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北出 浩喜(24歳・パナソニック)投手の個別寸評へ







北出 浩喜(23歳・パナソニック)投手 181/78 右/右 (小松商-愛知工業大出身) 
 




                 「手元までの伸びが素晴らしい」





 今年の社会人候補の中でも、打者の手元までボールの伸びは、この 北出 浩喜 が一番ではないのだろうか。愛知工業時代も東海地区の候補として注目されたが、社会人への入社が決まっていたため、ドラフト戦線からは外れていた選手。しかしその前評判どおり、社会人1年目から都市対抗で存在感を示す活躍を魅せた。

(投球内容)

 ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込んできます。足を勢い良く引き上げて来るので、典型的なリリーフタイプ。腕は少し下がった、スリークオーターと言えます。

ストレート 常時145キロ前後~MAX151キロ

 打者の手元までに、しっかり伸びてくる勢いのあるボールには見応えを感じます。都市対抗のJX-ENEOS戦では150キロ台を連発するなど、ストレートで押せるという意味では社会人でも指折り。しかしボールは両サイドには散っているものの、真ん中~高めへの球筋が多く、時々甘い球も少なくありません。そしてそれほど上背や上からボールを叩くフォームではないので、打者の打ち損じが誘い難い傾向にもあります。

変化球 スライダー・カーブ・スプリット?

 主な変化球は、スライダーとのコンビネーション。スライダーもカウントを整えにゆくものと、低めのボールゾーンに落ちてゆくような縦スラのようなボールが130キロ台であります。他には110キロ台の緩いカーブや打者の手元で小さく沈むスプリットなのか、チェンジアップなのかわからないボールが他にも。チェンジアップにしては落差が小さく、球種の判断が難しい。しかし投球の多くは、二種類のスライダーを中心に組み立てられるように見える。スライダーの精度・活かし方は悪くないが、カーブ・スプリットはそれほど多くは投げて来ない。そのため投球は速球中心であり、リリーフならばこれで良いが、先発だったらやや単調な印象を受ける。

その他

 牽制は、走者を刺すような鋭いものではない。しかし二塁牽制も頻繁に入れるなど、自信を持っているのだろう。クィックも1.0秒前後と高速で、非常に素早く投げ込むことはできている。

(投球のまとめ)

 ボールの勢い・球速は、本当に素晴らしいものがあります。その一方で、見た目ほど苦にならないタイプのボールかもしれないということ。というのは、時々甘く入ってくる球があり、その球を打者が打ち損じないところからも、そう感じられます。球筋が全体的に高いのと、ボール自体が割合平面的なのが、その理由ではないのでしょうか。

 そのため両サイドに散っている時は抑えられるのですが、そうじゃないと確実にプロレベルの打者だと合わせて来る危険性があるということ。また変化球レベルも低くはないものの、絶対的に頼れる変化球はまだありません。打者としては、やはり速球に的を絞り、甘く入ってくるのを待たれるという危険性は残ります。


(投球フォーム)

今度は、フォームの観点からいろいろ見てみましょう。

<広がる可能性> 
☆☆☆

 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻は一塁側には落とせません。そのため体を捻り出すスペースは確保できず、カーブやフォークといった球種には適さない。

 「着地」までの粘りも感じるほどではないのですが、ほぼ平均的と観て良いのではないのでしょうか。体を捻り出す時間が並なので、今後武器にできるほどの球種を身につけられるかは疑問が残ります。カットボール・ツーシーム・スプリットといった、球速のある小さな変化でピッチングの幅を広げてゆく可能性があります。

<ボールの支配> 
☆☆☆

 グラブは最後まで内に抱えられており、両サイドの投げ分けは安定。しかし足の甲での地面への押し付けが浅く、力を入れて投げるとボールが上吊りやすい傾向にあります。

 「球持ち」自体は悪くないのですが、指先まで力を伝えきれているかと言われると、そこまでの繊細さはまだ感じません。

<故障のリスク> 
☆☆☆

 お尻を落とせないフォームではありますが、現状カーブやフォークといった体を捻りだして投げるような球種をほとんど投げないので、肘への負担は少ないのでは。
 
 腕の送り出しみるとスリークオーターであり、肩への負担は少ないと考えられます。現在の投球ならば、それほど無理をしなければ問題ないのではないのでしょうか。

<実戦的な術> 
☆☆☆

 「着地」までの粘りは並で、打者としてはそれほど苦にならないでしょう。更に「開き」も並ぐらいであり、嫌らしさは感じないはず。甘く入らなければ問題はないレベルですが、角度で合わせ難くするとか、威圧感があるタイプではないので、気迫とボールの勢いで圧倒するしかなくなります。

 腕は強く振れており、速球と変化球の見極めはつきにくいのでは? ボールへの体重の乗せも悪くはないのですが、もっと「球持ち」が粘られるようになると、体重がグッと乗るまで我慢できるのでは? そういった意味では、ボールの勢い・威力という意味では、もうワンランク上がっても不思議ではないはず。

(フォームのまとめ)

 投球の4台動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、特に悪いところも良いところもありません。それだけまだ発展途上であり、伸ばせる余地が残されています。

 コントロールを司る動作では、足の甲の押し付けの甘さからボールが上吊りやすい。しかし故障のリスクは、今のところ大きくはないのでは。投球フォームとしては、可も不可もなしといった感じです。

(最後に)

 現状は、高めに集まりやすい球筋・アバウトなコントロールという欠点がある。その割にボールの勢いは一級品という部分では、昨年の 熊原 健人(仙台大-DeNA2位)投手と良く似たタイプであるように感じます。

 熊原は高めに集まりやすい傾向はあったのですが、フォークなど縦系の球種は低めに集まる傾向にありました。北出も低めのボールゾーンに切れ込むスライダーなどを投げられる投手なので、その辺の高低の球筋の違いを上手く活かして欲しいところ。

 マウンド度胸も素晴らしく、ボールの勢いも一級品。あとは、チェンジアップをモノにしてピッチングの幅を広げて行ければ、上位指名を期待できる素材だと言えるのではないのでしょうか。現時点では、上位24名(2位以内)の有力候補の一人という位置づけではないのでしょうか。これを更に伸ばすような、快刀乱麻なピッチングを期待しております。


(2015年 都市対抗)