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向谷 拓巳(楽天)内野手のルーキー回顧へ







向谷 拓巳(19歳・兵庫BS)内野 170/68 右/左 (大和広陵出身) 
 




                  「立田将太(日ハム)とチームメイト」





 高校時代は、立田将太と同学年で活躍。2年春の選抜ではベンチ入りしていなかったが、その夏にはセンターとして出場。最終学年では、捕手としてプレーしていた。卒業後は、関西の独立リーグ・兵庫BSに所属し、二塁手・遊撃手として活躍した。


(ここに注目!)

 足を活かしたプレーが売りで、セーフティバントで揺さぶったり、盗塁を積極的に仕掛けて来る。楽天お得意の、とにかく足の速い奴を見つけて来いの星野仙一氏の指令で、見出された一人ではないのだろうか。


(守備・走塁面)

 残念ながら独立リーグに進んでからのプレーは確認できなかったが、一塁までの塁間を3.8秒台で走り抜ける快速選手。それも隙あらば二盗、三盗当たり前という、攻撃的な走塁が最大の魅力。なんと独立リーグ在籍2年間の80試合で、実に75盗塁を決めるなど走力はNPBに混ぜても上位レベルだろう。

 高校の時は捕手だったが、俊敏な動きをする選手との印象。スローイングも1.8秒台後半ぐらいで送球できており、地肩もかなり強い部類だった。そのプレースタイルからも、二塁や遊撃を任されるようになったと訊いて、この選手ならば不思議がないと思わせる運動神経と野球センスの持ち主だった。残念ながら二塁手・遊撃手としての守備力までは、確認できていないが。





(打撃内容)

 高校時代は、いかにも作られた左打ちという感じで、外角に強い球を投げられると辛そうだった印象がある。そのためフライをあげることが多く、自慢の足を活かせずじまいのことも多かった。しかし今シーズンは、36試合 1本 32打点 37盗塁 打率.373厘 という素晴らしい成績を残している。残念ながら打撃フォームは、高校時代のものを参考にさせて頂きながら説明したい。

<構え> 
☆☆☆ 3.0

 前の足を軽く引いて、グリップを下げ気味に添えます。特に背中を丸めて構え、全体のバランスとしてはもう一つ。それでも両目では、それなり真っ直ぐ見据えられている。いかにも嫌らしい巧打者という感じで、四球や内野安打で出塁してやろうという雰囲気が漂っていた。

<仕掛け> 遅すぎ

 投手の重心が沈む時にベース側につま先立ちし、本格的に動き出すのはリリース前後という「遅すぎる仕掛け」を採用。日本人の筋力やヘッドスピードを考えると、ここまで遅いとプロの球に対応するのは厳しくなる。今はこういったスピードに対し、どの程度対処できるフォームになっているのか興味深い。

<足の運び> 
☆☆☆ 3.0

 足の上げ下げは殆どなく、小さくベース側にインステップして踏み込んでくる。始動~着地までの「間」がないので、どうしても狙い球を絞って叩く 点 の打撃になってしまう。ベース側に踏み込むように、その狙い球は外角の球だと考えられる。また踏み込んだ足元はブレないので、外に逃げてゆく球や低めの球に食らいつくことは可能だと言えよう。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 あらかじめグリップを後ろに引き、トップの近い位置から振り出して来る。このことにより、速い球に立ち後れないようにしている。バットの振り出しも、けしてインサイド・アウトではない。そのため内角の球を捌くよりも、外角の球をきっちり叩くためのもの。ボールを捉える時にバットの先端であるヘッドは下がらないので、タイミングさえ合えば打ち損じは少なそう。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは殆どないので、目線の上下動は見られない。体の開きも我慢できており、軸足にも適度な粘りは感じられる。

(打撃のまとめ)

 打撃に遊びと幅がないので、打てる球は限られてそう。またスイング軌道とインステップの関係から、内角の捌きは窮屈なのではないのだろうか? こういった部分を、この2年でどのぐらい改善されてきたのか? 更に非弱さもあり、そのへんがどうなっているのか気になる。

 それでも独立リーグ1年目が 304厘だったのに対し、2年目の今年は.373厘と大幅に向上。何かしらの感覚を掴んだか、技術的に何か改善されている可能性は高そうだ。


(最後に)

 コツンコツン嫌らしく当ててきて、足で揺さぶるタイプ。なんと三振率は、脅威の2.4%。その割に四死球率は、10.6% と記録しており、ボールに当てる能力は図抜けており 、ボールを見極める眼の良さも基準レベル以上はありそう。問題は、この関西の独立リーグのレベルが、相当NPBとのレベル差はあるであろうということか。

 実際ここ2年の成長ぶりを確認できていないのでなんとも言えないが、育成枠指名らしい足という武器がある選手。そういった意味では、興味深い選手ではある。まずはフューチャーズやイースタンあたりで、どのような選手なのか確認してみたい。同じ独立リーグから一軍選手に昇りつめた 内村 賢介(元楽天-DeNA)内野手のような活躍を期待してみたい。