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西口 直人(20歳・甲賀医療専門)投手 183/80 右/右 (山本出身) |
「投球のコツ掴んだか?」 大阪の山本高校時代は、知る人ぞ知る公立の逸材としてプロからも注目されていた。甲賀医療専門学校に進んでからは、MAX149キロまで到達したという。しかし高校時代のようにガンガン速い球を投げ込むというよりも、少し脱力してゆったり投げる感じへと変わってきたように見える。 (ここに注目!) ゆったりしたモーションから、ピュッとボールが来るので、そのギャップで空振りが奪えるタイプ。 (投球内容) 本当に僅かな映像を見ただけなので、詳細はというほど細かくはわからない。しかしコントロールは良いということだが、とりあえずストライクゾーンの枠の中に集めるといった感じで、ボールも高めに入ってくる球も多い。意識的なのか、無意識なのかわからないが、何か微妙にストレートがシュート回転したり、カット気味に動いているようにも見え、空振りを誘うフォーシームの他に、微妙にボールを動かして芯を外しているのかもしれない。変化球は縦に割れるカーブがあるということだが、正直よくわからなかった。 (投球フォーム) わからないことも多いので、投球フォームを分析してその特徴と可能性について考えてみたい。ランナーがいなくてもセットポジションから投げ込み、ゆったりとした感じで動き出す。軸足一本で立った時に、膝から上がピンと真上に伸びてしまい直立して立ってしまっているところが気になるところ。膝に余裕がないと立った時のバランスがとり難く、地面を早く捉えてしまい粘りのないフォームになってしまう。 <広がる可能性> ☆☆ 2.0 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻がバッテリーライン上に残ってしまっている。すなわち身体を捻り出すスペースが充分確保できていない。そのため捻り出して投げるカーブで緩急を利かしたり、フォークのような縦に鋭く落ちる球種には適さない。 また「着地」までの粘りもさほどではないので、身体を捻り出す時間がも物足りない。ここが充分でないと、曲がり幅や鋭く曲がる変化球を習得し難い。投球がストレートや微妙に手元で動かす球が中心なのは、このせいなのかもしれない。 <ボールの支配> ☆☆☆ 3.0 グラブは最後まで身体の近くにあり、両サイドの投げ分けは悪くないのだろう。むしろ問題は、足の甲の地面への押しつけで、これが短いとか浅いせいなのか? ボールが上吊りやすい。「球持ち」自体は、悪くないように見えるのだが。また少し気になったのが、腕の回旋が身体からやや離れて振られる傾向にあり、その辺がコントロールの乱れに繋がっている可能性もある。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻は落とせないフォームなものの、カーブやフォークといった球種を多投していなければ、悲観することはないだろう。また腕の送り出しには無理がなく、スリークォーターになっている。高校時代は一球一球力を入れて投げるような投球だったが、今は脱力して投げられており、消耗の少ない疲労を溜めにくくなっているのではないのだろうか。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りが淡白なので、打者としてはタイミングが合わせやすいようには見える。それでも身体の「開き」は抑えられているので、コントロールを間違わなければ痛打は喰らわないのかもしれない。 腕がしっかり振れる選手なので、速球と変化球の見極めはつき難く空振りを誘いやすい。ボールも体重を乗せてからリリースできているように見え、打者の手元まで勢いは悪くないのではないのだろうか。 (フォームのまとめ) 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」までの粘りが作れるのかが今後の課題。故障のリスクはそれほど高くは見えないが、足の甲で地面を押し付けられないなど、細かいコントロールが求められるところか。実戦的とまではいかないが、許容範囲内にはまとめられている感じはする。 (最後に) 実際に見られたわけではないので、細かい部分でわからないことが多い。そのため評価づけできないが、本会議最後の指名だったことを考えると限りなく育成枠に近い力量だと考えられる。 速球には魅力があるものの、変化球、細かいコントロール、投球術など学ぶことは多そう。即戦力というよりは、ファームで段階を踏んで、その才能の開花を待つことになりそうだ。ぜひ来年は、実際に投げているところを直に確認してみたい。 |