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菊沢 竜佑(ヤクルト)投手のルーキー回顧へ







 菊沢 竜佑(28歳・相双リテック)投手 183/85 右/右 (秋田-立大-金港クラブ-米独立)
 




                         「元々は硬式」





 軟式のチームに所属している選手だと話題になった 菊沢 竜佑 。しかし昨年までは、米独立リーグに在籍。更に秋田高-立大-金港クラブなどに在籍し、硬式一筋にそれまで野球をやってきた選手なのだ。またこの期間には、ジャイアンツの入団テストに合格しているが、採用されることはなかった。


(ここに注目!)

 高めの速球に眼を惹かせておいて、外角低めのボールゾーンに切れ込むスライダーで空振りを誘います。

(投球内容)

 秋田高校時代は、東北大会に進出。立大時代は、通算14試合で六大学のマウンドに立っている。通算は1勝1敗ながら、防御率は、1.83 と安定していた。

ストレート 常時140キロ台~後半 
☆☆☆★ 3.5

 昨年の独立リーグ時代の模様を見たが、ストレートはコンスタントに140キロ台を越えていそうで、ボールの勢いがあり空振りも誘えていた。しいて言えば、ボール全体が常に高いこと。ストレートの勢いがある間はこれでも良いが、少し鈍ったりコントロールミスして打ち頃の高さに来ると怖い。

 最近の成績がわからないが、六大学時代は34回1/3イニングで13四死球。四死球率は37.9%ということであり、細かいコントロールはないものの、四死球で自滅するタイプではなさそうだ。

変化球 スライダー・チェンジアップ・フォークなど 
☆☆☆★ 3.5 

 右打者の外角低めギリギリのゾーンにスライダーを集められ、ここで空振りを奪うことが多い。左打者に対してはチェンジアップを積極的に使って来るが、他にも縦にストンと落ちるフォークを投げているようにも見える。

(投球のまとめ)

 すでに28歳ということもあり、投球は完成されているイメージがある。そのため今後の上積みがどうとかいう人材ではなく、即使えるか使えないかであり、1年目の結果で今後は見えて来る気がする。

 速球に勢いがあり変化球も悪くないので、1年目から一軍での登板に恵まれそう。今年ヤクルトが指名した選手の中では、最も即戦力の色彩が強い選手ではないのだろうか。短いイニングならば、可能性を感じなくもない。





(投球フォーム)

 ノーワインドアップから、非常にオーソドックスなフォームから投げ込んできます。

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻の一塁側への落としは、甘さ残すものの全く落とせていないわけではありません。そういった意味では、カーブで緩急を利かしたり、フォークのような縦に鋭く落ちる球種を投げるのも可能かと。

 「着地」までには、前にステップさせて適度に体を捻り出す時間は確保。そういった意味では、良い変化球を投げられる下地はあります。実際にスライダーのキレが良く、チェンジアップ、フォークも悪くありません。

<ボールの支配> 
☆☆ 2.0

 グラブは内に抱えられておらず、外に逃げようとする遠心力を内に抑え込めないのでフォームが暴れる傾向にあります。そのため両サイドのブレが、生じやすいフォームです。更に足の甲での地面への押しつけが浅く、力を入れて投げるとボールが上吊る傾向にあります。これは、実際の投球でもストレートの殆どが高めに浮いていました。また「球持ち」が浅く、ボールを押し込む前にリリースしてしまっており、低めにボールがゆかない要因にもなっています。それほどコントロールが悪いようには見えませんが、フォームを観る限り細かいコントロールはないのかもしれません。

<故障のリスク> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻の落としに甘さは残すものの、それほどカーブやフォークといった球種を多投しないので問題はないでしょう。腕の送り出しもそれほど違和感はないので、肩への負担も目立つものはありません。多少力投派なので、登板過多になると消耗が激しく疲労をた貯めやすいかもしれませんが。

<実戦的な術> 
☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りは適度にあり、また体の「開き」も早すぎることはないので、コントロールを間違わなければ問題ないかと。

 腕は強く振れているので、速球と変化球の見極めは困難。ボールにも適度に体重は乗せられているので、打者の手元までの勢いは悪くありません。もう少しボールを押し込めるようになると、低めにもグッと良い球がゆくようになりそうですが。

(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」の観点で言えば、「球持ち」に課題があり、後の動作に大きな問題はありません。

 また故障のリスクはあまり感じませんが、制球を司る動作に不安があり、その辺がプロでの1番の心配点でしょうか。


(最後に)

 昨年の僅かな映像からの印象なので、評価づけはできません。投手としてはある程度完成されており、1年目から勝負したいタイプ。その完成度の割に、細かいコントロールが無さそうなのが心配と言えば心配です。しかし速球に勢いは感じますし、変化球も悪くないので、短いイニングならばハマる可能性もあります。多大な期待は抱けませんが、短いイニングならば意外な掘り出しものになる可能性はあるのではないのでしょうか。1年目から、結果にこだわって欲しい選手です。