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大村 孟(ヤクルト)捕手のルーキー回顧へ







 大村 孟(25歳・BC石川)捕手 169/80 右/左 (東筑-福岡教育大出身)
 




                     「そつなくまとまる」





 BC石川の、正捕手として活躍。事前には名前を知らない選手だったが、ドラフトではヤクルトから育成枠ながら指名された。全体的に大きな欠点がなく、総合力でまとまりのある捕手との印象を受ける。


(ここに注目!)

 すぐにでもファームの試合に入って行けるような、完成度の高さがあります。派手さはないのですが、捕手らしい捕手との印象を受けました。

(ディフェンス面)

 投手にミットを示し、的をつけやすくすることに心がけます。グラブを地面に着ける癖もないので、ワンバウンド処理に立ち遅れる心配はないものの、低めの球に対し上から捕りにゆくことがあり、その辺が心配でしょうか。ボールの押し込みも悪くなく、キャッチング全般は平均レベルといった感じ。

 ボールを軽く返したり、投手の気持ちを汲み取りながらリードするタイプか。好投手・安江 嘉純(ロッテ指名)の好投を導くように、巧みなインサイドワードも魅力。スローイングは、二塁到達まで1.9秒弱と基準レベルであり、強肩というよりも安定した制球力で刺すタイプか。特に捕手として大きな欠点はなく、それでいて図抜けた素材というほどでもない。全体に適度にまとまった、好捕手という気がする。





(打撃内容)

 福岡教育大の4年春のシーズンに、打率.385厘をマークしベストナインに。今シーズンのBCのリーグでの成績は、67試合 2本 33打点 0盗塁 打率.286厘 という成績で、チームの5番打者を担っていた。

<構え> 
☆☆☆☆ 4.0

 前足を引いて、グリップを高めに添えます。腰の据わり、全体のバランス、両眼で前を見据える姿勢とよく、理に適った構え方。全身をこまめに動かしリズムを整え、固さを感じさせないところも好いところ。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下がり始めるときには動き出す、「早めの仕掛け」を採用。確実性を重視した、アベレージヒッターに多く観られる仕掛けです。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を引き上げ回し込んで、軽くベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」は充分あり、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすいはず。軽くアウトステップするように、内角を意識したプレースタイル。それでも踏み込んだ足元はブレないので、甘めの外角球や低めの球にも食らいつくことができます。

<リストワーク> 
☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」の形をつくるのは自然体で、ボールを呼び込む際にも力みは感じません。バットの振り出しは、上から叩くようなインサイド・アウトのスイング軌道であり、真ん中~内角寄りの球を引っ張るのを得意としているのではないのでしょうか。

 ボールを捉える時も、ヘッドを立てて上手く外角の球を拾えています。強い打球は飛びますが、大きな弧を描くとかフォロースルーを生かしてボールを遠くに運ぶなどの、そういった選手ではありません。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはありませんが、目線の上下動は少なめ。身体開きは我慢でき、軸足にも強さが感じられます。そのためしっかり捉えた打球は、強烈な打球として抜けてゆきます。

(打撃のまとめ)

 技術的には完成されており、大きな欠点もありません。打撃に特別ものは感じませんが、捕手ならば合格レベルの打力はあるのではないのでしょうか。


(最後に)

 将来チームの正捕手を奪うとか、そういった凄みのある選手ではないように思います。あくまでもチームの捕手層を厚くする、そういった補強だと言えるのではないのでしょうか。西田・中村と働き盛りの選手がいるチームですから、彼らに何かあった時にバックアップにまわれる選手が欲しかったかもしれません。そういった意味では、ゲームメイクできる捕手なので、育成ならばアリの指名ではないのでしょうか。


(2016年 リーグ戦)