットの振り出しは、インサイド・アウトではない。外の球を叩くことに優れているが、インステップ相まって内角の捌きにバットが出にくい。そのため右投手の内角に食い込んでくる球筋に差し込まれやすく、最初の一歩目も遅れがちになりやすい。左の好打者タイプならば、アウトステップとは言わないまでも、真っ直ぐ踏み出すぐらいが打率を残すと言う意味では好いだろう。その辺の修正は、プロ入り後いくらでもできる。

 けして物凄くヘッドスピードが鋭いとか遠くに飛ばせるわけではないが、最後まで振りきれる強さは出てきている。以前はプロという感じは全然しなかったが、この辺は振り込んできた成果が、形となって実を結びつきつつあるのではないのだろうか。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げはあるものの、実に降ろすのも静かで目線の上下動は少なめ。そのためボールを、狂いなく追うことができている。足のつま先も閉じられ、開きを最後まで我慢。軸足にも粘りが感じられ、しぶとい打撃も期待できる。

(打撃のまとめ)

 物凄くスイングが鋭いわけでも、ボールを飛ばすパワーがあるわけでもない。まして眼が凄く好いとか、リストワークの使い方が非凡だとか、素材としての凄みは感じられない。

 しかし叩き上げてここまできた選手で、自らの努力で今の位置まで昇りつめた。非常にそういった貪欲さや気持ちの強さを、プレーの端々から感じられ、それが打撃にも現れている。


(最後に)

 素材としての奥深さ、華のあるプレーということでは、吉川 尚輝(中京学院大)にはかなわない。しかし即プロの一軍レベルで対応できるという意味では、この 福田 周平 が一番ではないのだろうか。

 特に二遊間のポジションが定まっていないチームならば、ぜひ加えてみたい1人。1年目から、一気にレギュラーを獲得してしまう、そんな可能性も否定できない。高校生や大学生には感じられない、生命力溢れるプレーヤー、それがこの 福田 周平 なのだ。


蔵の評価:
☆☆ (中位指名級)


(2016年 都市対抗)